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ネム、カタパルト移行に関する詳細を公開

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update 2021.08.31 15:29
ネム、カタパルト移行に関する詳細を公開

update 2021.08.31 15:29

新通貨発行に向けたFAQもリリース

人気仮想通貨ネム(NEM)のブロックチェーン開発や事業推進を手がけるネム財団は、直前に迫る同ブロックチェーンのカタパルト移行に伴って新しく追加される機能の詳細とそのユースケースを公式ウェブサイト上で公開した。[1]

ネムの大型アップデートとして実装が進められているカタパルトは、大手仮想通貨取引所のZaifを経営していたテックビューロが開発した技術を基礎とし、トランザクションの高速化やセキュリティの強化、利便性の向上を図ることを目的としている。このカタパルトの実装でネムは、全く別のブロックチェーンへと移行するが、それと引き換えに独自のスマートコントラクトやマルチレイヤーのチェーン構造を活用した新しい機能が利用できるようになるという。

ネムの公式ウェブサイト上では、以下の機能詳細が公開された。

-Aggregate Transactions-
独自のスマートコントラクトを使用すれば、複数のトランザクションをひとつに統合することが可能となり、より確実な取引を実行できるという。これに加えて、異なるブロックチェーン間での取引を実現するクロスチェーン機能が有効なため、ネムやその他仮想通貨、トークン化された資産を含む複雑なトランザクションにも対応し、柔軟な取引スキームが構築可能となる。これらの機能は自動決済システムや異なる資産クラスを対象としたエスクローシステムなどに利用されることが想定されている。

-Multi-Level Multisignature Account-
トランザクションの完了に複数の秘密鍵を必須とするマルチシグだが、ネムの新しいセキュリティ機能は、これをAND/ORのロジックでツリー型の階層構造に落とし込むことでその安全性を強化している。複数の承認者やデバイスを登録し、承認経路を自由に構築できるため、資金の送金やアカウントのリカバリなど、用途に合わせたセキュリティレベルの設定が可能となる。また、詐欺行為を検出するAIを紐づければ、更なるセキュリティ向上につながる。

-Four Layer Architecture-
新しいネムのアーキテクチャはコアブロックチェーン、DBおよびAPI、ソフトウェア開発、アプリケーションの4層構造で、それぞれ異なる目的のワークロードを処理できるようになっている。各レイヤーは必要な情報を伝達し、システム全体の適切な動作をサポートするが、お互いが干渉し合うことはないため、高いパフォーマンスを維持することが可能だ。

これに併せてネム財団はユーザー向けのFAQもリリースしており、カタパルト移行後の新通貨発行へ向けた対応の準備を促している。その中でネム財団は、カタパルト移行後もネムのブロックチェーンが停止されることはないと公言しているものの、新通貨の受け取りを希望するユーザーはローンチ前に手続きを行う必要があると説明した。今年2月、組織再編のため、ネム財団は大規模なリストラを計画し、カタパルトの開発に注力する方針を示しているが、この試みは成功するのか、今後も同社の取り組みを見守っていきたい。

release date 2019.10.11

出典元:

ニュースコメント

カタパルト移行に伴うリスクに高まる懸念

人気仮想通貨であるネムは既に数多くの取引所に上場されているため、カタパルト移行に伴う新通貨の発行で少なからず混乱が生じることが予想できる。実際にネム財団が新通貨の上場を各取引所の判断に委ねていることから、十分な流動性を確保できず、価格に大きな影響をもたらすリスクに懸念が高まっているようだ。これに関してネム財団は投資などの価格決定要因には一切関与しない姿勢を示しているが、売り圧力が強まれば、同システム運用の肝となるスーパーノードが保有する大量のネムを手放す可能性も出てくる。このような事態は昨年11月にビットコインキャッシュが次期アップデートで分裂の可能性を示した際にも発生しており、先行きの不透明さから同仮想通貨の価格が乱高下する結果を招いた。先日もイーサリアムのテストネットで分岐が発生するなど、仮想通貨のアップグレードには常にリスクが伴っていると言えるが、コミュニティはこの状況をどう判断するのか、今後も仮想通貨市場の動向に注目していきたい。


Date

作成日

2019.10.11

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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