作成日
:2019.03.01
2021.08.31 15:27
今月1日早朝4時57分頃、738万ブロック目で同時に実施されたイーサリアムの2つのハードフォーク、コンスタンチノープル(Constantinople)とセントピーターズバーグ(St. Petersburg)が、無事完了したことが確認された。
今回のイーサリアム(Ethereum)のハードフォークは、マイニング難易度調整アルゴリズムであるディフィカルティボムの延長およびマイニング報酬の低減、スマートコントラクトなどのトランザクションに必要なGAS手数料の変更などが含まれている。これらは、効率的なブロックチェーンシステムを実現するために計画されている、PoS(プルーフオブステーク)へのコンセンサスアルゴリズムの移行を見据えたアップデートの一環だという。コンスタンティノープルとセントピーターズバーグが無事に完了したことで、イーサリアムは、4段階ハードフォークの最終段階であるセレニティの開発へと進む模様だ。
今回のハードフォークに伴い、仮想通貨取引所や関連サービスでイーサリアムの取引が制限されていたが、ハードフォークが問題なく完了したことで、各所イーサリアムに関わるサービスを全面的に再開している。シンガポールを拠点に200カ国にウォレットサービスを展開するbitwalletの運営会社であるbitwallet PTE. LTD.(本社:#18-96 The Central, 8 Eu Tong Sen Street, Singapore
)は、先月26日23時から停止していたイーサリアムの入出金や交換、売買などを今月1日から無事再開したことを発表した。 また、日本国内では、大手取引所のbitFlyerやGMO、Zaifなどが、イーサリアムのハードフォーク完了の知らせを受けてサービスの再開を伝えている。今のところ、イーサリアムのハードフォークに関して、コミュニティ内で目立った対立などは起こっておらず、開発理念の違いによる分裂の懸念はないという。このハードフォークに先駆けて、ビットコイン(Bitcoin)などが一部、活発な値動きを見せたようだが、現在の仮想通貨市場は、比較的安定した値動きを示している。
release date 2019.03.01
仮想通貨のハードフォークは、単純なテクノロジーアップデートの役割を持つものと、銘柄の分裂を伴う敵対的ハードフォークの2種類に大別することができる。敵対的ハードフォークの例として、コミュニティ内で開発方針に相違が生まれたことが原因となった昨年のビットコインキャッシュの分裂騒動は、記憶にも新しく、仮想通貨市場では広く認知されているといえる。そもそも、ビットコインキャッシュ自体も、トランザクションの処理性能に問題を抱えるビットコインのシステムを解決するために派生した仮想通貨だが、更に昨年の分裂騒動でBitcoin ABCとBitcoin SVという2つの別々の仮想通貨に派生している。Bitcoin SVは、ビットコインの提唱者であるサトシ・ナカモト氏が想い描いたオリジナルに近いシステムの開発を理念として、一方のBitcoin ABCは、より新しいテクノロジーを取り入れた仮想通貨システムの開発を目指しており、これら2つの陣営の対立は、それぞれに賛同する企業や人物を巻き込んだハッシュ戦争と呼ばれる争いにまで発展したのだ。現在、これらの派生通貨は、共存する形でそれぞれ取引されているが、流通量の多寡を競う戦いは依然として続いている。対照的にPoSへのマイニングアルゴリズムの移行を控えるイーサリアムでは、マイニングの効率性などを改善する必要があるため、コミュニティの大部分は積極的な開発を歓迎しているようだ。
作成日
:2019.03.01
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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