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SFC、一部のブローカーにワラント取引禁止通知を発令

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update 2022.01.27 15:41
SFC、一部のブローカーにワラント取引禁止通知を発令

update 2022.01.27 15:41

今後は仮想通貨商品の取締りも強化する模様

香港の証券市場監督当局である証券先物事務監察委員会(Securities and Futures Commission)【以下、SFCと称す】は1月4日、投資家の不正行為に関する広範な調査に基づき、ブローカー3社に対し、デリバティブ投資の1種であるワラント取引の禁止通知を発令した。[1]

この度禁止通知が発せられたブローカーは、Fulbright Securities Limitedと、Futu Securities International、Gong Ping Securities Limitedの3社である。取引禁止対象となる商品は、香港証券取引所(the Stock Exchange of Hong Kong Limited)が運営する株式市場に上場する、デリバティブ商品の1つであるワラント取引の全てだ。該当のブローカー3社は、SFCによる事前の書面による同意がない限り、市場における不正行為の疑いのある顧客口座もしくはその代理人から、注文済みを含め、いかなるオーダーの受発注も禁止されるという。SFCでは、不正行為を働いた疑いのある個人を特定してはおらず、禁止通知を受け取った3社についても調査を行っていない模様である。また、3社とも当該不正行為に関する調査に協力的であるとコメントしている他、不正行為の疑いのない顧客の取引に関しては、この度の規制の影響を受けることはないとのことだ。

なおSFCでは、不正行為を防止し公共の利益を守る観点から、証券先物条例(the Securities and Futures Ordinace)【以下、SFOと称す】204条に基づく今回の禁止通知の発令は、一定の効果があるものと見ている。禁止通知の発令を受けた3社は、いずれもSFC規制下でライセンスを取得し、香港にて金融サービス業務に従事するブローカーである。そのため、SFCによる今回の禁止通知の発令をきっかけとして、該当のブローカー3社のみならず多くの企業において、今一度社内のコンプライアンス体制を見直すことも期待されよう。

SFCは引き続き市場における不正行為を注視しており、向こう数か月に亘り、仮想通貨商品に関する不正行為に対して厳重な取締りを行う見込みである。2018年11月に、SFCが仮想通貨ファンド等の規制を検討していることが明らかとなっていた他、日本経済新聞によれば、SFCは新たなライセンス制を導入する意向である模様だ。中でも、会社資産の内10%を超える仮想通貨を保有する企業は、SFCよりライセンスを取得する必要があるという。

SFCがかじ取り役となり、比較的リスクが高いと言われるデリバティブ、仮想通貨商品に関する規制枠組みを早期に整備することで、透明性が高く健全な市場が形成されることが期待されよう。

release date 2019.1.4

出典元:

ニュースコメント

香港に於ける今後の金融規制

香港は、ニューヨークやロンドンと並ぶ世界三大金融センターのひとつで、資本取引が自由な香港市場は、経済に対する政府の干渉や規制が緩く、世界中の多くの投資家が参画するなど非常に盛り上がりをみせており、国際的な資本市場へと大きな成長を遂げている。今回SFCが発令した通知は、ワラント取引の不正行為を行ったと見られる顧客に対するものだが、ワラント取引とはオプション取引の一種であり、対象とする銘柄の価格が設定した金額よりも高くなるか、または、安くなるかにより利益を出す取引方法である。香港においてはメジャーな投資方法で、大きなレバレッジを効かせて収益を上げられる商品であるため不正につながりやすいとも言える。今回のような、罰金の処置や、顧客の公開などが行われない不正行為の取り締まりは、各ブローカーに対して改善を求める警告の意味合いを含んでいるようにも伺える。仮想通貨に対する規制も世界各国と同様に強化し始めたSFCだが、今後の規制取り締まり事項がどのようなものになるのか、動向に注意していきたい。


Date

作成日

2019.01.04

Update

最終更新

2022.01.27

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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