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SFC、国信証券香港に1,520万香港ドルの罰金

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update 2022.01.27 15:13
SFC、国信証券香港に1,520万香港ドルの罰金

update 2022.01.27 15:13

AML対策を講じず、コンプライアンス違反を繰り返す失態

香港の証券市場監督当局である証券先物事務監察委員会(Securities and Futures Commission)【以下、SFCと称す】は2月18日、中国国有金融サービス会社である国信証券(Guosen Securities)の香港子会社である国信証券香港(本社:42/F, Two International Finance Centre, No 8 Finance Street, Central, HK[1])に対し、アンチマネーロンダリング【以下、AMLと称す】規制違反として1,520万香港ドル(194万ドル)の罰金を科したことを発表した。

SFCによれば、国信証券香港は2014年11月から2015年12月の間に、約3,500名もの国信証券香港の顧客へ、10,000を超える第三者からの入金(資金洗浄行為)処理を行っていたという。金額にすると、約50億香港ドル(6億3,700万ドル)に上り、その中でも、資金の出所が不明確な入金は2,200件、金額にして約23億香港ドル(2億9,300万ドル)にもなるマネーロンダリングと疑われる取引がなされていたとのことだ。

SFCでは、繰り返しこのような取引が行われてしまったのは、国信証券香港による度重なるコンプライアンス違反が要因だとしている。またSFCでは、国信証券香港が、国信証券香港の顧客口座への入金を行う第三者を特定するシステムを構築していないとも指摘している。

2013年には、国信証券香港の複数のスタッフが、経営陣に対し、マネーロンダリングと疑われる入金処理に関与するリスクに対し注意を促すと共に、AML規制を遵守すべく業務改善を進言したという。しかしながら、SFCによれば、それにも拘らず、第三者による入金を監督するコンプライアンス部門の責任者も含め、経営層はその進言を無視し、何らAML対策を怠ってきたとのことだ。なお、SFCによる調査が始まって以降、この度のコンプライアンス違反の責任をとる経営陣は去っており、国信証券香港はAML規制に準拠した新たなコンプライアンス体制の構築を図っているとのことだ。

2019年初頭、一部のブローカーにSFCはワラント取引禁止通知を発令している。SFCを始め、グローバルに当局による規制強化がなされている中、信頼性・透明性の高いブローカーとして居続けるには、最新の規制策にマッチしたコンプライアンス体制を再構築する必要があろう。

release date 2019.02.19

出典元:

ニュースコメント

あとを絶たないAML規制違反

近年、マネーロンダリング(資金洗浄)、架空会社などの登記設立、脱税目的での口座開設などに対する国際的な取り締まりが行われている。マネーロンダリング対策を怠っている企業に対する当局の取締まり・処罰が厳しく行われており、最近では、 KYC(顧客確認)の徹底、疑わしい取引の届出、記録の保存などが、金融機関以外の事業者にも義務付けられたり、企業や個人の入出金流通経路を政府が閲覧できるようになってきている。一方で、マネーロンダリングに利用される犯罪手口も巧妙となっており、また、今回発覚した国信証券香港のように、AML対策を長年にわたり講じていない機関もあるなど、AML規制違反はあとを絶たず、犯罪側と取締り側のいたちごっこが続いている。今後とも、マネーロンダリング行為への包括的な対策が重要となってくるが、すべての機関においてAML規制に準拠した体制の整備がすすみ、健全な市場が形成されることを願いたい。


Date

作成日

2019.02.19

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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