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仮想通貨カストディ企業が1億ドルを補償する保険を提供

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update 2021.08.31 15:27
仮想通貨カストディ企業が1億ドルを補償する保険を提供

update 2021.08.31 15:27

ハッキングに加えて秘密鍵の紛失なども保険の対象に

米国の大手仮想通貨カストディ企業であるBitGoは、同社のビジネスウォレットサービスや子会社であるBitGo Trust Companyのカストディサービスを利用する顧客を対象に、最大1億ドルを補償する保険の提供を開始することを明らかにした。[1]

発表によると、BitGoの仮想通貨保険は、Lloydのロンドン保険市場を通して提供されることがわかっており、第三者によるハッキングや組織内部の従業員による盗難、秘密鍵の紛失及び破損などの被害を包括的にカバーする内容になっているという。BitGoは、Lloydの保険引受業者であるAmTrustを含む、複数の企業の協力によってこの保険の提供を実現しており、秘密鍵の紛失に関わる補償については、英国の金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)が監督する保険会社、Digital Asset Servicesが責任を負う形となった。業界でも初の試みである秘密鍵の紛失を対象とした保険は、顧客が年間サブスクリプションや必要なプランを購入することで利用できるようになるようだ。

BitGoのCEOであるMike Belshe氏は、同社の仮想通貨保険について以下のようにコメントしている。

投資に付帯する補償の適用条件や、どの程度の損失までカバーされるのか等の詳細については、必ずしも明確にされているわけではなく、補償内容を詳細まで把握できていない顧客もいることでしょう。それに対し、我が社は商品の内容の透明性や正確性を重要視し、他社と比べ補償条件を明確に示しております。

Mike Belshe, CEO of BitGo - Business Wireより引用

コールドウォレットに保管される仮想通貨を対象とした保険は、その性質上、金塊や美術品などにも適応される現金正貨幣保険(Specie Insurance)に分類されるが、BitGoの保険は新しい分野の商品のため、開発には時間を要したようだ。AmTrustでファインアートおよび現金正貨幣保険を担当するNicholas Edwards氏によると、BitGoに適した保険を開発するにあたり、同社のセキュリティや管理体制を調査し実態を把握した上で、調整を行う必要があったという。この保険の開発による市場への貢献は大きく、Digital Asset ServicesのCEOであるDavid Janczewski氏は、パートナー企業を通して画期的な保険商品を市場に提供できることを嬉しく思うと述べている。

今回のBitGoによる新しい保険の発表は、CEOが死去したことで、取引所のウォレットへのアクセスに必要な秘密鍵を紛失して大損害を被った、QuadrigaCXの失態が事前に報道されていたこともあり注目を集めている。Belshe氏は、この保険を仮想通貨業界で最も完成度の高いサービスだと自負しているようだが、市場はどのように見ているのだろうか。

release date 2019.02.20

出典元:

ニュースコメント

多様化する被害に高まる仮想通貨保険の需要

仮想通貨を取り巻く環境は複雑に変化しており、特に取引所や関連サービスにおける仮想通貨への被害は、運営による出口詐欺や管理サーバーへの攻撃、仮想通貨システムの脆弱性を突くハッキングなど多様化している。これらに加えて、人為的なミスで仮想通貨を紛失するケースなども報告されているが、前述されているQuadrigaCXの例に至っては、取引所が顧客資産の1億9,000万ドル相当の仮想通貨を紛失するという大規模な損害に繋がっているようだ。これと同じころ、コインベースが自社ウォレットに秘密鍵の情報をバックアップする機能を実装したことが明らかとなり話題となった。このようなリスク要因を背景に、仮想通貨市場では、個人や企業からの保険に対する需要が高まっており、多くの保険企業がサービス提供に乗り出している。例えば、昨年10月には、スイスの保険会社であるAspis S.A.が個人向けの仮想通貨保険をローンチし、ハッキング被害を保証するサービスを提供するなどの動きがあった。一方、企業レベルでは、個々の取引所が独自に保険会社と契約して必要な補償を賄うなど、局部的な対応は見られたものの、業界全体では未だ十分な水準には達していないと言える。その点、BitGoの保険は、機関投資家など企業からの利用数の拡大が想定されることから、業界へ広く波及する可能性を秘めているといえる。このことから、業界での効果的なソリューションとなることが期待されていることは間違いないであろう。


Date

作成日

2019.02.20

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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