作成日
:2019.10.29
2021.08.31 15:29
今月28日、インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange)【以下、ICEと称す】が手がける仮想通貨取引プラットフォームのBakktは、仮想通貨を利用した決済を実現する小売業者向けのアプリケーションを立ち上げる予定だと発表した。
BakktのCPO(Chief Product Officer)であるMike Blandina氏は、このアプリを介して利用者の仮想通貨決済をサポートできるよう開発に取り組んでいると述べた。2018年8月にICEがBakktを立ち上げた際、同社はスターバックスやその他企業と提携することを発表しただけで、それ以上の情報を公にしてこなかったが今回、2020年上半期までにこの仮想通貨決済アプリをローンチすると発表している。現在、Bakktはビットコイン(Bitcoin)およびその先物商品のみを取り扱っているが、将来的に同仮想通貨以外の通貨にも対応する可能性があるという。
Blandina氏はこの取り組みについて次のようにコメントしている。
我社は個人が仮想通貨の価値を体感できるようなアプリを立ち上げる予定です。これにより小売業者は更に広い層の顧客にリーチできるようになるでしょう。我社が開発するモデルで鍵となるのは、投資家が証券取引口座で株を取引するのと同じくらい、多くの仮想通貨をシームレスにサポートする機能です。Bakktは仮想通貨の保管や決済、取引、移管を問わず、仮想通貨ポートフォリオを管理するための個人向けプラットフォームを提供したいと思っています。仮想通貨ウォレットへのトランザクション処理や決済機能の統合が進めば、小売業者と個人がこれまでになかった方法で仮想通貨を利用する機会を提供できるのです。
Mike Blandina, CPO of Bakkt - Bakkt Blogより引用
先月、Bakktがビットコイン先物を提供開始したことが報道されたが、これまでその取引量は低調な推移を見せていた。しかしながら、今月23日にビットコイン価格が7,500ドルを下回る急落を見せたことを引き金に、Bakktのビットコイン先物に需要が集中し始めている状況だ。続く25日には、中国の習近平国家主席による仮想通貨受け入れに関する発言に伴ったビットコイン価格の大幅な変動から、Bakktのビットコイン先物は1,183件の取引量を記録した。競合のCMEに追随する形でBakktはビットコインオプションのローンチを押し進めているようだが、今後も同社の取り組みに注目していきたい。
release date 2019.10.29
これまで投機的な側面ばかり注目されてきた仮想通貨は、本来の通貨としての実利用に向けたインフラの構築や普及が滞っていたが、仮想通貨ウォレットの発展やステーブルコインの台頭などの要因を背景に、米国を中心とする大手小売業者による決済手段としての受け入れが加速しているようだ。Bakktはスターバックスを最初のパートナーとして選定しているが、同社は既にAmazon【以下、アマゾンと称す】やUber(ウーバー)、Target(ターゲット)などと並び、FOLDと呼ばれるサードパーティアプリを介したビットコイン決済に対応している。また、その他にも米国市場では今年6月にCLICがアマゾン向けのETH決済システムを開発していることが明らかになったばかりだ。Bakktは仮想通貨決済ネットワークを成立させることで同社のエコシステム拡大を狙っているようだが、この企てはうまくいくのか、今後もその展開を見守っていきたい。
作成日
:2019.10.29
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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