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イーサリアム財団が新技術の導入を検討

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update 2021.08.31 15:27
イーサリアム財団が新技術の導入を検討

update 2021.08.31 15:27

研究開発に1,500万ドルの投資が必要となる

イーサリアム(Ethereum)のコンセンサスアルゴリズムをPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)への移行が計画されている大規模アップデートのセレニティ(Serenity)に向けて、イーサリアム財団がVerifiable Delay Functions【以下、VDFと称す】と呼ばれる新しい技術の導入に関して研究を行っていることが明らかとなった。[1]

イーサリアム財団が注目しているVDFとは、より強力な乱数を生成するテクノロジーで、乱数のランダム性の向上によって、イーサリアムの暗号化システムを強化することが予想されている上、プラットフォーム上で運用される分散型アプリケーション(Dapps)でも利用可能になると考えられている。しかし、VDFの研究開発にはおよそ1,500万ドルの費用が必要となると見積もられており、イーサリアム財団の研究者であるJustin Drake氏は、このプロジェクトが成功するかどうかを正確に見極めるため、十分な基礎研究を行った上で、プロジェクトを遂行するかどうかを決定したいとコメントしている。

Drake氏によると、セレニティによるアップデートにこのVDFが採用されるためには、コミュニティから広く支持されることに加えて、複数のテストをクリアすることが不可欠であるという。これらのテストの中には、数百人規模の個人の協力を募り、VDFの安全性を検証するRSAセレモニーや、VDFの計算を実行するため、ASIC(特定の用途に向けて設計された集積回路)向けのファームウェア開発及びテストを、参加者に課して行うサーキットコンペティション等が含まれる。

VDFの開発を計画しているのはイーサリアム財団だけではなく、分散型アプリケーション向けのネットワークを開発するChiaも、合計10万ドルの参加者報酬を割り当てた第1ラウンドのサーキットコンペティションを完了しており、すでに第2ラウンドに向けた準備を進めているようだ。ほかにも、イーサリアムのサイドチェーンであるPOAネットワークが、Gitcoin(オープンソースプロジェクトを促進する目的のプラットフォーム)を通してVDFの開発に関連するプログラムの実施を計画している。また、ファイルストレージシステムを開発するFilecoinやスマートコントラクトプラットフォームのTezos、分散型アプリケーションネットワークのNEARプロトコルやThunderCoreなど、現在およそ10社のブロックチェーン企業がVDF技術の開発を検討しているようだ。

一部の報道では、イーサリアム財団が他プロジェクトと協力してVDF開発を進める可能性があると伝えられており、昨年11月、Filecoinが、研究開発にかかるコストを分担することに合意して、VDFの活用を現実のものとするために必要なファームウェア開発を進めるかについて再検討していることが明らかにされていた。この件に関して、Filecoinの研究者は、イーサリアム財団との協業を喜ばしく思うと前置きした上で、現時点では、VDF開発はあくまでもひとつのオプションであり、Filecoinにとって本当に必要なものなのかわからないとコメントする一方で、Filecoinが今後数か月以内に第三者機関に共同出資する可能性もあるともほのめかしている。

Drake氏によると、いままでの所、イーサリアム財団は単独で動いており、様々な方面より1万ドルから2万5,000ドルの資金提供を受けて、独自に開発を進めているとのことだ。Drake氏は、VDFを実装するかについての判断時期に関しては、4か月以内に十分な研究結果に基づいた決断を下すことができると予想している。

release date 2019.02.08

出典元:

ニュースコメント

安定したシステムの稼働を支えるVDF

仮想通貨の暗号化システムでは、乱数がセキュリティ上の重要な役割を担っており、例えば、イーサリアムが移行を計画しているPoSにおいても、ブロックの承認者を選定する際に乱数による割り当てを行うことで公平性が保たれている。しかしながら、コンピューターが通常生成する乱数は、ノイズが含まれていることもあり完全な乱数とは言い難く、ブロックチェーンを基礎とした仮想通貨システムでは偏りや不完全性を招く要因となっているといわれている。その解決策として、VDFが、多くの仮想通貨プロジェクトから注目されており、各所で開発が進められているというわけだ。VDFは理論上、情報処理速度の分散が少なく、安定したシステムの稼働が期待できるとされている。イーサリアム財団は、研究開発にかかるコストの高さを懸念しているようだが、果たして、VDF技術を導入するかどうかどのような判断を下すか注目していきたい。


Date

作成日

2019.02.08

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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