Select Language

FCAと英国財務省が仮想通貨規制に関する共同レポートを公表

FCAと英国財務省が仮想通貨規制に関する共同レポートを公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 17:28
FCAと英国財務省が仮想通貨規制に関する共同レポートを公表

update 2022.01.27 17:28

仮想通貨CFD取引の全面禁止を検討

英国金融行動監視機構(The Finacial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】と英国財務省(HM Treasury)の仮想通貨関連プロジェクトチームは、仮想通貨に関する規制や政策について共同レポートを公表した。[1]

レポートによると、FCAは、リテール顧客に対し仮想通貨CFD取引サービスを全面禁止する方向で検討しているという。今年8月、欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority, ESMA)がレバレッジ制限を含む新規制を導入したことに伴い、仮想通貨CFD取引に関して最大レバレッジを2倍までとするESMAの規制にFCAは同意する声明を発表していたが、今回のレポートからは仮想通貨CFD取引を更に規制していく意向であることが伺える。

レポートには、仮想通貨に関連したCFDやオプション、先物といったデリバティブ商品のリテール顧客への販売を禁止する可能性について、2019年第1四半期までに協議を重ねるとしている。仮にリテール顧客向け仮想通貨CFD取引が完全に禁止されることになれば、2018年初頭にビットコインやイーサリアム(Ehereum)、リップル(Ripple)などのボラティリティが高い仮想通貨CFD取引をけん引役として良好な業績を打ち出してきたブローカー各社にとって、取引高と売上高が大きく落ち込むことが予想されよう。

そのほか、仮想通貨関連のデータを分散管理する分散型台帳技術(distributed ledger technology)【以下、DLTと称す】や仮想通貨それぞれが含蓄する発展可能性やリスクを的確に考慮したうえで政策や規制策を講じることに主眼が置かれており、仮想通貨関連プロジェクトチームとしては、仮想通貨が市場や企業、利用者それぞれにメリットをもたらす可能性は否定していないものの、英国財務省とイングランド銀行、そしてFCAが利用者資産の目減りや市場統合の阻害、仮想通貨を利用した不正行為、金融の安定性を揺るがす脅威といったリスクを低減させる施策を講じる必要性もあると考えているようだ。

仮想通貨関連プロジェクトチームの今後の取り組みに関しては、仮想通貨を取り巻くリスクを低減させるべく協議を進めており、まず、現在の規制枠組みの対象もしくは対象外となる仮想通貨の分類を明確にするガイダンスを2018年末までに公表する見込みとなっている。なお、現在は規制枠組みの対象外となっているものの、今後規制すべき投資対象となる可能性のある仮想通貨を捉えるために、規制の枠組みを拡大するか否かも協議を進めるとのことだ。

また、FCAは伝統的な金融規制のもとで高度に複雑化された新たな課題に対応すべく、ビットコインなどの取引所トークンが内在するリスクを規制によりいかにして効果的に低減させていくか、十分な分析・検討時間が必要であると指摘しており、2019年初頭には、政府が取引所トークンやそれらを発行する取引所、ウォレットプロバイダーを効果的に規制していく施策に関する諮問書を公表する予定となっている。

さらに、第5次マネーロンダリング指令(the fifth EU Anti-Money Laundering Directive)の適用を含め厳しい規制策のもと、グローバルベースで仮想通貨を利用した不正行為を取り締まる最も包括的な対策をとる見込みであり、FCAは、引き続き仮想通貨市場の動向を監視するとともに、国内外で適切な処置を講じていくため国際的な規制監督当局と協働していく意向を示している。

release date 2018.10.30

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨デリバディブ取引の収益よりも懸念される実態

英国財務省は、ビットコインや他の仮想通貨が、高いボラティリティ、顧客保護、ハッキング、マネーロンダリングなどの観点から、規制の強化を急速に対応する必要があるとの見解を示している。これは、仮想通貨のデリバティブ取引への参入は機関投資家からの新たな資金流入につながり大きな収益をもたらせたものの、仮想通貨投資詐欺の報告が後をたたないことが起因しているものと考えられる。日本でも仮想通貨に関する詐欺は問題となっているが、世界的に見ても実在しない仮想通貨を購入させたり、消費者のオンライン口座を突然閉鎖して消費者への送金を拒んだりする、といった事件が相次いで発生している。加えて、レバレッジ取引といった仮想通貨のデリバティブは、最初の投資を超えた損失を引き起こす可能性があることから現物取引市場よりもリスクが高く、このことも規制強化が検討される要因であると考えられる。仮想通貨が他の金融商品と同様、安心して取引ができる環境が整うためには、英政府がどのようにして技術的イノベーションと消費者保護を両立していくのかが今後の鍵となるだろう。


Date

作成日

2018.10.30

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

Exnessでシステムエラーによる入出金の不具合が発生?SNSでも報告が相次ぐ

2025年10月、海外FX業者Exnessで入出金エラーが発生し、SNSでも不具合報告が相次ぎました。銀行振込やbitwalletで送金できない事例が確認されており、復旧後も不安の声が続いています。
update2025.10.16 19:00

【本音で比較】海外FXのドル円スプレッドを3ヶ月徹底調査|数千円も業者によってお得に

Myforex編集部では、2024年11月20日〜2025年2月20日の3ヶ月間にわたり、海外FXのドル円スプレッドを1分ごとに独自調査。その結果、業者によって数千円以上のコスト差があることが分かりました。
update2025.08.01 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル