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金融庁が仮想通貨ETFの承認を検討

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update 2021.08.31 15:27
金融庁が仮想通貨ETFの承認を検討

update 2021.08.31 15:27

将来的な法改正で実現の可能性

報道によると、日本の金融庁(Japan Financial Services Agency, JFSA)が、仮想通貨を対象とした上場投資信託(Exchange Traded Fund)【以下、ETFと称す】の承認を検討していることが今月7日に明らかとなった。[1]

多くの金融機関が関心を寄せている仮想通貨ETFであるが、金融庁は、現在その承認プロセスを進めるかどうかを精査しているという。これまで、与党である自民党が、2019年3月を目処に仮想通貨に対する規制草案の作成に取り組んでいるが、今後の金融法の改正により仮想通貨ETFを認可する可能性があると期待されている。しかしながら、報道によると、投機的な利用が拡大することを懸念して、金融庁は、仮想通貨デリバティブ商品の提供を承認する計画を既に断念しているようだ。

金融庁を中心とした法改正では、同時に、自主規制による業界の監督強化や様々な投資クラスに分類されるICOトークンの証券法での管理など、2020年までに国内市場での仮想通貨規制を強めることも示唆しているという。特に昨年1月、コインチェックがハッキングにより5億3,300万ドルもの顧客資産を失ったこともあり、今回の法改正へ向けた取り組みは、取引所のセキュリティ対策に焦点が当てられているようだ。仮想通貨ETFの提供が許可されれば、既存の金融会社の資本が仮想通貨市場へと流入することは明白だとも言えるが、安全性の面から反対する者も少なからず存在するだろう。

米国では、いくつかの企業が仮想通貨に連動したETFなどの金融商品のローンチを計画しているようだが、米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】は未だにその動きを認めていない。昨年8月、詐欺的な利用や市場操作などのリスクを懸念して、SECは9つのビットコインETFを却下しており、続く12月には、SECがビットコインETF提案の回答を延期する決断を下している。

更にSECの議長であるJay Clayton氏は、11月に仮想通貨メディアのCoinDeskが主催したConsensus 2019のイベントで、不正な市場操作に利用される懸念が解消されない限り、仮想通貨ETF認可への道筋は見えないと後ろ向きな発言をしている。世界でも議論の対象となっている仮想通貨ETFだが、日本の金融庁はどのような見解を示すのだろうか。

release date 2019.1.8

出典元:

ニュースコメント

安全性重視の国内市場から投資家流出のリスク

仮想通貨に連動した先物やETFを含むデリバティブ商品は、高いレバレッジ効果や投資の柔軟性を得ることができることから、投資家には利便性の高い商品となっている。現在、国内の仮想通貨市場では、取引所各社、ビットコインや主要通貨に連動した先物商品を取り扱っており、リスクヘッジや効率的な投資手段として活用されているようだ。日本国内では、日本仮想通貨交換業協会が自主規制の一環で、先物取引に関してもレバレッジを制限する方向だが、規制が緩い海外の取引所の中には、レバレッジ100倍の取引サービスを提供しているものもある。日本は、投資家の保護を最優先に全く逆の流れを行く見通しで、資金効率の高い取引や更なるリスクを求める一部投資家が国内市場から流出する可能性が懸念されている。仮想通貨ETFに関しても、他国に先を行かれれば同様の状況に陥ることが予測されるため、金融庁の迅速で適切な判断が重要となるだろう。


Date

作成日

2019.01.08

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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