作成日
:2019.09.27
2021.08.31 15:29
今月24日、ビットコイン(BTC/USD)価格が18%の急落を記録し、8,000ドル付近にまで一気に転落したことから、一部仮想通貨コミュニティではその資産としての安全性に対する懸念が高まっているようだ。
弱気な仮想通貨市場の動向は業界でも議論の対象となっているが、今回、ビットコイン価格が暴落した事実は、同仮想通貨のハッシュレートが低下したことに起因すると論じられているようだ。報告によると、ビットコインのハッシュレートは1秒あたり9,800万テラハッシュから6,700万テラハッシュまで低下しており、ネットワーク全体の健全性が損なわれつつあることを示しているという。また、別の見方としてeToroのシニアマーケットアナリストであるMati Greenspan氏は、Bakktがビットコイン先物の提供を開始したことが現物市場に影響を及ぼした可能性があると指摘している。Bakktがローンチしたビットコイン先物の取引結果が期待よりも低調な滑り出しとなったことから、ビットコイン価格の急落は典型的な「噂で買ってニュースで売る」の例だと言えるだろう。
これに加えてGreenspan氏はビットコインと株式市場の間に相関性があると述べ、今月24日の米国株式市場における不調がビットコイン価格の暴落を先導したと主張している。しかしながら、Greenspan氏が提示したデータが非常に短期的なものであると同時に、株式市場の下落が仮想通貨市場ほど深刻ではないため、大半の投資家はこの値動きの同調が偶然である可能性が高いと見ているようだ。ここ3日間でビットコイン価格は過去3カ月のプラスを消し去り、株式市場とは比べ物にならないスピードで後退している状況だ。
仮想通貨市場全体では400億ドルもの時価総額が失われたものの、ビットコインの取引量は増加しており、7月下旬から下降線を辿っていたボラティリティも3.1%に上昇している。その他にも仮想通貨市場全体におけるビットコインが占める時価総額の割合が67.2%から68.3%まで向上するなど、楽観的な材料も揃っているようだが、投資家はこの事態をどのように解釈しているのか、今後も仮想通貨市場の動向に注目していきたい。
release date 2019.09.27
株式市場と債券市場は互いを補完し合うように負の相関性を保っていることが明らかになっており、投資の世界ではこれらの資産クラスがポートフォリオのリスクヘッジやパフォーマンス最適化などに広く利用されている。これまで仮想通貨はそのリスクや特性が不明瞭だったことから、主に投機的な目的での利用に留まっていたが、仮想通貨関連商品を開発するグレースケールが投資戦略におけるビットコインの有用性を示すなど、徐々に投資対象となり得るひとつの資産クラスだとの認識を高めているようだ。今年4月にバイナンスリサーチが実施した調査によると、機関投資家の仮想通貨保有量は全体の7%未満であることがわかっているものの、同社は仮想通貨市場に成長の余地があるとの見解を示している。ビットコイン価格の暴落で資産としての信頼性が揺らいでいるが、再び上昇トレンドに突入すれば、仮想通貨が再評価される時期が訪れる可能性は十分にあると言えるだろう。
作成日
:2019.09.27
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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