Select Language

欧州委員会、欧州域内の投資会社への規制強化

欧州委員会、欧州域内の投資会社への規制強化

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 15:09
欧州委員会、欧州域内の投資会社への規制強化

update 2022.01.27 15:09

メガバンクと同等の監督基準を適用

欧州委員会(European Commission)【以下、ECと称す】が、英国の金融サービス会社とEU(欧州連合)域内の投資会社に対し、より厳格な監督体制を敷くべく新たな規制策の導入に向け、欧州議会及びEU加盟国と合意に至ったことが明らかとなった。[1]

EUの新規制策は、EU域内で事業を営むもののEUの規制枠組みから外れるプロップトレード(証券会社などにおいて自己資金での運用)を行う金融機関やアンダーライター(有価証券の引受業者)といった投資サービスを手掛ける企業を、より厳格な監督下に置くことを目的として、2019年1月に制定されていた。また新規制策においては、EU域内を拠点とする投資会社が、流動性や資本、リスク管理といった面から厳密な調査の対象に含まれることになる模様だ。

ECは、投資サービスを手掛ける企業は銀行と同様な業務を手掛け、銀行が内包する様々なリスクを同じように抱え得る可能性があることから、この度新規制策を課す運びとなったと説明している。これらの投資サービスを行う企業には、常に安定的な資金調達源を確保したうえで業務を行うことを促す安定調達比率(Net Stable Funding Ratio)や、十分な流動性確保を求める流動性カバレッジ比率(Liquidity Coverage Ratio)といった銀行が遵守すべきコンプライアンスやリスク管理体制と同様の規制策が適用される見通しだ。ただしECによれば、EUの新規制策は全ての投資サービス会社に適用されるものではなく、小規模の投資サービス会社に関しては、たとえ銀行と類似する業務を行っていたとしても、リスクを勘案したうえで比較的緩い規制策が適用されるとのことである。

欧州域内の投資会社への新規制策を導入するに際し、ECの副委員長を務めるJyrki Katainen氏は以下のようにコメントしている。

この度欧州議会及びEU加盟国との間で、投資会社への新規制策の導入に向け合意したことは、EU域内の強固な資本市場の形成を図るうえで大きく前進したと思われます。投資サービスを手掛ける大企業とメガバンクの公正な競争を促すため、投資サービス会社にもメガバンクと同様の規制策を適用させる意向であります。これにより、EU域外の企業によりEU域内の投資家へサービスを提供するうえで、投資サービス会社に対し最適なルールブック(規則書)を提示することができるようになるでしょう。

Jyrki Kataine, Vice President at EC - Global Fund Mediaより引用

欧州では監督当局による規制強化の流れが進んでいる。最近では、欧州証券市場監督局(ESMA)がプロフェッショナル顧客の動向調査に乗り出したほか、CySECが仮想通貨規制に関する諮問書を公表し、仮想通貨及び関連の金融商品に対する監督を強化する方針も示されている。欧州全体で規制強化の波が押し寄せる中、金融サービスを手掛ける企業にとっては、顧客満足度の高いサービスを提供するだけでなく、コンプライアンスやリスク管理の徹底といった多角的視野を持った経営のかじ取りが求められていると言えよう。

release date 2019.02.28

出典元:

ニュースコメント

規制強化の範囲が拡大する欧州市場

欧州において、金融業界の規制の厳格化は加速度的に進んでいる。目まぐるしい変化を遂げるグローバル金融業界において、規制の強化は避けられないことである。その対象となる範囲は仮想通貨や海外FX業界にまで及び、世界的に見ても欧州がリードしていると見られる中、昨年末にはG20で仮想通貨規制に関する声明が発表されている。今回の規制強化では、銀行と同様のサービスを提供する投資会社や資産管理会社が対象となっており、金融システムの安定維持や、公正な競争の実現が狙いのようだが、このような状況下で、企業は新たな規制に素早く順応し、対策を講じることが求められる。今後金融業界での競争がますます激化する中で、顧客にとって付加価値の高いサービスを提供することに対する重要度は増すであろう。しかし、同時にコンプライアンスやリスク管理体制の強化にも注力することで、顧客からの信頼度が高まることに期待したい。


Date

作成日

2019.02.28

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

【要注意】堀江氏・テスタ氏のディープフェイク広告が急増中?国内で詐欺の事例も

ディープフェイク技術を使った詐欺広告が世界的に増加しており、国内でも有名人を装った広告が出回っています。広告は精巧で、違和感に気づけないケースもあるため、真偽を見抜くのは簡単ではありません。本記事では、出回っているディープフェイク動画の広告主を調査しました。
update2025.10.08 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Exnessがスプレッドを最大30%OFF!仮想通貨・株価指数で大幅縮小

海外FX業者のExnessが主要銘柄のスプレッドを縮小しています。BTCUSDは16%、ETHUSDでは23%の縮小が確認されています。本記事では縮小後のExnessスプレッドを主要なブローカーと比較しました。
update2025.10.02 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

【要注意】Axi口座から不正出金被害、セキュリティ対策に不安の声

海外FX業者のAxiで、不正出金の被害が海外フォーラムなどで報告されています。国内で同様の被害は確認されていませんが、日本人ユーザーも無関係ではありません。この記事では、報告されている不正出金の事例やセキュリティの問題点のほか、現状でユーザーがとれる対策を説明します。
update2025.09.29 19:00

【15,000円付与】FXON口座開設ボーナスキャンペーン

海外FX業者のFXONが口座開設ボーナスタイアップキャンペーンを開催中です。新規口座を開設すると15,000円分のボーナスを受け取れます。
update2025.08.26 19:00

Wiseでの海外FX入出金をおすすめできない理由とは?アカウント閉鎖の可能性も

海外FXユーザーの間で、Wiseを利用した送金が話題になっています。しかし、Wiseでの入出金はリスクが高いためおすすめできません。この記事ではその理由を説明します。
update2025.09.08 19:00

【当サイト限定】FXONの口座開設でボーナス15,000円をプレゼント!既存ユーザーも対象

2025年8月1日より、FXONでの口座開設で15,000円のボーナスを獲得できる、当サイトMyforex限定のキャンペーンがスタートしました。この記事では、ボーナスの受け取り方法や注意点などを説明します。
update2025.08.01 19:30

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル