Select Language

コインベースがイーサリアムクラシックへの51%攻撃でサービスを停止

コインベースがイーサリアムクラシックへの51%攻撃でサービスを停止

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:27
コインベースがイーサリアムクラシックへの51%攻撃でサービスを停止

update 2021.08.31 15:27

46万ドル相当の不正な二重送金の発生を確認

仮想通貨取引所のCoinbase, Inc.(本社:548 Market St #23008 San Francisco, CA9410[1])【以下、コインベースと称す】は、イーサリアムクラッシック(Ethereum Classic)【以下、ETCと称す】が51%攻撃を受けたとして同仮想通貨の取引および入出金を停止することを発表した。[2]

今回の51%攻撃は、少なくともBitflyやBlockscoutが提供する2つのブロックチェーン検索ツールで検知されており、今月6日に100以上のブロックが再編成されていることが確認できる。コインベースによると、88,500ETC(46万ドル相当)の不正な二重送金が行われていたという。攻撃がどのくらい継続したかは調査中としているが、Blockscoutは、ETCブロックチェーン上での再編成は、協定世界時(UTC)の1月7日午前2時から5時の間に発生したとを報告している。一方、Bitflyやコインベースは、現在でも攻撃が続いている可能性があることを主張している。

ETCの公式Twitterアカウントのツイートによると、ETCはブロックチェーンのセキュリティソリューション開発を行うSlowMist Technology Co., Ltd.【以下、SlowMistと称す】やその他コミュニティと連携して問題解決にあたっており、それと同時に取引所やマイニングプールには対策を促しているという。[3]SlowMistはコインベースのセキュリティ開発を担う企業で、7日の朝、ユーザーに対し不審な活動が検知されたことを警告し、更にその発生源の追跡を試みていると伝えていた。コインベースは、他社の報告よりも2日ほど早く、ETCブロックチェーンで再編成が発生していることに気づいていたという。

ある仮想通貨メディアのアナリストは、特定のマイニングプールからの異常に高いハッシュレートが検出されており、それがETCのブロックチェーン上での再編成を招いた可能性があると述べている。当初は、Twitterで関係者によって否定されていたが、現在ではETC公式アカウントで51%攻撃の事実を認めている。しかしながら、51%攻撃の定義は曖昧で、今回の件はもっと別の事象だとの見方をしているものも存在するようだ。

ETCの開発アドバイザーであるCody Burns氏は、今回の騒動は51%攻撃と言うよりも一部マイナーによる利己的なマイニング攻撃で、もっと局地的なものだと主張している。Burns氏によると、イーサリアム(Ethereum)のネットワーク全体に再編成の動きが同時に発生していないことから、悪意のあるマイナーがコインベースのETCノードを特定して攻撃を加えた可能性があるという。どちらにせよ、ETC関連のサービスを提供する企業は、顧客保護のための対策を講じることをBurns氏は推奨しており、最良の対策は、イーサリアムベースの仮想通貨取引に関して、承認するブロック数を400ブロック単位以上に設定することだと論じている。

ETC公式のTwitterアカウントでは、膨大なハッシュレートが仮想通貨マイニング機器を製造する企業であるLinzhiから来ていることが指摘されている。確かにLinzhiは、1,400Mh/sものハッシュレートを供給する新製品の開発テストを実施していることは認めているが、同社のオペレーション責任者はそれを事実無根の言いがかりだと否定しており、今回の事件の首謀者による陰謀であるとまで発言している。Linzhiは、未だ最初の製品もリリースしていない状態にあり、ASICのテストはメインネットではなくテストネットを利用することから、ETCに影響を与えた可能性はないと反論している。

今回の大規模な再編成の発生を受けて、大手取引所のKrakenは、ETCによる入金の確認プロセスを強化することを決定し、マイニングプールなどを運営するBitflyも同様の対策を講じることを発表した。米国大手取引所のPoloniexは、ETCに対応するウォレットを一定期間無効化することを決めて、サービス再開までリスク回避に徹することを報告している。

release date 2019.1.8

出典元:

ニュースコメント

PoWアルゴリズムが抱える51%攻撃の脅威

51%攻撃とは、マイニングの成否がマイナーのコンピュータリソースの多寡に依存するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)などのマイニングアルゴリズムに見られるブロックチェーン上での脆弱性で、特定のマイナーがネットワーク上のハッシュパワーを51%以上占有することで発生する問題である。悪意を持ったマイナーがハッシュパワーを占有することで、誤った送金記録がブロックチェーンに記録される可能性が生まれ、最悪の場合、二重送金による仮想通貨の不正利用が実施される。特にASICなど高効率のマイニングマシン開発が進んでいることから、この問題は顕著化してきているが、イーサリアム系の主要な派生通貨がターゲットとなったことは意外な出来事であると言える。主要通貨としての地位を築いたイーサリアムは、このような51%攻撃のリスクを軽減するためにASIC耐性のあるProgPowという新しいアルゴリズムの導入やPoS(プルーフ・オブ・ステーク)という別のアルゴリズムへの移行を計画している。一時、テストフェイズでの遅れなどが発生したこともあったが、今回のETCの件により、対策とその早期実施の重要性が再認識されたことだろう。


Date

作成日

2019.01.08

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨KAITOの将来性は?AI活用のWeb3情報プラットフォームKaito AIの特徴や評判を解説

仮想通貨KAITOは、Web3の情報アクセスを変革する次世代プラットフォーム「Kaito AI」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨KAITOの概要や将来性、Kaito AIが提供するYapsの仕組み、SNSでの評判などを解説します。
update2025.02.19 19:00

FXGTでの出金拒否報告が増加中、これまでとは違う危険な兆候とは?

FXGTの出金拒否の報告・原因のほか、ユーザーの流出状況などをまとめました。SNS上ではここ数ヶ月の間に出金拒否に関する投稿が増加しており、ユーザーの間では「自分も出金拒否されるのでは」「FXGTがつぶれるのでは」といった不安が広がっています。
update2025.02.14 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

仮想通貨SOSOの将来性は?AI活用の投資分析プラットフォームSoSoValueがトークン発行

仮想通貨SOSOは、中央集権型金融の効率性と分散型金融の透明性を組み合わせた投資分析プラットフォーム「SoSoValue」のガバナンストークンです。当記事では、仮想通貨SOSOの将来性やSNSでの評判、SoSoValueの特徴などを解説します。
update2025.01.24 19:30

Bybitからビットフライヤーに送金してみた!送金手数料や反映時間は?

Myforex編集部では、実際にBybitからビットフライヤー(bitFlyer)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、送金手順のほか、送金手数料やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2025.02.19 19:30

【全て無料】MT4/MT5を日本時間にできるインディケータのおすすめが決定!

MT4/MT5に表示されている時間は、インディケータを使えば簡単に日本時間へ変えられます。MT4/MT5を日本時間表示にしておくと、各市場のトレンドを把握しやすくなったり、経済指標の発表時間に合わせた取引がしやすくなったりと、何かと便利です。
update2024.12.04 20:00

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

MacのMT4/MT5はダウンロードしても使えない?文字化けや起動しない時の対策方法や最終手段を紹介!

Mac版のMT4やMT5は不具合が良く発生するため、自分の使い方が悪いのか不安を感じている人もいるのではないでしょうか。本記事では、Mac版のMT4・MT5のトラブルや解決方法を解説します。
update2024.12.04 20:30

コインチェックからBybitに送金してみた!送金手数料や反映時間についても解説

コインチェック(Coincheck)からBybitに仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験やSNSでの口コミなども交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.11.29 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル