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Ant Financial、ベトナムの決済ウォレット開発会社eMonkeyを買収

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update 2021.08.31 15:29
Ant Financial、ベトナムの決済ウォレット開発会社eMonkeyを買収

update 2021.08.31 15:29

反中感情の高まりを考慮し買収契約の詳細を公表せず

中国最大のeコマース運営会社であるAlibaba【以下、アリババと称す】傘下の決済プロバイダーAnt Financial(本社:Z Space, No. 556 Xixi Road, Hangzhou, China[1])が、ベトナムを拠点に多機能デジタルウォレットを開発するeMonkey(本社:No. 2, Lane 61, Lac Trung Str, Vinh Tuy Ward, Hai Ba Trung Dist, Hanoi, Vietnam[2])を買収したことが明らかになった。

ロイターが関係筋の話として伝えたところによると、Ant Financialは中越国境紛争をきっかけとするベトナム人の反中感情が高まっていることを考慮し、今回の買収を正式には発表しない見通しであるとのことだ。そのため具体的な買収金額は明らかとされていないものの、同社はeMonkeyを買収することで、約1億人の人口を有するベトナム市場に参入する機会を得たことになる。ベトナムにおけるデジタル化やモバイル決済はASEAN域内で最も進んでおり、フィンテックの活用も活発化している。たとえば、営業ライセンスを取得しているノンバンク決済プロバイダーが30社あり、その内20社は電子マネー決済サービスを提供している模様だ。

電子決済システムのアリペイ(Alipay)の運営などを担うAnt Financialは、2014年にアリババとの間で締結された戦略的パートナーシップ契約に基づき、2018年にアリババがAnt Financial株式33%を3億3,000万ドルで取得した。これにより、両社のプロフィットシェアリング契約は終了し、Ant Financialにとっては上場に向けた障害が取り除かれたと見られている。なお、同社の上場に関しては、市場からの期待が高まっているものの、会社側からは上場する証券取引所やタイムスケジュールなどは公表されていない。

アリババが2014年に上場する前にスピンオフしたAnt Financialは、現在中国を始めとする約12億人のユーザーに金融サービスを提供している。またアリペイの決済プラットフォームを通じて、タクシーの送迎やホテルの予約、映画チケットの購入など多岐にわたるサービスを提供しているほか、アリババのマーケットプレイスの決済処理において、約0.18%の手数料を受け取るなど、高収益を実現させている。

なお、JPモルガンチェースが新決済ネットワークを日本でリリースするほか、iBanFirstがNBWMを買収するなど、足元では多くの金融サービスプロバイダーが決済サービス分野の強化を図っている。そして今回、Ant Financialはベトナムの有望企業であるeMonkeyを買収し、成長を続ける同国決済市場に進出することで、更なる顧客利用の拡大が期待できそうだ。

release date 2019.12.20

出典元:

ニュースコメント

急成長を遂げるVIPの一角、ベトナムに注目

グローバル経済において、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国の総称)に続き将来有望な市場として注目が集まっているのがVIPだ。VIPはベトナム、インドネシア、フィリピン各国の頭文字をとった造語である。その中でもベトナムは、良好な経済環境が続いている。同国統計総局が公表した2019年上半期の実質GDP成長率は、前年同期比6.8%増と2011年以降で2番目に高い成長率となった。これにより、2019年通年の実質GDP成長率6.6~6.8%という政府目標の達成可能性も高まってきている模様だ。ベトナムは、1986年に市場経済を導入したドイモイ政策を開始し、目覚ましい経済発展を遂げているものの、2018年の1人当たりGDPは2,590ドルに過ぎず、今後の更なる成長が期待されている。他方で、ベトナム政府が2020年までに現金決済の比率を10%未満に減らす目標を掲げ、キャッシュレス決済を主導すると共に、テックサビーな若者を中心に先進的なテクノロジーを活用したネット決済の土壌が形成されつつある。また、ASEAN域内のなかでも通信費が低水準に抑えられていることが、スマホを利用したネットショッピング及び決済が急速に普及する要因になっている模様だ。実際に2019年第1四半期のモバイル決済取引額は前年同期比約232%増と急拡大している。同国をターゲット市場と定め、金融サービスプロバイダーの進出も進んでおり、たとえばFX1 InternationalがAPAC地域で業容拡大を模索している。消費・決済市場が順調に成長するベトナムにおいて、1人当たりGDPの拡大と共に、FXを始めとする資産運用ニーズも高まることを期待したい。


Date

作成日

2019.12.20

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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