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モルガンスタンレー、Eトレードを買収する意向

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update 2023.05.03 17:21
モルガンスタンレー、Eトレードを買収する意向

update 2023.05.03 17:21

買収手続きは2020年第4四半期に完了する見通し

世界を代表する名門投資銀行のMorgan Stanley(本社:1585 Broadway Avenue New York, NY 10036[1])【以下、モルガンスタンレーと称す】は2月20日、米国の有力オンラインリテールブローカーの一角であるE*TRADE Financial Corporation(本社:671 North Glebe Road Ballston Tower Arlington, VA 22203[2])【以下、Eトレードと称す】を約130億ドルで買収する見通しであることを発表した。[3]

今回の株式交換を通じた買収は、2019年に実現したチャールズ・シュワブ(Charles Schwab)がTD Ameritradeを260億ドル規模の株式交換で買収した事案に次ぎ、金融危機後のウォール街の金融機関による買収案件としては過去最大規模になるという。Eトレードの株主は、1株当たりモルガンスタンレーの株式1.0432株を受け取ることになり、価値換算すると、Eトレード株式の前営業日終値に対し30.7%のプレミアムを乗せた1株当たり58.74ドルになる模様だ。

Eトレードの買収は、2020年第4四半期に完了する見通しであり、モルガンスタンレーの会長兼CEOであるJames Gorman氏が推し進めるウェルスマネジメント部門の業容拡大に寄与する見込みである。同社の買収後、モルガンスタンレーとEトレードの両社で3.1兆ドルの顧客資産と820万人のリテール顧客を抱えると共に、460万人のストックプラン(自社株購入制度)を利用する顧客基盤を誇ることになるという。尚、EトレードのCEOを務めるMike Pizzi氏はモルガンスタンレーに加わり、現在のビジネス運営を継続させると共に、両社の機能統合を推し進め、状況をGorman氏に報告する体制をとる模様だ。Pizzi氏はモルガンスタンレーのオペレーティング・マネジメント委員会(Operating and Management Committee)にも加わるという。

今回の買収に際し、Gorman氏とPizzi氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。

Eトレードを買収することで、我が社のウェルスマネジメント戦略を推進させ、多くのビジネスチャンスをもたらすと見ております。お客様とダイレクトに接するサービスを展開する同社のアイコニックなブランドが加わり、法人及びその従業員に対し、優れたウェルスマネジメントサービスを提供する機会も創出できるでしょう。Eトレードの商品や革新的なテクノロジー、確立されたブランドは、金融アドバイザリー、個人退職口座などのSelf-Directed、法人及び従業員を対象とするWorkplaceという3つのチャネルにおいて、我が社がトッププレーヤーになるサポートをしてくれると考えております。更に今回の買収は、バランスシートを圧縮すると共に、より安定性の高い収益源の獲得に注力すべく、我が社が長年にわたり取り組んでいるビジネス構造による転換の一環でもあります。

James Gorman, Chairman and CEO of Morgan Stanley - Morgan Stanleyより引用

我が社は約40年前からデジタルブローカレッジ分野を創出し、現状を打破すると共に、投資家やストックプランを取扱う企業向けに最先端の取引ツールやサービスを提供してきました。モルガンスタンレーの傘下に入りEトレードブランドをアピールすることで、非常に優れたウェルスマネジメントサービスを、より広範な顧客層に提供できるようになります。

Mike Pizzi, Chief Executive Officer of E*TRADE - Morgan Stanleyより引用

伝統的に法人部門に強みを持つモルガンスタンレーが、リテール及びデジタル分野に注力するEトレードと手を組み、如何なるシナジーを発揮するか注目したい。

release date 2020.02.25

出典元:

ニュースコメント

地殻変動が進むグローバル証券業界

米国オンライン証券業界では、チャールズ・シュワブが取引手数料無料サービスを開始したほか、Eトレードも手数料引き下げ競争に本格参戦するなど、多くのプレーヤーが取引手数料無料サービスを開始する一方、収益悪化懸念も台頭している。また、ゴールドマンサックスやシティグループなど大手金融機関は、Eトレードを買収したモルガンスタンレーと同様に、個人向け金融サービスを強化しており、リテール金融分野は顧客獲得競争が激化している状況だ。そのため、EトレードやTD Ameritrade以外にも、財務基盤の弱いブローカーが大手投資銀行などに買収される事案が出てくる可能性がある。他方で、欧州や日本などグローバル証券市場においても、取引手数料無料の波が押し寄せている。ミレニアル世代のニーズを的確に把握し、急速に顧客基盤を拡大させているロビンフッド(Robinhood)やレボリュート(Revolut)のほか、株式取引手数料無料サービスを提供するFreetradeがオランダとアイルランドに進出するなど、画期的なサービスを展開するフィンテック企業による攻勢が強まっている。今後、米国に続きグローバル証券市場においても、企業の合従連衡が起きる可能性があると予想される。


Date

作成日

2020.02.25

Update

最終更新

2023.05.03

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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