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ハッキング被害を報告したCryptopiaの推定被害額が明らかに

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update 2021.08.31 15:27
ハッキング被害を報告したCryptopiaの推定被害額が明らかに

update 2021.08.31 15:27

イーサリアムとERC-20トークンで1,600万ドルの被害

ブロックチェーン分析プラットフォームのElementusは、先日、ニュージーランドの仮想通貨取引所であるCryptopiaのハッキングによる盗難被害に関して、推定1,600万ドル相当以上の仮想通貨が盗まれていることを示す分析結果を公開した。[1]

今月15日、Cryptopiaは、正式なハッキング被害の報告として、重大な損出を被ったとだけ発表しており、これまで被害額などの詳細情報は明かしてこなかった。これに対して、Elementusは、今月21日にイーサリアム(Ethereum)とERC-20トークン(イーサリアムプラットフォームで発行されるトークン)に絞った被害の分析結果を公にした。Elementusによると、約350万ドル相当のイーサリアムと約250万ドル相当のデンタコイン(Dentacoin)、その他多数のERC-20トークンが盗まれており、推定被害総額は16,002,108ドルに上ることがわかっている。Elementusは、882,632ドル相当のイーサリアムとERC-20トークンがBilboxやBinance、Huobi、その他の取引所へ向けて送金されたことを確認しているようで、犯人のハッカーがそこから法定通貨による出金を試みていることも掴んでいるという。

また、Elementusは、ハッキングの手口についても言及しており、顧客資産を預かる取引所のウォレットに対するセキュリティについて懸念を示している。これまで、取引所をターゲットとした仮想通貨の盗難は、多くの場合、スマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約をプログラム化する仕組み)の脆弱性を攻撃するものだったが、Cryptopiaの件では、ハッカーが取引所のウォレットへ直接攻撃を仕掛けているようだ。これは、Cryptopiaから仮想通貨を盗んだハッカーが、取引所が管理しているウォレットの秘密鍵をなんらかの形で入手したことを意味している。

今回の犯行では、ハッカーは一度に全ての資金を盗み出そうとはしておらず、5日間に渡って犯行を継続させていることから、これまでのハッキング事件と比較すると特異なケースだといえる。加えて、Elementusによると、Cryptopiaは、犯行の初日には攻撃を受けていることを認識していたにも関わらず、取引所のウォレットから資金が不正に流出しているのを4日間もただ傍観していただけで、それを阻止する動きを見せなかったという不可解な点が指摘されている。今回のCryptopiaへの攻撃は、スマートコントラクトの脆弱性を利用したものとは異なり、特に複雑な技術が必要では無かったとみられ、Cryptopiaにも攻撃の阻止が可能であったと推測されるが、これについて、Cryptopiaは、自社で管理するウォレットへアクセスできなかったと弁明している。

このハッキング事件について、ニュージーランド警察が調査を進めているが、Cryptopia内部の犯行、または出口詐欺の可能性があると噂されている。ニュージーランド警察は、国内外のデジタルフォレンジック(デジタルな情報から証拠を見つけ出す鑑識機関)や政府機関などと連携して、この事件の解決に取り組んでおり、加えて仮想通貨コミュニティにも協力を要請しているという。調査チームは、Cryptopiaの経営陣や社員と1月24日から25日にかけて面会を実施し、捜査の進捗などを説明している。

今年に入り、すでに米国の大手取引所のコインベースが51%攻撃でハッキング被害を受けたことを発表している他、同じく51%攻撃で仮想通貨取引所のGate.ioがハッキング被害を受けている。昨年に引き続き、2019年に入っても仮想通貨のハッキング被害は収まらず、運営する仮想通貨取引所には一層の対策強化が求められている。

release date 2019.01.25

出典元:

ニュースコメント

ICOや取引所で頻発する悪質な出口詐欺

仮想通貨取引所やその他関連事業を展開する事業者の倫理観の緩さやコンプライアンス意識の低さは、仮想通貨業界全体の問題となって如実に現れ始めている。特にICOや取引所では、企業側が顧客資産を持ち逃げする出口詐欺が横行している状況で、それをリスクと見た投資家が仮想通貨市場から離脱したことから、投資の縮小が進んでいるという。出口詐欺の可能性が疑われている最近の例としては、昨年10月末、ハッキングにより600万ドルの顧客資産が盗難されたことを伝えた直後にサービスを停止した、カナダの小規模な仮想通貨取引所であるMapleChangeの件が挙げられる。出口詐欺は非常に悪質な場合が多く、第三者の犯行であるかのように見せかけて顧客資産を奪い取り、その後、あらかじめ計画していたかのようにサービス停止や倒産のプロセスに移行するケースもあるようだ。Cryptopiaの件は調査中で、真実は明らかになっていないが、不可解な点も多いだけに、企業側はできる限りの詳細の報告と調査への協力が求められるだろう。


Date

作成日

2019.01.25

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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