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イーサリアム、テストネットで一時的な分岐が発生

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update 2021.08.31 15:29
イーサリアム、テストネットで一時的な分岐が発生

update 2021.08.31 15:29

予定が早まったことが原因でマイナーの対応が遅れる

イーサリアム(Ethereum)の次期ハードフォーク計画であるイスタンブール(Istanbul)の実装に向けて、テストネットワークのロプステン(Ropsten)でシステムアップグレードが実施されたが、一時的にブロックチェーンの分岐を生むエラーが発生したことが明らかになった。[1]

当初、このテストネットのアップグレードは648万5,846番目以降のブロックで有効化される予定だったが、ブロックの承認間隔が異常に狭まったことから予定日の9月30日より2日早く実施されたという。通常、イーサリアムのメインネットやテストネットでハードフォークを実施する際は、スムーズなシステムの移行をサポートするためにクライアントソフトウェアを手動で更新する必要がある。しかしながら、今回ロプステンのアップグレードが予定よりも早まったことが原因で、大多数のマイナーがそれに対応できず、ブロックチェーンの分岐が発生したようだ。

イーサリアム財団のコミュニティマネージャーであるHudson Jameson氏は、このテストネットの分岐について次のようにコメントしている。

テストネットのロプステンに2つの異なるブロックチェーンが存在することが確認されています。マイナーがそれぞれ古いブロックチェーンと新しいブロックチェーンをマイニングしているようです。PoW(プルーフ・オブ・ワーク)のテストネットにおける難しい部分はマイナー間の調整を促すことですが、現在、我々はロプステンにイスタンブールを正しく実装するために複数のマイナーに協力を求めています。

Hudson Jameson, Community Manager of Ethereum Foundation - CoinDeskより引用

また、このロプステン以外にもイーサリアムは問題を抱えており、イスタンブールがメインネットに実装された場合、dApp(分散型アプリケーション)を管理するスマートコントラクトのコードを更新する必要があることがわかっている。特にイーサリアムブロックチェーンを活用してDAO(Decentralized Autonomous Organization)を構築するAragon Oneのプラットフォーム上では、680個ものスマートコントラクトが影響を受けることが報告されているようだ。その原因はイーサリアムの手数料(GAS)の変更に関する条項が含まれるEIP(Ethereum Improvement Proposal)1884だと特定されているが、効率的なブロックチェーン実現のためにはこの変更が必須であることから、各所で早急な対応が求められている状況だ。

今回のテストネットでの失敗がメインネットでの計画にどのように影響するかは明らかではないが、Jameson氏はこのことを今月4日の開発者会議で議論すると述べている。今のところ、イーサリアムコミュニティとのコミュニケーションが不十分であることが課題としてあげられているが、既に1ヶ月の遅れが生じているイーサリアムのハードフォーク計画に変更はあるのか、今後も同仮想通貨の取り組みに注目していきたい。

release date 2019.10.01

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨市場の命運を握るイスタンブール

仮想通貨市場でビットコイン(Bitcoin)に次いで第2位の時価総額を誇るイーサリアムは最も開発活動が活発な仮想通貨として知られているが、過去にもハードフォーク時の調整ミスやバグなどが原因でブロックチェーンに分岐が発生する事態に見舞われた経緯がある。イーサリアムにおける4度目のハードフォークでは、今回と同様の理由でメインネット上に分岐が発生し、破棄されたブロックチェーンのマイナーが合計750ETHのマイニング報酬を失う結果を招いた。今年8月にはハードフォークを前にイーサリアムクラシック価格が高騰していることが確認されるなど、同仮想通貨のハードフォークが価格決定に大きな影響力を持っているだけに、仮想通貨市場全体にとってもイスタンブールの成功が重要になってくると言えるだろう。現在ビットコイン価格が転落し、仮想通貨市場は調整相場の様相を呈しているが、今後もイーサリアムのハードフォークと合わせてその動向を見守っていきたい。


Date

作成日

2019.10.01

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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