作成日
:2019.07.12
2021.08.31 15:26
2016年に就任して以来、ビットコイン(Bitcoin)および仮想通貨に対する見解を示してこなかったドナルド・トランプ大統領だが、先日、Twitter(ツイッター)で否定的な意見を述べた。
トランプ大統領は仮想通貨が非常に不安定且つ価値の裏付けを持たないことを指摘し、更にそれが麻薬取引やその他の違法取引に利用されている現状を問題視している。また、トランプ大統領は、Facebookが開発中のリブラを批判しており、同社は既存の銀行法に準拠するべきだとの考えを示した。これに対して仮想通貨プロジェクトであるNEOの開発責任者を務めるJohn deVadoss氏は、米国政府が通貨発行権の優位性を保とうとする抵抗感が表面化していると分析しているようだ。
米国政府関係者が仮想通貨に対して否定的な行動に出たのはこれが初めてではなく、5月には民主党のBrad Sherman議員が議会で仮想通貨を禁止にするよう提案したという。今の所、この法案は本格的な議論の対象となっていないが、今後、反仮想通貨派の声が大きくなれば再び脚光を浴びる可能性がある。一方、ワイオミング州でブロックチェーンの普及活動を行うWyoming Blockchain Task Forceの代理人兼共同創設者のCaitlin Ling氏は、トランプ大統領の意見に対して、ワイオミング州で仮想通貨関連の法案が可決された事に代表されるように、同州の先進的な仮想通貨政策が銀行取引、株式発行、その他ビジネスを効率的なものにしていると例を挙げて反論した。
TechCrunchの創設者であるMichael Arrington氏によると、トランプ大統領の発言が民主党議員を仮想通貨賛成派に追いやり、この問題に関する政党間の対立構造が更に明確なものになると指摘している。トランプ大統領の最高支持率は67%と1937年のフランクリン・ルーズベルト大統領に次いで低いが、アメリカ人のおよそ8%が仮想通貨に投資していることを考えると、今回の発言は共和党政権にとっても致命的なものとなるかもしれない。次の大統領選挙は2020年11月に迫っており、仮想通貨に対する方針がひとつの争点となる可能性があるが、トランプ大統領はどのような対応を見せるのか、今後の動向を注意深く見守っていきたい。
release date 2019.07.12
今回のトランプ大統領の発言は仮想通貨市場にとってネガティブな影響をもたらすと考えられたが、予想に反してこのツイートの1時間後、ビットコイン価格は1.3%の上昇を記録している。もちろん米国政府が具体的なアクションを起こしたわけではないため、それほど大きな衝撃とならなかった可能性もあるが、それ以上にビットコイン相場での強烈な上昇からの揺り戻しがひと段落しつつあることが重要だと言えるだろう。今週の仮想通貨市場では、シンガポールで仮想通貨を課税対象外とする法案が議会に提出されることが明らかになった他、英国では国内初となる金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)お墨付きの仮想通貨ヘッジファンドが誕生するなど、ポジティブなニュースも少なからずあった。これらの材料を背景に、ビットコイン価格は再び1万2,000ドル台を目指しているが、今後は更なる高値を更新することに期待したい。
作成日
:2019.07.12
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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