作成日
:2019.12.03
2021.08.31 15:29
韓国で人気のメッセージングアプリケーションであるKakao Talk(カカオトーク)を展開するKakao Corporation【以下、カカオと称す】が、仮想通貨ウォレットのKlip(クリップ)を2020年上半期までにリリースする予定であることが明らかになった。
カカオは今年6月にブロックチェーンプロジェクトのKlaytn(クレイトン)を立ち上げて以来、このイニシアチブを介してエコシステム拡大に向けた取り組みを継続しており、その一環で仮想通貨ウォレットの開発に着手することを公表していた。実際の開発業務を担うカカオ傘下のGroundXによると、KlipはKlaytnのネイティブトークンであるKlay(クレイ)および同社の独自規格であるKRC-20を基礎とする仮想通貨に対応し、dApp(分散型アプリケーション)との連携をサポートするという。初めにGroundXはKaikasと呼ばれるWebブラウザー向けの拡張子を通じて基本的な仮想通貨の保管と取引機能を提供する予定だが、将来的にはスタンドアローン版をリリースすることも見据えているようだ。
カカオの共同CEOであるYeo Min-soo氏は、このプロジェクトに関して次のようにコメントしている。
カカオは既にブロックチェーンベースのポイントシステムであるKakaoCon(カカオコン)をローンチしているが、身元確認ソフトなどを含むブロックチェーン技術を活用したアプリケーションの開発も計画しています。Klayの開発を積極的にサポートすることで、人々が日常的にKlayを使用できる環境を構築したいのです。現在、ブロックチェーンは技術的および法的観点から議論され始めていますが、日常生活で利用できるキラーサービスが存在せず、ユーザーやアプリケーションもまだまだ不足していると言えるでしょう。現在、Klaytnのサービスはアジアに集中しているものの、徐々にその地域を拡大し、将来的にはグローバルなブロックチェーンプラットフォームとしての地位を確立したいと思っています。そのために我社は投資を惜しまず、ガバナンスを担う協議会メンバーにも協力を求めているのです。
Yeo Min-soo, Co-CEO of Kakao Corporation - The Korea Heraldより引用
当初、Klipは韓国内のみで公開される予定だったが、2020年後半には海外のユーザーも利用できるようになるという。今年初めにカカオは9,000万ドルの資金調達に成功し、Klaytnの開発を加速させており、既に同ブロックチェーン上のトランザクション数は日間70万件を超える規模にまで達している。先日、韓国で仮想通貨関連法案が可決され、同分野の規制が明確化されつつあるが、当局はこの取り組みをどのように評価しているのか、今後もカカオの動向に注目していきたい。
release date 2019.12.03
最近の世界的なキャッシュレス決済の流行を受け、主要なメッセージングアプリケーションは仮想通貨や電子通貨を含むペイメントソリューションとの機能統合を進めており、同分野での開発競争が激化しているようだ。特にFacebookはFacebook Payを発表し、リブラ(Libra)の開発だけに留まらず、同社が展開するMessenger(メッセンジャー)やWhatsApp(ワッツアップ)での個人間送金をサポートすることを明確にした。一方、競合のテレグラムは仮想通貨ウォレットをローンチしたことで、同社のプラットフォーム上から独自仮想通貨のグラム(Gram)による決済を可能にしている。韓国ではKakao Talkに加えてLINE(ライン)がこれら大手企業の流れを追従する動きを見せているが、この覇権争いはどのような結末を迎えるのか、今後もその行方を見守っていきたい。
作成日
:2019.12.03
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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