Select Language

G7がステーブルコインの脅威に警笛を鳴らす

G7がステーブルコインの脅威に警笛を鳴らす

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:29
G7がステーブルコインの脅威に警笛を鳴らす

update 2021.08.31 15:29

世界的な金融システムの根幹を揺るがす可能性

G7は最新のレポートを発行し、その中でFacebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)のようなステーブルコインが世界経済の脅威になると主張し、急速に進展する仮想通貨市場の現状に警笛を鳴らした。[1]

このレポートは加盟国の中央銀行、国際通貨基金(International Monetary Fund, IMF)、金融安定理事会(Financial Stability Board)【以下、FSBと称す】などが参加するG7の仮想通貨タスクフォースがまとめたものであり、近日中にIMFの会合で各国の財務大臣に提出される予定だという。G7は法務や規制、監視などの問題が全て解決されるまでステーブルコインの運用を避けるべきだとの考えを明確にすると同時に、Facebookのようなステーブルコインの発行者がこれらの懸念に対処したとしても発行が許可されるわけではないと慎重な姿勢を示した。また、このレポートの中では、世界的なステーブルコインの発行者は健全であることに加えて、消費者を保護することを保証し、マネーロンダリング防止(AML)やテロ資金供与(CFT)の撲滅に尽力しなければならないとの議論が展開されている。更にG7は、リブラが市場を独占した場合、信頼が喪失した際には世界的な金融システムの根幹を揺るがす可能性があるとの見解を示した。

FSBの議長を務めるRandal Quarles氏は、この問題に関して次のようにコメントしている。

FSBは既にこの問題へのアプローチを開始しています。世界的な影響をもたらす可能性があるステーブルコインプロジェクトには、最高水準の規制を課し、監督と監視を行わなければなりません。G7の仮想通貨タスクフォースは、ステーブルコインが与える影響に関して精査を進めており、FSBが抱える規制上の問題点についても議論を始めたいと考えています。

Randal Quarles, Chairman of FSB - FSBより引用

今年6月、議長国を務めるフランス当局がG7の仮想通貨タスクフォースを発足し、同国の中央銀行総裁であるFrancois Villeroy de Galhau氏は、イノベーションに適切な規制を課すことで公共の利益を最大化したいとの方針を定めている。しかしながら、Facebookに対する風当たりは確実に強まっており、ペイパルがLibra Associationからの脱退を表明したのに加え、Visaやマスターカードなどの企業もそれに同調する動きを見せているようだ。米国政府もリブラの去就に目を光らせているが、今後もステーブルコインを取り巻く情勢に注目していきたい。

release date 2019.10.15

出典元:

ニュースコメント

中央集権型のステーブルコイン運用に課題

Facebookが公開したリブラのホワイトペーパーでは、同プロジェクトへの投資に貢献したパートナー企業の連盟であるLibra Associationが主要な決定を行うことが明示されているが、この中央集権型の構造が大きなリスク要因になるとの懸念が高まっている。今回、G7もレポートの中で開発やインフラ整備、マイニングなどの権限がごく少数に集中することが問題だと指摘し、リブラがその運用システムに課題を抱えている事実を強調した。現に中央集権型のステーブルコインとして広く流通するテザー(Tether)も、その準備金の監査方法や監査法人の選定、法定通貨の払い戻しなどでトラブルになっており、時折価格が乱高下する事態に見舞われている状況だ。中国では中国人民銀行によるステーブルコイン開発が加速するなど、政府主導の新しい試みも進んでいるようだが、世界の規制機関はこの動きをどのように見ているのか、今後も仮想通貨市場の動向を見守っていきたい。


Date

作成日

2019.10.15

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

メタマスク等の利用が規制対象に?金融庁がDEXの規制を議論

暗号資産WGでの議論を発端に、SNS上で「DEX利用が非合法化されるのでは?」といった投稿が話題になっています。本記事では、金融庁で議論されたDEX規制の現状や、SNSで広まる情報の真偽、海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.10.28 19:00

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

Exnessでシステムエラーによる入出金の不具合が発生?SNSでも報告が相次ぐ

2025年10月、海外FX業者Exnessで入出金エラーが発生し、SNSでも不具合報告が相次ぎました。銀行振込やbitwalletで送金できない事例が確認されており、復旧後も不安の声が続いています。
update2025.10.16 19:00

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル