Select Language

FATF、仮想通貨市場の監視強化を提案

FATF、仮想通貨市場の監視強化を提案

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
FATF、仮想通貨市場の監視強化を提案

update 2021.08.31 15:26

今月末のG20サミットで採用が検討される

G20が主導する金融活動作業部会(Financial Action Task Force)【以下、FATFと称す】は、高い匿名性が問題視されている仮想通貨取引への対応案を定めたガイドラインを作成し、仮想通貨市場の監視を強める方針を明確なものとした。[1]

これまでFATFは、顧客確認(KYC)やマネーロンダリング対策(AML)、テロ資金供与対策(CTF)など、仮想通貨取引に関する対応に遅れを取っていたが、今回、ブロックチェーン分析を手がけるChainalysisの協力を得て規制案をまとめることに成功したという。FATFの仮想通貨に関するガイドラインについては、今月初めに財務大臣・中央銀行総裁会議で内容の精査が実施されており、最終的には今月28日と29日に大阪で開催されるG20サミットにてその承認可否が決定する見通しだ。

ガイドラインの中でFATFは、取引所やカストディ企業、その他の仮想通貨関連事業者に顧客の取引情報を収集および提供することを求め、加盟国にはそれを実現するための法整備に対応するよう促している。この世界的な規制が成立すれば、対象となる企業は1,000ドルまたは1,000ユーロ以上の仮想通貨取引に紐づいた顧客情報や送金先を政府当局に報告することが義務付けられる。これを受けて主要な仮想通貨取引所や仮想通貨関連企業は、V20サミットと銘打った議論の場を設定し、政治家や金融当局関係者、その他専門家と共にFATFの提案に対する問題点を話し合うことを決定した。

大手仮想通貨取引所の幹部たちは、V20サミットに先駆けて既にFATFに対するコメントを発表しており、BittrexのCCO(Chief Compliance Officer)であるJohn Roth氏は、この規制を実現するためには、完全かつ根本的な市場の再構築を行うか、全世界に200以上存在する取引所を管理するグローバル基準の共通システムを作る必要があるが、それは非常に難しいとの見解を示している。同じくKrakenの顧問弁護士であるMary Beth Buchanan氏も、コンプライアンスを成立させるためのソリューションがなければ、前時代的なルールを21世紀のテクノロジーに適応することは困難であると述べている。また、コインベースのCCOであるJeff Horowitz氏は、仮想通貨市場に銀行業界の規制を押し付けようとすれば、個人間取引を加速させることとなり、結果的に不透明な市場環境を作り出す可能性があると言及した。

一方、HuobiグループのCCOであるPer Elaine Sun氏は、FATFと直接対話することが仮想通貨業界の独自性を明確にし、相互理解を深めると同時に業界全体が抱えるリスクに対するソリューションを模索する手助けになると、ガイドラインに対して比較的友好的な姿勢を見せている。現在、Circle、コインベース、bitFlyer、Kraken、Huobiなどの企業がV20サミットへの参加を表明しているが、妥協点を見つけることはできるのか、今後の展開に期待して状況を見守っていきたい。

release date 2019.06.21

出典元:

ニュースコメント

強すぎる締め付けが逆効果となる可能性も

世界的なマネーロンダリング対策に力を入れるG20は、仮想通貨が犯罪組織やテロリストなどの資金洗浄手段となることを恐れており、特に日本を含む首脳国のリーダーたちは仮想通貨市場における規制の厳格化を望んでいるようだ。しかしながら、このような規制は同時に個人の自由や権利を奪うことにもなるため、仮想通貨コミュニティからの激しい反発があることが予想される。事実、ICOや仮想通貨取引が全面禁止された中国では、取り締まりが強化された結果、オフショアの取引所やP2P(ピアトゥーピア)の個人間取引を介して大量のテザー(Tehter)が流通しているという。取引所の締め出しで仮想通貨へのアクセスが難しくなったことは確かだが、それでも自由な取引を求める人々の動きを止めることはできず、結果的に人民元とテザーの市場に数パーセントのプレミアを発生させるほど膨大な規模の違法取引が生じる状況を招いた。中国の例を見ると、コインベースのHorowitz氏が抱える懸念は現実に起こり得ることだと認識できるが、G20は強硬な姿勢を貫くのか、今後も同組織の動向には注目していきたい。


Date

作成日

2019.06.21

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Wiseでの海外FX入出金をおすすめできない理由とは?アカウント閉鎖の可能性も

海外FXユーザーの間で、Wiseを利用した送金が話題になっています。しかし、Wiseでの入出金はリスクが高いためおすすめできません。この記事ではその理由を説明します。
update2025.09.08 19:00

【当サイト限定】FXONの口座開設でボーナス15,000円をプレゼント!既存ユーザーも対象

2025年8月1日より、FXONでの口座開設で15,000円のボーナスを獲得できる、当サイトMyforex限定のキャンペーンがスタートしました。この記事では、ボーナスの受け取り方法や注意点などを説明します。
update2025.08.01 19:30

ビットフライヤーからBybitに送金してみた!送金手数料や反映時間も解説

Myforex編集部では、実際にビットフライヤー(bitFlyer)からBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。とても簡単でわかりやすく、初心者の方でも安心して利用できるサービスでした。この記事では、実際に送金してみた感想やSNSでの口コミなども交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2025.06.26 19:30

【独自取材】海外FXで急拡大中のPeskaとは?入金・出金の安全性や運営実態を直撃

当サイトではPeskaの運営に直接取材を行い、安全性やセキュリティなど、トレーダーが気になるポイントを一つひとつ確認しました。この記事では取材から見えてきたPeskaの実像をお伝えします。
update2025.09.17 19:00

【本音で比較】海外FXのドル円スプレッドを3ヶ月徹底調査|数千円も業者によってお得に

Myforex編集部では、2024年11月20日〜2025年2月20日の3ヶ月間にわたり、海外FXのドル円スプレッドを1分ごとに独自調査。その結果、業者によって数千円以上のコスト差があることが分かりました。
update2025.08.01 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00
FXONのビットコインスプレッドはどこまで有利か? FXONのビットコインスプレッドはどこまで有利か?

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル
close
キャンペーン
今すぐ参加する

次回から表示しない