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V20で仮想通貨関連企業が国際団体設立に合意

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update 2021.08.31 15:26
V20で仮想通貨関連企業が国際団体設立に合意

update 2021.08.31 15:26

FATFや各国政府との認識の差を埋める役割に期待

G20サミットと並行して開催されたV20サミット(Virtual Asset Service Providers Summit)では、金融活動作業部会(Financial Action Task Force)【以下、FATFと称す】が推し進める世界的な仮想通貨規制に対し、仮想通貨関連企業(Virtual Asset Service Providers)【以下、VASPと称す】が新しく国際団体を設立するとの合意に至った。

このVASPの国際団体は、各国政府に仮想通貨業界の利益や目標に対する理解を求めることを目的に活動を行うという。今回、日本ブロックチェーン協会を筆頭に、Australian Digital Commerce Association、Singapore Cryptocurrency and Blockchain Industry Association (ACCESS)、Korean Blockchain Association (KBCA)、Hong Kong Blockchain Association (HKBA) 、Taiwan Parliamentary Coalition for Blockchain & Industry Self-Regulatory Organizationなどの企業がこの団体設立を支持する旨の覚書に署名した。

我々は新しい団体を設立し、各国政府やFATFが仮想通貨業界の価値や目的を国際的なレベルで理解できるように努めます。この合意はVASPが政府との対話を実現するための協力体制を示したものであり、コンプライアンス基準の向上を促すと同時に、業界の経済的価値の認識を高めることに力を発揮するでしょう。

Ronald M Tucker, Founder of Australian Digital Commerce Association - Cryptonewsより引用

今月21日、FATFは仮想通貨に関するガイドラインを発表したが、業界関係者からは批判の声が上がっており、その対策を議論する場として急遽このV20の開催が決定した。V20には、コインベース、Bitfinex、Huobi、Kraken、Okcoin、B2c2、Bitcoin.com、Deloitte、Pwcなどの世界的な企業が参加し、日本からは金融庁の登録業者となっているBitflyer、Bitpoint、コインチェック、楽天ウォレット、Huobi、SBIグループの代表者が議論に加わった。

仮想通貨ウォレットやその他関連サービスを展開するBitcoin.comの顧問弁護士であるDaniel Kelman氏は、FATFが政府の承認を受けていないVASPを国際送金ネットワークから排除するスキームの構築を試みていることを指摘した。これに対してKelman氏は、全く仮想通貨の本質を理解していないと批判しているが、その一方でマネーロンダリング対策(AML)や金融包摂はイノベーションより常に優先されるべきであるとの原則にも触れている。

また、Kelman氏はFATFの規制に対する問題点に関して以下のように述べた。

FATFが仮想通貨を理解していないことは大きな問題であり、銀行業界の規制をそのまま押し付けようとしていることは明らかです。例えば、仮想通貨分野では実現不可能なTravel Rule(Bank Secrecy Actに基づく規制)ではなく、パブリックブロックチェーンを分析してリスクを評価する方が現実的だと言えるでしょう。この方法を提案しましたが、FATFは彼らのやり方が公正かつ有効であることを主張するばかりです。

Daniel Kelman, Resident Legal Advisor at bitcoin.com - news.bitcoin.comより引用

FATFの提案の中で、1,000ユーロまたは1,000ドル以上の送金に関与した個人の情報を当局に共有するという規定が最大の争点となっているが、この原案を作成したブロックチェーン分析会社のChainalysisでさえもそこに課題があることを認めている。FATFの提案を実現するためには、各国の金融情報部門はシステムをアップデートする必要があり、口座凍結や差し押さえを実行するための体制を整えなければならない。その結果、各国にライセンス制度の導入を義務付けるだけでなく、一般消費者や企業向けの銀行を含む金融機関の協力も必須となる。加えて、この規制を実現するためには、各国政府が国内のマネーロンダリング対策やプライバシー保護法に適応したルールの調整作業も必要になるという。

このガイドラインでは中央集権型のサービスにしか触れられておらず、FATFのTom Neylan氏は、今後、分散型取引所やP2P(ピアトゥーピア)取引への対応についても規制案を拡大していきたいと伝えている。また、Neylan氏は、この規制は業界にパニックをもたらすものではなく、よりオープンな市場環境を構築することが目的だと強調した。しかしながら、FATFのガイドラインはあくまでも推奨される事柄であり、法律ではないことから、G20加盟国にそれを採用させる強制力はないようだ。

V20に参加した企業の中には、これを好機だと捉える者もおり、例えば、Huobi Globalのコンプライアンス責任者であるSun Ye Lin氏は、FATFのについて以ガイドライン下のように述べた。

業界とG20の対話は始まったばかりですが、FATFは仮想通貨業界の特性を明確にし、業界全体が抱える問題にソリューションを提供することでしょう。短期的には業界の課題となることは事実かもしれませんが、それと同等の機会も待っています。これは業界の成長を促進するチャンスであると同時に、悪を排除するためのテクノロジー開発や投資家保護の強化を実現する力となるのです。

Sun Ye Lin, Head of Compliance at Huobi Global - news.bitcoin.comより引用

FATFの規制が直接的な影響力を持つかは明らかではないが、世界的な仮想通貨規制に関する議論が加速するきっかけとなっているのは確かだ。仮想通貨は国際的な関心を集めているだけに、FATFやVASPの新団体、各国政府の動向には今後も注目していきたい。

release date 2019.07.01

ニュースコメント

世界をリードする日本の仮想通貨規制

今回、V20には日本の自主規制団体である日本仮想通貨交換業協会(Japan Virtual Currency Exchange Association)【以下、JVCEAと称す】のディレクターを務める福井崇人氏も参加し、国内の仮想通貨市場のケーススタディを共有している。日本は世界に先駆けて仮想通貨をいち早く合法化しており、仮想通貨分野の規制においては世界をリードする存在として位置付けられており、実際にこれまでも金融庁を中心に様々な問題が解決されてきた。他国との違いとしては、JVCEAが金融庁に認可を受けた正式な自主規制団体としての権限を利用し、法整備が遅れる仮想通貨市場を統制していることが挙げられるが、その実効性は非常に高いと言えよう。2018年には、国内大手取引所のコインチェックやZaifが大規模なハッキング被害に見舞われたが、JVCEAは顧客資産の運用ルールやレバレッジ制限、匿名通貨の取り扱い禁止を提案するなど、国内市場の環境改善に大きく貢献している。V20ではFATFの業界への圧力が問題視されていたが、今後、VASPにはJVCEAのような自主規制も含めた妥協案を模索してほしい。


Date

作成日

2019.07.01

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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