Select Language

中国人民銀行がリブラに先駆けて独自仮想通貨を発行する可能性

中国人民銀行がリブラに先駆けて独自仮想通貨を発行する可能性

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:29
中国人民銀行がリブラに先駆けて独自仮想通貨を発行する可能性

update 2021.08.31 15:29

元中国共産党の高官が公演で当局の取り組みについて言及

元中国共産党の高官で金融経済委員会のディレクター代理を務めたHuang Qifan氏は、Facebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)に先駆け、中国人民銀行(People's Bank of China)【以下、PBoCと称す】がデジタル人民元と呼ばれる独自仮想通貨のDCEP(Digital Currency/Electronic Payment)を発行する可能性があることを示唆した。[1]

これまでPBoCは2014年に仮想通貨の調査を開始し、国内の研究機関を通じてDCEPの開発を目指すと発表していた。その中でFacebookのリブラに関する情報が公開されて3カ月後の今年9月に、決済システム部門のディレクター代理であるChangchun Mu氏を研究所長に任命するなど、同行はこのプロジェクトを加速させる動きを見せている。また、先日、習近平国家主席がブロックチェーン技術を受け入れる内容の発言をした影響もあり、DCEP関連の取り組みが活発になっているようだ。PBoCは公式文書の中でDCEPとリブラを比較するなど、Facebookをライバル視していることがうかがえるが、Qifan氏はDCEPの発行が同社の企てに先行するとの見解を示しているという。

これに加えQifan氏は、このDCEPとリブラの開発競争に関して以下のようにコメントしている。

テクノロジーが成熟しているため、PBoCが国家主導の仮想通貨を最初に発行する可能性は高いと言えるでしょう。個人的にはリブラの試みは成功しないと思っています。いくつかの企業はビットコイン(Bitcoin)やリブラのような仮想通貨を発行し、法定通貨に対抗しようとしていますが、分散型システムのブロックチェーンを基礎とした仮想通貨が本当の意味で資産としての役割を果たすことは難しいです。

Huang Qifan, Former Deputy Director of Congressional Financial and Economic Affairs Committee - CoinDeskより引用

この講演の中でQifan氏は国家主導の仮想通貨が世界の金融市場に与える影響に関しても触れると同時に、DCEPの価値が国の信用や金保有量、財政収支、GDPに連動することが想定できると述べた。これに加えて、Facebookのリブラなどの民間企業が開発を進めるステーブルコインの脅威に対しては、政府や中央銀行が独自仮想通貨を発行することが有効だと断言している。Qifan氏によると、現在、24カ国が90社を超える多国籍企業と連携して分散型台帳技術の開発に取り組んでいるが、EU(欧州連合)や日本、ロシアはSWIFT(国際銀行間通信協会)の代替となり得る仮想通貨ネットワークの構築を試みているという。

中国共産党は党員の忠誠を証明するための分散型アプリケーション(dApp)であるOriginal Intentions Onchainをローンチし、公言通りにブロックチェーンを様々な分野に導入する姿勢を示している。習近平国家主席の発言でビットコイン価格が2,500ドルの急騰を見せるなど、いまや中国は仮想通貨市場を左右する存在となったが、今後もその動向を見守っていきたい。

release date 2019.10.29

出典元:

ニュースコメント

米中で対照的な仮想通貨市場の展望

先日、習近平国家主席の仮想通貨に関する発言があった後、中国最大の検索エンジンであるバイドゥでは、ブロックチェーンおよびビットコインをキーワードとする検索量が200%増加するなど、仮想通貨に対する関心が高まっているという。これに加えてQtumやVechain、オントロジー(Ontology)、ネオ(NEO)、トロン(Tron)、Bytomを含む、中国発の仮想通貨価格が25%から90%の大幅な上昇を見せている状況だ。一方、米国ではFacebookのCEOであるザッカーバーグ氏が米下院の公聴会でリブラに関して証言し、当局の規制を遵守できなければ、Libra Associationからの撤退も辞さないと述べたことが仮想通貨コミュニティの落胆を誘った。また、米CFTC元会長もビットコインバブルの終焉を示唆しており、米中で対照的な仮想通貨市場の展望となったが、今後も両国での展開に注目していきたい。


Date

作成日

2019.10.29

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」を開催!入金&取引で豪華賞品をプレゼント

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」の開催を発表しました。本キャンペーンでは「Switch 2」のほか、豪華賞品が抽選でプレゼントされます。取引を重ねるごとに抽選権利がもらえる仕組みで、取引するほど当選確率がアップします。
update2025.07.16 19:00

Exnessでスワップフリーが突如剥奪されるバグ発生、対象者には補償予定

海外FX業者のExnessで突如スワップフリーが剥奪されたとするXの投稿が注目を集めています。Exnessはシステムのバグが原因と説明しており、スワップが発生したユーザーに対して補償する方針を示しています。
update2025.07.18 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル