作成日
:2019.07.12
2021.08.31 15:26
今月11日、スイス大手銀行のDukascopy Bank SA(本社:ICC, Entrance H, Route de Pré Bois 20, 1215 Geneva 15, Switzerland
)【以下、デューカスコピーと称す】は、仮想通貨取引所のSwiss Crypto Exchange【以下、SCXと称す】と提携したことを発表した。これによりデューカスコピーの顧客はSCXを介してユーロまたはスイスフランと仮想通貨のペアにて取引を行うことが可能になるという。現在、このサービスはビットコイン(Bitcoin)とイーサリアム(Ethereum)の通貨ペアにのみ対応しているが、今後はビットコインを基軸通貨にした取引サービスに加えて多くの仮想通貨が追加される予定だ。デューカスコピーの顧客であれば、同社のモバイルアプリケーションからこのサービスにログインし、仮想通貨ウォレットにアクセス可能となるとのことだ。
デューカスコピーのCEO兼創設者であるAndre Duka氏は、SCXとのサービス開始に関して以下のようにコメントしている。
この特徴的なエコシステムでの法定通貨と仮想通貨のシームレスな統合は、Dukascoinの普及と流動性を高める戦略の一部です。我社は信頼できるパートナーであるSCXと協業できることを嬉しく思っています。
Andre Duka, CEO and Founder of Dukascopy - SCXより引用
これまでもデューカスコピーは仮想通貨事業への積極的な進出を行っており、今年1月にはデューカスコピーはビットスタンプと提携し、仮想通貨取引サービスの強化を図った他、独自仮想通貨であるデューカスコインを活用した証拠金取引を提供しており、さらに先月には複数の法定通貨に連動したステーブルコインを公開したばかりだ。SCXのCEOであるFrancesco Adiliberti氏は、デューカスコピーとの提携をシームレスな多国間取引を実現するための戦略的な動きだと捉え、期待を寄せているようだが、今後も両社の取り組みに注目していきたい。
release date 2019.07.12
世界の金融業界では従来の金融サービスから仮想通貨関連事業への転換が進んでおり、特に今年に入りビットコイン価格が好調な推移を見せている事を背景に、その傾向が顕著化しているようだ。先日、ドイツ銀行が大規模なリストラを実施する計画を発表したことに代表されるように、株式関連事業などのこれまで銀行が担ってきた伝統的なサービスから撤退する流れが活発となっているが、この人材が仮想通貨市場に流入し、仮想通貨市場の拡大を牽引する力になると予想されている。有識者の中には、この出来事が既存の金融業界が転換期にさしかかっているシグナルだというものも存在し、仮想通貨市場の躍進が一過性のものではないことを印象付けた。事実、2018年には、大手取引所であるバイナンスの第1四半期の利益がドイツ銀行を上回り、仮想通貨市場の収益性の高さを世に知らしめる結果となった。デューカスコピーは積極的に仮想通貨市場との統合を図っているが、これがどのような成果を生むのか、今後も同社の動向には注目していきたい。
作成日
:2019.07.12
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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