作成日
:2020.04.10
2021.08.31 15:32
仮想通貨ファンド会社のCambrial Capitalが、新型コロナウイルスの影響を受けて事業を縮小することが明らかになった。
先月12日、仮想通貨市場ではビットコイン価格が40%以上暴落したことが観測されている。この出来事は通称ブラック・サーズデーと呼ばれ、多くの仮想通貨関連企業が被害を被ったという。現在、Cambrial Capitalは600万ドルから1,000万ドル規模のファンドを運用しているが、同社も例外なく被害を受け、このブラックスワン(予期できない強い衝撃をもたらす事象)によってマージンコールが発生しているようだ。Cambrial CapitalのCIO(Chief Investment Officer)であるDavid Fauchier氏は、同社は規制に従い対応を行なっており、その業務に追われているとの内情を明かした。
2018年に英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority, FCA)の規制下で設立されたCambrial Capitalは、Fauchier氏の他、共同経営者のHa Duong氏やリスクマネージャーのEdward Nelson氏、開発者のAlex Obadia氏を中心に、ファンド・オブ・ファンズ(Fund of Funds, FOF)と呼ばれる形態の商品を運用している。ファンド・オブ・ファンズはプールされた資金を様々な戦略に採用するファンドへ分散投資を行う手法であり、具体的にCambrial Capitalは裁定取引やマーケットメイキング、店頭取引、ミーン・リバージョンなどの戦略を用いていたようだ。これら戦略の多様性から、ファンド・オブ・ファンズはマーケットニュートラルな投資だと考えられているが、そもそも仮想通貨自体が高リスクな資産クラスのため、Cambrial Capitalなどの仮想通貨ファンドが安全だとは言い難い。
実際に仮想通貨ヘッジファンドのAdaptive Capitalは、ブラック・サーズデーの1週間後にファンドを廃止し、残りの資金を投資家に償還することを決定している。しかしながら仮想通貨ファンド会社であるYRD CapitalのYuval Reisman氏は、ほとんどの投資家がアルゴリズムトレードを行う上で必要なツールへアクセスできない現状を指摘し、仮想通貨投資が有効であるとの見解を示した。世界ではMASが仮想通貨取引所向けの救済措置実施を決定するなど、新型コロナウイルスの影響で停滞が予想される仮想通貨市場を後押しする動きが強まっているが、投資家はどのような反応を示すのか、今後もその動向を見守っていきたい。
release date 2020.04.10
新型コロナウイルスの感染拡大で医療崩壊に対する懸念が高まる中、仮想通貨業界では大手企業を中心に、病院などの医療機関への寄付による社会貢献が活発になり始めている。例えば大手取引所のバイナンスは慈善団体を通じて寄付を実施することを約束しており、既に数十万点の防護服やマスク、その他医療物資を提供しているようだ。また新型コロナウイルス研究のために、ブロックチェーン関連企業のBitfuryはコンピュータリソースを寄付し、米国のワシントン大学が主導するFolding@homeプロジェクトのワクチン開発に向けた取り組みをサポートしているという。これまでの仮想通貨業界は詐欺やハッキングなどのマイナスイメージと結びついており、大衆に敬遠されがちだったが、この仮想通貨関連による社会貢献活動が人々の認識を変える可能性があると言えるだろう。
作成日
:2020.04.10
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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