作成日
:2019.08.01
2021.08.31 15:30
仮想通貨取引プラットフォームを運営するLedgerX LLC(本社:54 West 40th Street New York, NY 10018 United States)【以下、レッジャーXと称す】は、米国初となる現物決済のビットコイン(Bitcoin)先物をローンチしたことを正式発表した。
このビットコイン先物は機関投資家だけでなく、KYC(顧客確認)プロセスに準拠する個人も対象に、既存の取引プラットフォームまたはレッジャーXが新しくリリースしたOmniプラットフォーム上で提供されている。これまで現金決済のビットコイン先物はいくつか存在したが、現物決済の契約はレッジャーXが米国初であり、同様の取り組みとして先日ビットコイン先物のテストを開始したBakktよりも先に提供開始する結果となった。レッジャーXのCEOであるPaul Chou氏によると、同社の先物契約はビットコインを担保に取引可能なため、銀行口座が不要で365日24時間、いつでも取引出来るシステムが実現できたという。
昨年11月、レッジャーXは米商品先物取引委員会(US Commodity Futures Trading Commission)【以下、CFTCと称す】に承認を得るための申請を行い、先月、指定契約市場(Designated Contract Market)としてのライセンス発給を受けた。2014年に設立されたレッジャーXは、2017年には既に現物決済のビットコインを対象としたオプションやスワップなどのデリバティブ商品を提供していたものの、その利用は機関投資家に限られていたという。レッジャーXの仮想通貨デリバティブを広く普及させることを目的に、Chou氏は当局との交渉を続け、今回、ビットコイン先物の提供に漕ぎ着けている。
TradeBlockのリサーチディレクターを務めるJohn Todaro氏は、現物決済の先物契約が持つ特性に関して以下のように述べた。
現金決済の先物契約はその構造次第では価格操作の影響を強く受ける可能性があり、満期日の決済に原資産のスポット市場やインデックスを利用することになります。現物決済の先物契約はトレーダーの適切なヘッジ手段となり得るため、投機的な活動を行う機関投資家よりも個人にとって有用だと言えるでしょう。
John Todaro, Research Director at TradeBlock - CoinDeskより引用
2017年にCMEおよびCboeがビットコイン先物を提供開始して以来、このデリバティブ商品は米国中の注目を集めており、撤退したCboeを横目に、CMEはその取引量を大幅に伸ばしている。TD Ameritradeなどの大手金融ブローカーも、CMEのビットコイン先物の取り扱いを始めているが、Chou氏によると、その契約形態やOmniプラットフォームのユーザービリティの観点から、これらの企業が必ずしも競合になるわけではないという。
BakktとErisXの両社もビットコイン先物の市場に参入することを表明しており、Bakktは仮想通貨企業向けライセンスをニューヨーク州金融サービス局に申請し、プラットフォーム上で受け入れテストを実施する段階にまで来ている。一方のErisXもCFTCの承認を受け、ローンチまで秒読み段階にあるようだが、実現はいつになるのか、レッジャーXの動向と併せて今後の展開を見守っていきたい。
release date 2019.08.01
米国で初となるビットコインを原資産としたオプションの提供を2017年に開始して以来、レッジャーXはそれを軸に個人向けのユニークなサービスを次々とリリースしている。今年7月にも10万ドルの権利行使価格で2020年を満期とするLEAP(Long-Term Anticipation Securities)を公開し、その大胆な試みが話題を呼んだ。現在のビットコイン(BTC/USD)価格が1万ドル程度だということを考慮すると、途方も無い契約に思えるが、Chou氏によるとこのコールオプションを購入する者も実際に存在するという。2018年にもレッジャーXはビットコインの預金口座サービスを開始し、コールオプションとビットコインの現物資産を利用したカバードコールによる擬似的な利息収入を生み出すスキームを確立した。今回、現物決済のビットコイン先物が製品群に新しく加わったが、どのようなサービスが開発されるのか、今後のレッジャーXの取り組みに期待したい。
作成日
:2019.08.01
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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