作成日
:2018.11.14
2021.08.31 15:27
今月15日にテクニカルアップデートが迫るビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)だが、Bitcoin ABCとBitcoin SVの異なる2つのプロトコルを支持する派閥の対立構造が明らかになった。現時点では、Bitcoin SVがオーストラリアの暗号技術の第一人者であるCarig Wright氏などを含む強力なバックアップを受けており、大多数のマイニングノードがこのプロトコルに移行することで、ビットコインキャッシュのブロックチェーンにフォークが発生する可能性が示唆されている。
世界第4位の時価総額を誇るビットコインキャッシュのネットワーク上では、Bitcoin ABCが最も広く利用されているプロトコルとして認知されているが、今回、主要なマイニングプールが、代替のプロトコルであるBitcoin SVを支持することが予測されている。事実、Bitcoin SVによるハッシュパワーの占有率は向上しており、現時点では、ネットワーク上の76.39%ものハッシュパワーを占めているという。特にCoinGeekのプラットフォーム上では、30.6%から41%へ大幅な上昇が見られた。Bitcoin SVを支持するマイニングプールの中でも、okminerやMempoolは、両者ともに占有率を3.47%まで落としているが、この派閥がハッシュパワーにおいて優位であることは変わりない。
一方、Roger Ver氏などの先導によりBitcoin ABCを支持しているマイニングプールは、マイニングハードウェアの大手Bitmainが管理するBTC.comとAntpoolがそれぞれ6.25%と4.86%、Bitcoin.comが8.33%の割合でハッシュパワーを占有している。しかしながら、12日時点では、Ver氏とBitmain一派の占有率は、それぞれ6.25%と2.78%まで低下しており、状況は思わしくない。
多くのマイニングプールがどちらのプロトコルを支持するかを明確にする中、未だ身の振り方を決めかねているマイニングプールもあるようだ。その中でも、注目はViaBTCで、昨日、7.64%から2.08%に占有率を落としているが、影響力を持つ存在であることは確かだ。また、別のマイニングプールのNorthern Bitcoinは、ビットコインキャッシュのマイニング事業への参入を決めているが、今回の件に関して、どちらの派閥にもコミットメントを示しておらず、ハードフォークの方向性を決める鍵となる可能性が高い。
一方、特定の仮想通貨取引所では、事前にBitcoin Cash ABC【以下、BCHABCと称す】とBitcoin Cash SV【以下、BCHSVと称す】の取引サービスが提供されているようだ。取引状況については、BCHABCが、391ドル前後で推移しており、136ドルの値を付けるBCHSVよりも高値を記録している。また1日の取引量は、投資家の関心の薄れからか、BTCABCは876,258ドルから818,375ドルまで、BTCSVは120万ドルから969,715ドルまで値を下げるなど、共に下落傾向にある。ハッシュパワーの占有率とは裏腹に、時価総額の大きさから見ても、トレーダーは、Bitcoin ABCを支持していることが伺える。15日当日は多くの業界から注目を集める大イベントとなることは間違いない。
release date 2018.11.14
ブロックチェーンの分岐は、日々発生し収束しているが、今回のビットコインキャッシュのような仮想通貨の基礎となるプロトコルの違いや開発理念の違いからくる対立は、結果として仮想通貨の分裂を招く。ご存知の通り、ビットコイン系の仮想通貨は、ビットコインキャッシュをはじめ、ビットコインゴールドやビットコインダイヤモンド、スーパービットコインなど、幾度ものブロックチェーンの派生による分裂から誕生した通貨である。これらの仮想通貨は、仕様が異なることから仮想通貨取引所やウォレットサービスでも自社システムのアップデートが必要となるため、bitwallet PTE. LTDはビットコインキャッシュのハードフォークを見越して、当日の売買や出金を停止することをすでに発表している。もちろん仮想通貨の分裂は、違ったコンセプトを持つシステムを生み出すことにつながるため、決して悪いことばかりではないが、少なくとも仮想通貨関連サービスへ与える影響は大きいと言える。今回のビットコインキャッシュのハードフォークは確実視されているが、果たしてどのような結末を迎えるのか、関係各所の注目が集まるところであろう。
作成日
:2018.11.14
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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