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ECB、中央銀行発行デジタル通貨を用いた匿名取引の実現を模索

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update 2021.08.31 15:29
ECB、中央銀行発行デジタル通貨を用いた匿名取引の実現を模索

update 2021.08.31 15:29

取引量に応じたコンプライアンス要件を策定

欧州中央銀行(European Central Bank)【以下、ECBと称す】が、中央銀行発行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency, CBDC)のプルーフ・オブ・コンセプト(Proof-of-concept)【以下、PoCと称す】を策定したことが明らかになった。[1]

ECBのリサーチ機関であるEUROchainが、分散型テクノロジーを活用したアプリの実証を行うべく、中央銀行発行デジタル通貨のPoCを策定したとのことだ。そのPoCは、個人取引のプライバシー保護とAML(アンチマネーロンダリング)対策を両立させることを意図している。ECBは、経済のデジタル化が進むことで、電子決済におけるプライバシー保護とAML及びCFT(テロ資金供与対策)推進のバランスをとった決済エコシステムの構築という大きな課題に取り組むことが求められていると指摘している。

ECBは、中央銀行発行デジタル通貨の少額取引には中央銀行のモニタリングを回避する匿名バウチャーと呼ばれる仕組みを採用する一方で、高額取引に関してはAML及びCFTといったコンプライアンスの観点から本人確認を義務付ける計画だ。またコンプライアンス担当当局は、匿名バウチャーを活用することで、中央銀行発行デジタル通貨の取引量を制限すると共に、一定の取引時間を設けるという。仮に、ユーザーが当局に個人情報を提供することなく中央銀行発行デジタル通貨の送金を希望する場合には、同等の匿名バウチャーを利用しなければならないとのことだ。つまり、コンプライアンス担当当局が各ユーザーに交付する匿名バウチャーの量を制限することで、匿名性を確保した中央銀行発行デジタル通貨の取引量を制限する計画であるという。

各国中央銀行が独自の中央銀行発行デジタル通貨の研究開発を推し進めるなか、今回ECBが提示した取引スキームが即座に浸透するか否か、今後の動向を見守る必要がありそうだ。

release date 2019.12.19

出典元:

ニュースコメント

リブラなどのデジタル通貨エコシステムに対抗する中央銀行発行デジタル通貨

中央銀行発行デジタル通貨とは、円やドルなどの法定通貨建てのデジタル化された通貨であり、なおかつ中央銀行の債務として発行されることを要件としている。ECB以外では、中国人民銀行が独自仮想通貨の運用テストを実施しており、中国においても人民元建てのデジタル通貨のグローバルベースでの利用促進に向けた動きが活発化していることがうかがえる。また、中央銀行発行デジタル通貨の研究開発において他国を先行しているスウェーデンにおいては、仮想通貨プロジェクト推進のために、スウェーデン国立銀行がアクセンチュアと協業し、イークローナ(e-Krona)と呼ばれる独自仮想通貨の発行を模索している状況だ。そのほかにも、カナダ銀行が独自仮想通貨の発行を検討するなど、世界各国の中央銀行がデジタル通貨の発行を模索している。その背景として、Facebook(フェイスブック)のリブラを始めとするデジタル通貨エコシステムが、既存の国際決済システム及び法定通貨の脅威になるとの認識から、それに対抗する通貨の運用を試みていることが挙げられる。プライバシーの保護とコンプライアンスの徹底というデジタル通貨を利用する上での2つの課題を克服する、画期的なソリューションが開発されることを期待したい。


Date

作成日

2019.12.19

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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