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香港、仮想通貨ファンド等を対象とした規制を検討

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update 2021.08.31 15:22
香港、仮想通貨ファンド等を対象とした規制を検討

update 2021.08.31 15:22

ライセンスやサンドボックス制度による新しい試み

今月1日に香港の証券先物事務監察委員会(Securiteis and Futures Commission)【以下、SFCと称す】は、仮想通貨ファンドや関連事業者、取引所を規制するためのライセンス制を軸とした新しいルールの概要を2つの文書にて公開した。

SFCが公開したひとつめの文書では、香港内の高まる仮想通貨などのデジタル資産に対し、投資家によるリスクへの関心が高まっていることから、市場の安全性を確保することを目的に事業者にライセンスの取得を課すことが提案されている。[1]この案は、仮想通貨ファンドを包括的に管理する新しい試みで、香港内で仮想通貨を含むファンドを取り扱う場合、それが証券や先物商品などに該当するか否かとは関係なく、事業者はライセンス申請が義務化されるというものだ。既にライセンスを取得している事業者に関しても、仮想通貨ファンドを運用している、または、その計画があればSFCへの届出が必須となるという。

また、この規制案は、仮想通貨取引所を規制するフレームワークの制定にも及ぶもので、SFCは、取引所にもライセンスの取得を義務付ける考えだ。ライセンスは、当局が定める基準を満たすことを条件に発給され、既存の取引所においても、基準を満たさない場合は、期限内での改善が求められるという。SFCは、このライセンス制の次のステップとして、規制の緩和策となるサンドボックス制度への移行を検討しており、自由で健全な市場環境の構築を目指しているようだ。この取引所のライセンス制度が開始されるまでは、少なくとも12ヶ月の期間を要する見通しとなっており、審査に関する情報は事前に公開される予定である。

ふたつめの文書では、仮想通貨ファンドを販売、広告する仲介業者に関しての規制案として、SFCが定める行動規範に則った運用が提案されている。SFCは、いかなる状況下においても、仲介業者は顧客に対し必要な情報を明確にわかりやすく伝える義務があるとの方針を示しており、それと併せて、ファンドや管理体制を監査する必要性を提唱している。もし、仲介業者による十分な管理が行われない場合は、ライセンスの剥奪や懲罰の可能性もあることが予測される。

SFCは、仮想通貨市場の投資家が、Securities and Futures Ordinance(SFO)の保護下になく、仮想通貨取引所やその他の事業者が規制の対象外となっていることを懸念しており、ボラティリティの高さや低い流動性、サイバーセキュリティ、資産保護の安全性、マネーロンダリング、テロ資金供与、詐欺などに由来するリスクに警笛を鳴らしている。デジタル資産を、電子的に価値を示すことができるものと広く定義することで、SFCは、具体的に仮想通貨、仮想通貨、デジタルトークンなどと呼ばれるもの全般を規制する構えだ。当局は今回、新しい尺度を持って規制にあたるとしているが、新ルール発効までの香港市場の動きにも注目が集まる。

release date 2018.11.02

出典元:

ニュースコメント

自由経済の恩恵を受けてきた香港市場での規制

香港は、中国でも比較的自由な経済活動を行うことが許可された経済特区で、仮想通貨業界に限っていえば、世界中の取引所やブロックチェーン企業が進出している。特に中国本土からの資本を後ろ盾とする企業にとっては都合の良い地域で、昨年9月に中国がICOを禁止し、仮想通貨に対する否定的な姿勢を強めてからは、主な取引所の移転先となっている。先月報道された、中国大手仮想通貨取引所であるBTCCの韓国市場進出や同じく中国大手取引所であったHuobiが香港へ本拠を移すなど、大手取引所はより仮想通貨に寛容的な地域へ拠点を移すことで事業の存続に繋げている。こうした事情から、香港の仮想通貨市場は大きな盛り上がりを見せているが、この度のSFCによる規制はこの活気ある市場に暗い影を落としかねない。SFCもその点を考慮して、サンドボックス規制など、極力市場の自由に干渉しない方法での顧客保護を目指しているが、地域内の事業者への影響は必至であろう。日本では、取引所のライセンス制を義務化したのちに大型のハッキング被害に見舞われていることから、有効性にも疑問が残ると言える。香港当局はどの様な決断を下すのか、引き続き動向を見守っていきたい。


Date

作成日

2018.11.02

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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