作成日
:2020.03.02
2021.08.31 15:28
新型コロナウイルスの世界的な流行が株式市場からの資産逃避を引き起こしており、その資金が仮想通貨市場に流入することが予測されたが、ビットコイン(Bitcoin)を始めとする主要な仮想通貨は、依然として小幅な値動きを見せている。
現在、新型コロナウイルスは47カ国に感染範囲を拡大し、これら地域の経済に重大な影響を及ぼしているという。このような状況下で、多くの投資家が保有する株式を売却すると同時に、米国債や金などの安全資産を買い急いでおり、結果的に株式市場が6日間連続して下落するだけでなく、米国債および金の価格が高止まりしている。実際に米国株式市場の主要なインデックスであるS&P500は、2020年通期で7%マイナスとなるところまで落ち、10年物米国債も額面価格が上昇したことで相対的に利回りが過去最低の1.29%に減少しているようだ。ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の金先物に大幅な変動はなかったものの、7年ぶりの高値を射程に捉える1,662ドル付近で推移している。
一方仮想通貨市場では、ビットコイン価格が1.4%上昇して8,902ドルに達したのに加え、イーサリアム(Ethereum)価格も若干の上げを記録しただけに終わった。特に、年初から米国のイラン攻撃によってビットコイン価格が急騰するなど、安全資産として期待されていたが、新型コロナウイルスの被害が拡大し始めた週初めには、一時的に1カ月ぶりの安値を更新する8,627ドルまで下げた。その他にも、1月末にビットコイン価格は新型コロナウイルスの影響で上昇したことが報告されているが、Virgin Galacticの会長で投資家のChamath Palihapitiya氏は、ビットコインと他の資産クラスが完全に無相関であると主張している。またPalihapitiya氏は、株価が暴落する中、ビットコインでリスク分散を行うことが馬鹿げた戦略だと批判した。
ゴールドマンサックスのアナリストは、新型コロナウイルスが工場のサプライチェーンを滞らせ、最終的に中国や米国、その他地域を巻き込んで生産活動を停止させる可能性があり、それがS&P500企業の収益性低下につながると警告している。これに加え、バンクオブアメリカ(Bank of America)のアナリストは、少なくとも新型コロナウイルスが収束するまでは、欧州および日本のマイナス金利が継続することに触れ、米国債が最善な資産回避先となっている現状について言及した。この新型コロナウイルスによる混乱は、しばらく継続することが予測されているが、仮想通貨市場に何らかの動きは見られるのか、今後もその展開を見守っていきたい。
release date 2020.03.02
米国市場を襲った新型コロナウイルスに関してドナルド・トランプ大統領は、メディアが過大報道を行なっており、国民の危機感を煽っていると自身のTwitter(ツイッター)上で批判的な見解を示していた。しかしながら、カリフォルニア州で実際に感染者が確認されたことをきっかけに、実際に米国内でも新型コロナウイルスの市中感染(ウイルスの発生地に渡航していない者の感染)が発生していることが明らかになった。これに対してトランプ大統領は、 対策担当にマイク・ペンス副大統領を指名し、国内での感染拡大を防止するよう命じている。今年11月に大統領選挙を控えるトランプ大統領にとっては、このタイミングでパニックを収めなければ、再選が絶望的になる可能性がある。トランプ大統領は仮想通貨に否定的な発言を繰り返すなど、反仮想通貨派であると認識されているだけに、次回大統領選挙が仮想通貨市場にとっても重要なターニングポイントになり得ると言えるだろう。
作成日
:2020.03.02
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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