作成日
:2019.04.23
2021.08.31 15:26
日本の仮想通貨取引所であるZaif(ザイフ)は、フィスコグループの傘下である株式会社フィスコ仮想通貨取引所(本社: 東京都港区南青山5-11-9
)【以下、フィスコと称す】への事業継承が完了したことを伝えた。発表によると、これまでテックビューロ株式会社(本社:大阪市西区靱本町1-5-18ミフネ本町ビル10FZaifは67億円相当のハッキング被害にあっており、同年の10月にはフィスコとの間で買収契約に関して合意していたようだ。
)【以下、テックビューロと称す】が有していたZaifの経営権が、今月19日13時をもって正式にフィスコへ継承されたという。2018年9月にハッキング被害を受けてから、Zaifは新規口座開設を一時中止すると同時に仮想通貨取引や入出金など一連のサービスを停止していたが、今月23日には事業を再開させる見込みである。同社はハッキング事件以降、被害にあったユーザーに対し資金の返還を進めており、ビットコイン(Bitcoin)およびビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)に関しては、現物での払い戻しが完了している。ただし、モナコイン(Mona Coin)に関しては流動性の問題もあり、60%が現物、残りが現金での補填となった。
ハッキング被害が発覚した直後、金融庁(Financial Services Agency, FSA)は、Zaifのセキュリティシステムの調査を実施する旨の声明を発表しており、三菱UFJフィナンシャルグループの子会社であるJapan Digital Design株式会社やその他のセキュリティ企業と協力し、犯人のハッカーグループに繋がる情報を取得したという。詳細は公開されていないが、モナコインの流れを追跡した結果、ハッカーグループのアクセス元が特定されたようだ。今後、当局による調査が進み万全な対策が講じられることによって、ハッキング被害の再発防止に繋がることを期待したい。
release date 2019.04.23
昨年初旬、日本の大手取引所であるコインチェックは580億円相当の仮想通貨を紛失しており、Zaifの被害額を大幅に上回るこのハッキング事件は、日本の仮想通貨市場における問題を象徴する出来事となった。これをきっかけに金融庁は、投資家保護やセキュリティの観点から、取引所の業務改善に取り組み、結果的に国内の市場環境は、世界でも最も先進的な水準にまで向上している。コインチェックも、金融庁の業務改善命令を受け、運営体制やシステムの強化などを行ったうえで、金融庁から正式なライセンスを取得しており、見事に国内での事業再開を果たした。また、2019年に入り、コインチェックは、増加する機関投資家の大口需要を狙った店頭取引(OTC)サービスも新しく開始するなど、事業再建に向けて本格的に動き出しているようだ。今月から、Zaifもサービスを再開させることとなるが、今後コインチェックと共に完全復活する日が来ることを期待したい。
作成日
:2019.04.23
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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