作成日
:2019.02.20
2021.08.31 15:27
大手仮想通貨取引所のCoinbase, Inc.(本社:548 Market St #23008 San Francisco, CA94104
)【以下、コインベースと称す】は、コンプライアンス強化と規制当局との関係構築を目的にブロックチェーン分析企業のNeutrino srl(本社:Via Copernico, 38, 20125 Milan, Italy )【以下、Neutrinoと称す】を買収したことを発表した。 イタリアを拠点とするNeutrinoは、コインベースのロンドンオフィスに統合されることが決まっている。ブロックチェーン分析の分野で著しい成長を見せるNeutrinoは、潜在的なマネーロンダリングやその他の違法取引を検出するソリューションを提供しており、仮想通貨の盗難や詐欺などからユーザーを守り、ランサムウェアや悪意を持ったハッカーによる攻撃の調査に力を発揮することが期待されている。コインベースによると、同分野でトップを走るChainalysis, Inc.【以下、Chainalysisと称す】の競合となるNeutrinoのテクノロジーはとても優秀で、仮想通貨市場を正当化する上で重要な役割を果たす存在になるという。Neutrinoのソリューションは、取引所や規制当局、その他中央集権型の組織に有益だと考えられており、コインベースでディレクターを務めるVarun Srinivasan氏は、これを米国市場およびグローバル市場のあらゆる仮想通貨関連企業に広めていきたいと述べている。
一方、ビットコイン(Bitcoin)やその他仮想通貨のコミュニティでは、この買収に関して、コインベースが反仮想通貨の動きを強めているとの批判的な意見が広まっている。NeutrinoのCEOであるGiancarlo Russo氏が、前職で政府と契約を結ぶセキュリティソフトウェア企業、HackingTeamのCOOを任されていた経歴を持つことから、仮想通貨コミュニティは、取引所の情報が政府の手に渡り、検閲の対象となることを懸念しているようだ。特に古参の仮想通貨ユーザーは、コインベースのカスタマーサポートの粗末さやイニシアチブの方針などの影響もあり、同社の取り組みに懐疑的になっているという。
しかしながら、コインベースは、これまで高いコンプライアンス意識を持って事業を拡大してきたこともあり、数百万人単位のユーザーの取り込みに成功すると同時に、市場全体の発展に貢献していることも事実だ。先日もコインベースのウォレットサービスにバックアップ機能が実装されたり、コインベースとEarn.comが仮想通貨学習サービスを開始したりするなど新しい取り組みにも意欲的だ。今回のNeutrino買収に関しても、コインベースは、オープンな金融システムを広めるために必須な戦略の一環だと捉えており、市場により良い投資環境を提供することを念頭に決断を下している。結果的にカストディアン、取引所、決済業者等の規制やコミュニティ活動の制限を促す形にはなっているが、最近では、時価総額80億ドルのコインベースを含めて、大手仮想通貨関連企業が詐欺やマネーロンダリングの防止に積極的になってきていることから、仮想通貨市場は適切な方向へと向かっているようだ。
release date 2019.02.20
今回、コインベースが買収したNeutrinoは、Russo氏が前職でCOOを務めたHackingTeamとは直接的な関係はないものの、TwitterをはじめとするSNS上では、その繋がりによる影響を警戒する声が上がっている。HackingTeamは、世界各国の政府機関にセキュリティソフトウェアを販売することを生業としていることは周知の事実だが、2015年、HakcingTeamの機密情報が大量に漏洩した際、同社が大衆から個人情報を集めるためのスパイウェアをサウジアラビアやモロッコ、カザフスタン、エチオピア、バーレーン、スーダンなどの国に提供していたことが明らかになった。これに対して、HackinTeamは、自社の活動は合法であることと、政府に販売していたのはあくまでも情報収拾を助けるツールだということを強調するコメントを出しているが、企業倫理的に問題を孕んでいることが懸念されている。コインベースに加わるRusso氏が、依然、このような活動に関与しているのかどうかは定かではないが、米国政府とコインベース、スパイウェアという3点が接近することにコミュニティはリスクを感じているようだ。本来であれば有望な企業買収案件として歓迎されているはずだけに、Russo氏並びにNeutrinoには、これらを払拭するだけの働きを見せて欲しい。
作成日
:2019.02.20
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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