作成日
:2019.03.01
2021.08.31 15:27
ニューヨーク・タイムズの報道によると、大手ソーシャルネットワーキングサービスであるFacebook, Inc.(本社:1 Hacker Way, Menlo Park, California 94025
)【以下、Facebookと称す】は、2019年度上半期中に独自開発の仮想通貨を公開するために仮想通貨取引所と交渉を進めていることが明らかになった。今回、Facebookが取引所へのリスティングを計画している仮想通貨は、自社のメッセージングアプリケーションであるWhatsAppでの利用を可能とするステーブルコインで、以前からBloombergなどメディアでの報道によって注目を集めていたものだ。関係者によると、このWhatsAppのプラットフォームを利用する送金手段は、友人や家族同士などでの仮想通貨のやり取りに適したソリューションとなることが予想されている。
最近、Facebookは、ブロックチェーンチームの強化を進めており、企業買収などを通じて積極的な人材の確保に動いているという。現在では、50名近くのエンジニアがブロックチェーン専属の職務についているというが、これらに加えてFacebookは、20名近くの人材を募集している。社内でのブロックチェーン関連プロジェクトは広がりを見せているようで、WhatsAppとInstagramのメッセージング機能を統合することなども計画されているようだ。
ビットコイン(Bitcoin)を始めとした仮想通貨の登場により、国際間送金やオンラインショッピングの決済などが容易となったものの、一方で政府または銀行の管理が行き届かないことが原因で、犯罪や詐欺に関与した利用が問題として表面化している。新しい仮想通貨の運用に際して、Facebookも同じような課題に直面することが考えられるが、普及へ向けてどのようなビジョンを描いているのだろうか。
release date 2019.03.01
メッセージングアプリのWhatsAppを軸として、ユーザー間の送受金やマーケットプレイスなどの利用が想定されるステーブルコインの開発を進めるFacebookだが、まずは、巨大な送金市場を抱えるインドでの試験的な導入を検討していると2018年末に報道されている。この動きは、2回に渡るICOで17億ドルもの資金を調達したテレグラムの成功に続く形となった。メッセージングアプリの分野で競合となるテレグラムは、トン(TON)というプロジェクト名で、少額の送金も少ない手数料で実施することができるマイクロペイメントを特徴としたプラットフォームを構築している。また、テレグラムの他にもプライベートメッセージングアプリを展開するSignalsも昨年ICOを実施しているという。メッセージングアプリを主体とした仮想通貨の開発が激化しているが、ユーザーベースで圧倒的なアドバンテージを持つFacebookも、今回のICOで大きな成功が期待されている。
作成日
:2019.03.01
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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