作成日
:2020.02.03
2021.08.31 15:33
ドイツで2番目の規模の証券取引所を運営するBoerse Stuttgart GmbH(本社:Börsenstraße 4, 70174 Stuttgart
)【以下、Boerse Stuttgartと称す】は、既存の投資市場から積極的に投資家を呼び込んでおり、同社の仮想通貨取引アプリであるBISONのユーザーベースをここ1年で10倍にまで拡大することに成功した。Boerse Stuttgartによると、BISONはBoerse Stuttgartの子会社であるBoerse Stuttgart Digital Venturesが開発しており、ユーザーはEuwax AGの仮想通貨取引所を介してビットコイン(Bitcoin)およびイーサリアム(Ethereum)、ライトコイン(Litecoin)、リップル(Ripple)を取引できるという。2020年1月時点でBISONは、iOSとAndroidに対応し、既に8万1,000件以上のアカウントを開設しているが、将来的にビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)の取り扱いを開始すると共に、デスクトップバージョンのソフトウェア開発を通じて更なる規模拡大を模索しているようだ。
当初、BISONはドイツ国内の居住者のみを対象としていたものの、現在、欧州経済領域(European Economic Area)およびスイスからの利用にも対応しており、今年後半にはその範囲をヨーロッパ全土に広げることを計画している。今年初めにBoerse Stuttgartは、仮想通貨取引所であるBoerse Stuttgart Digital Exchange(BSDEX)を立ち上げ、規制に準拠した形で仮想通貨とユーロの取引を可能とした。
Boerse Stuttgartは、Boerse Stuttgart Digital Venturesの傘下に仮想通貨カストディサービスを提供するblocknox GmbHや、アプリ設計を担当するSowa Labs GmbH【以下、Sowa Labsと称す】などを設立し、本格的に仮想通貨市場への進出を積極的に行っている。Sowa LabsのCEOであるUlli Spankowski氏は、同社が仮想通貨取引を可能な限りシンプルにすることを目指していると述べ、ユーザーのフィードバックに基づいた開発を継続していくと言及した。昨年末、ドイツは銀行の仮想通貨取扱いを許可する法案を可決するなど、仮想通貨の受け入れに向けた動きが見られるだけに、今後もBoerse Stuttgartを含む国内企業の動向に注目していきたい。
release date 2020.02.03
破竹の勢いでドイツの仮想通貨市場を開拓するBISONだが、仮想通貨取引にかかる手数料を無料としたことが功を奏し、ユーザーベースの拡大につながっているようだ。実質的に買値と売値のスプレッドがBISONの利益となっているものの、固定の取引手数料を撤廃したことは、ライトユーザーを募る上では大きな効果があったと考えられる。仮想通貨レンディングのBlockFiも手数料無料の仮想通貨取引サービスを開始し、機関投資家の資金需要を満たすと同時に、ユーザーにメリットを提供するスキームが注目を集めているという。これに対して仮想通貨コミュニティは、取引手数料の無料化と引き換えに、個人の取引データが企業に流用されることを懸念している。しかしながら、昨年、仮想通貨取引所の割高な手数料が露呈した事実を考慮すると、このようなサービスが台頭することは、仮想通貨業界にとっても前向きな変化だと言えるだろう。
作成日
:2020.02.03
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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