作成日
:2020.02.25
2023.05.03 17:21
世界を代表する名門投資銀行のMorgan Stanley(本社:1585 Broadway Avenue New York, NY 10036
)【以下、モルガンスタンレーと称す】は2月20日、米国の有力オンラインリテールブローカーの一角であるE*TRADE Financial Corporation(本社:671 North Glebe Road Ballston Tower Arlington, VA 22203 )【以下、Eトレードと称す】を約130億ドルで買収する見通しであることを発表した。今回の株式交換を通じた買収は、2019年に実現したチャールズ・シュワブ(Charles Schwab)がTD Ameritradeを260億ドル規模の株式交換で買収した事案に次ぎ、金融危機後のウォール街の金融機関による買収案件としては過去最大規模になるという。Eトレードの株主は、1株当たりモルガンスタンレーの株式1.0432株を受け取ることになり、価値換算すると、Eトレード株式の前営業日終値に対し30.7%のプレミアムを乗せた1株当たり58.74ドルになる模様だ。
Eトレードの買収は、2020年第4四半期に完了する見通しであり、モルガンスタンレーの会長兼CEOであるJames Gorman氏が推し進めるウェルスマネジメント部門の業容拡大に寄与する見込みである。同社の買収後、モルガンスタンレーとEトレードの両社で3.1兆ドルの顧客資産と820万人のリテール顧客を抱えると共に、460万人のストックプラン(自社株購入制度)を利用する顧客基盤を誇ることになるという。尚、EトレードのCEOを務めるMike Pizzi氏はモルガンスタンレーに加わり、現在のビジネス運営を継続させると共に、両社の機能統合を推し進め、状況をGorman氏に報告する体制をとる模様だ。Pizzi氏はモルガンスタンレーのオペレーティング・マネジメント委員会(Operating and Management Committee)にも加わるという。
今回の買収に際し、Gorman氏とPizzi氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
Eトレードを買収することで、我が社のウェルスマネジメント戦略を推進させ、多くのビジネスチャンスをもたらすと見ております。お客様とダイレクトに接するサービスを展開する同社のアイコニックなブランドが加わり、法人及びその従業員に対し、優れたウェルスマネジメントサービスを提供する機会も創出できるでしょう。Eトレードの商品や革新的なテクノロジー、確立されたブランドは、金融アドバイザリー、個人退職口座などのSelf-Directed、法人及び従業員を対象とするWorkplaceという3つのチャネルにおいて、我が社がトッププレーヤーになるサポートをしてくれると考えております。更に今回の買収は、バランスシートを圧縮すると共に、より安定性の高い収益源の獲得に注力すべく、我が社が長年にわたり取り組んでいるビジネス構造による転換の一環でもあります。
James Gorman, Chairman and CEO of Morgan Stanley - Morgan Stanleyより引用
我が社は約40年前からデジタルブローカレッジ分野を創出し、現状を打破すると共に、投資家やストックプランを取扱う企業向けに最先端の取引ツールやサービスを提供してきました。モルガンスタンレーの傘下に入りEトレードブランドをアピールすることで、非常に優れたウェルスマネジメントサービスを、より広範な顧客層に提供できるようになります。
Mike Pizzi, Chief Executive Officer of E*TRADE - Morgan Stanleyより引用
伝統的に法人部門に強みを持つモルガンスタンレーが、リテール及びデジタル分野に注力するEトレードと手を組み、如何なるシナジーを発揮するか注目したい。
release date 2020.02.25
米国オンライン証券業界では、チャールズ・シュワブが取引手数料無料サービスを開始したほか、Eトレードも手数料引き下げ競争に本格参戦するなど、多くのプレーヤーが取引手数料無料サービスを開始する一方、収益悪化懸念も台頭している。また、ゴールドマンサックスやシティグループなど大手金融機関は、Eトレードを買収したモルガンスタンレーと同様に、個人向け金融サービスを強化しており、リテール金融分野は顧客獲得競争が激化している状況だ。そのため、EトレードやTD Ameritrade以外にも、財務基盤の弱いブローカーが大手投資銀行などに買収される事案が出てくる可能性がある。他方で、欧州や日本などグローバル証券市場においても、取引手数料無料の波が押し寄せている。ミレニアル世代のニーズを的確に把握し、急速に顧客基盤を拡大させているロビンフッド(Robinhood)やレボリュート(Revolut)のほか、株式取引手数料無料サービスを提供するFreetradeがオランダとアイルランドに進出するなど、画期的なサービスを展開するフィンテック企業による攻勢が強まっている。今後、米国に続きグローバル証券市場においても、企業の合従連衡が起きる可能性があると予想される。
作成日
:2020.02.25
最終更新
:2023.05.03
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
Milton Marketsが夏トク15%入金ボーナスキャンペーンを開催!
2023.06.21 19:30
XMTradingがF1チームスクーデリア・アルファタウリとスポンサーシップを締結
2023.03.28 20:00
海外FX業者で取引できるエネルギー銘柄は?取引の種類やメリットを解説
2023.02.27 20:00
仮想通貨HOOKとは?将来性は?Hooked Protocolが提供するWild Cashも解説
2022.12.13 21:00
Huobi(旧Huobi Global)は日本居住者向けサービスを停止していない?
2022.12.08 19:30
分散型取引所dYdXの使い方をイチから解説!注意点も紹介
2022.12.01 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー