作成日
:2019.02.12
2022.06.07 12:03
米国最大のFXブローカーであるForex.comを運営するGain Capital Holdings Inc(本社:135 US Highway 202/206, Suite 11 Bedminster, NJ 07921GAINの2018年12月期の業績発表の際には取引高が回復の兆しを示していたが、再び落ち込む結果となった。
)【以下、GAINと称す】は、2019年1月期の業績を報告した。GAINの2019年1月期の店頭(OTC)外国為替取引量は1,840億ドルとなり、2018年12月期の2,312億ドルから4.5%縮小した。前年同月比で見ても、2018年1月期の2,490億ドルから26%超も急減しており、如何にGAINの業績が振るわなかったを伺い知ることができよう。また、1日当たりの平均取引量(ADV)は84億ドルとなり、2018年12月期の96億ドルから12.5%減、前年同月比では25.7%減で着地した。また、2019年1月期のリテールFX部門アクティブ口座数は122,581口座となり、2018年12月期の123,171口座と比較して若干減少したが、前年同月比で見ると約7.7%減となっている。
他方で先物取引高に目を移すと、2019年1月期は591,123枚となり、2018年12月期の641,094枚と比べ8%減少する結果となった。GAINのFX部門の取引量とアクティブ口座数が共に減り、且つ比較的堅調推移していた先物取引も落ち込んだことを受け、GAINの2019年1月期は2018年12月期からの回復の勢いを継続させることができなかったといえる。
なお2018年10月、GAINは2018年第3四半期業績を発表している。 2018年7-9月期の純営業収益(営業収益から金融費用を控除した額)は9,550万ドルとなり、前年同期の7,380万ドルから30%増、前期比で見ても、2018年4-6月期の6,710万ドルから42%増と良好な業績推移となっていた。また当期純利益は1,000万ドル(1株当たり0.22ドル)となり、前年同期の310万ドルの純損失から黒転を果たしていた。これらのことから勘案するに、欧州当局が新規制を導入した8月以降、GAINの業績にその影響が確実に出てきていることが伺える。
なおGAINでは、2019年1月にITチーム各部門トップを刷新したことを発表したが、革新的なテクノロジーサービスを提供することにより、今後顧客の取引量が回復することを期待したい。
release date 2019.02.12
先日GAINはIT分野の強化を図るため、IT部門の役員として新たに2名を迎え入れたことを発表した。IT開発部門の責任者に就任したBoris Levine氏は、社内外すべてのIT開発関連のプロジェクトを統括し、インフラストラクチャーテクノロジー部門の責任者に抜擢されたRasmus Hansen氏は、ITインフラ開発の主導や開発サポートを担うとのことだ。なお、Boris Levine氏はこれまでFX・CFDブローカーであるIG Groupに16年間従事しており、リスク管理システムの開発やテクニカル戦略を行うアーキテクチャ部門を取りまとめた経験を持つ。一方のRasmus Hansen氏は、ソフトウェア開発を手掛けるION technologyにて、EA(エンタープライズアーキテクチャ)としてEMEAやAPAC、米国のチームを統括しながらインフラ技術やオペレーションサービスの運営経験があるという。GAINはこの2名を迎え入れたことで、リアルタイムや低いレイテンシー(遅延時間)、クラウド、AI技術における分野でのビジネスモデルの開拓を計画しているようだ。GAINの巻き返しが起こるかどうか、今後の展開に期待したいところだ。
作成日
:2019.02.12
最終更新
:2022.06.07
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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