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目まぐるしく変化する仮想通貨CFDの投資環境

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update 2022.04.19 12:57
目まぐるしく変化する仮想通貨CFDの投資環境

update 2022.04.19 12:57

個人投資家はハイレバレッジ、高ボラティリティを追及

規制対応レポーティング支援サービスを手掛けるAbide Financialの元ディレクターであり、現在は仮想通貨取引所コインベース(本社:548 Market St #23008 San Francisco, CA9410[1])の英国法人にてコンプライアンス部門の責任者を務めるMark Kelly氏が、仮想通貨CFDを取り巻く市場環境に関する見解を明らかにした。Kelly氏は、近い将来、仮想通貨関連投資を望む個人投資家に対し、仮想通貨の保有や管理の必要がなく、レバレッジをかけなくても大きな値動きとなる投資サービスが提供される可能性があるとの見解を示している。

現在は、欧州証券市場監督局ESMAがバイナリーオプション取引禁止措置を再延長したことに加え、英国金融行動監視機構FCAでは永続的なCFD取引規制を導入する意向を示しており、まさに欧州当局による規制強化が図られている状況である。そのため、EU(欧州連合)域内で個人投資家向けにデリバティブ商品を提供するブローカーにとっては、難しい経営のかじ取りを強いられている。CFDやスプレッドベッティングサービスを提供する数多くのブローカーにとって、取引高や利益が大きく落ち込む結果となっていることも不思議ではないだろう。

個人投資家の間では、多くの証拠金を必要とする株式やインデックス投資を避ける傾向にある。一方で、当局の規制強化により最大レバレッジを2倍に制限されているものの、そのボラティリティ(価格変動率)の大きさから仮想通貨CFDへの関心を高めている状況だ。CFDに関してはよりシンプルな商品設計となっており、ドルやユーロといった法定通貨で売買が可能である。また、仮想通貨そのものを保有及び管理する必要もなく、仮想通貨投資スキームに内在するその他のリスクを抱えることもないため、投資家からの需要が高まっていると推測される。更にCFDでは、たとえ原資産を保有していなくても売りからポジションを構築することが可能だ。些細なニュースでも材料視されることで、大きなボラティリティを生む特性も持っている。

比較的良好な市場環境に見える仮想通貨CFDも、少なくとも英国においては、FCAが仮想通貨CFD取引を全面禁止する意向を示していることから、大きなリスクに晒されていると言えよう。仮に仮想通貨CFD取引が全面禁止されれば、ハイレバレッジ取引を望む個人投資家やブローカーにとっては、失望ともとれる当局の規制措置である。

EUでは既に、空売り(証券会社から株を借りて売却した後、その株が値下がりした時点で買い戻す投資手法)を規制するショートセリング規則(Short Selling Regulation)が導入されている他、米国においても以前から長きに亘り、アップティックルール(直近の約定価格を下回る水準での空売りを禁止する規制)を採用している。これらの規制策が導入されたことで、市場ボラティリティが抑制されると共に、株式自体のボラティリティも低下する結果となっている。仮に、仮想通貨CFDのショートセリングを規制することは、少なくとも仮想通貨やトークン保有者のみが売りを選択できるということだ。他方で、株式など伝統的な金融商品市場が発展を遂げる際に欧米でショートセリング規則などの規制策が導入されたように、仮想通貨市場がより成熟する過程においては必要となる施策と見ることもできる。

当然、個人投資家向けにデリバティブ商品を提供するブローカーにとって、それらの金融商品に厳しい規制が課せられる状況となれば、多くの企業が規制の枠組みから外れるオフショア市場へビジネス基盤を移行させるであろう。また、規制が強化されようとも、個人投資家のハイレバレッジを求める意欲も変わりなく、より投機的なスタイルを望む者は、最大レバレッジ100倍の金融商品を提供するブローカーを求めオフショア市場へと流れていくことが見込まれる。そのため、英国やEUの規制下にある企業にとっては、オフショアブローカーに顧客を奪われる可能性が高いことは容易に想像がつくであろう。これらの企業は、依然顧客に対し仮想通貨そのものの保有・管理を促しており、投資家の需要とミスマッチしているように見受けられる。

当局により新たな規制が課せられる可能性がある中、ブローカーにとっては規制策を遵守したうえで、いち早く顧客ニーズにマッチしたサービスを提供するというコンプライアンスと機動力が求められていると言えよう。

release date 2019.02.07

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨CFDとは

CFD(Contract for Difference)取引は、直訳すると差金決済取引という意味を持ち、インデックス、株式、コモデティ、為替、債券、先物取引に関連する金融派生商品を指す。投資家は、投資対象の資産を実際に所有せずに売買取引を行い、トレードで発生した利益や損失のみを受け取ることができる。仮想通貨CFDに置き換えて言うと、実際にビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を保有せずに取引を行うことができ、仮想通貨をオンラインウォレットで保管する必要なく高いボラティリティで取引を行えるという利便性があり、一部の投資家から人気を集めている。先月海外大手ブローカーのFXCMはイーサリアムCFDの提供を開始することが明らかとなり、2018年にFXCMがビットコインCFDの提供を開始してからわずか3か月で新たな仮想通貨CFDを追加したことから、継続的に関連商品を提供していくのではないかと期待が集まっている。仮想通貨CFDに関する規制が厳しくなるも業界は活性化しており、お互いどのように歩み寄っていくのか注目していきたい。


Date

作成日

2019.02.07

Update

最終更新

2022.04.19

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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