Select Language

オランダ、仮想通貨関連事業のライセンス制度導入を検討

オランダ、仮想通貨関連事業のライセンス制度導入を検討

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:27
オランダ、仮想通貨関連事業のライセンス制度導入を検討

update 2021.08.31 15:27

情報提供や報告を義務化して市場の安全性を確保

オランダ金融市場庁(The Netherlands Authority for the Financial Markets)【以下、AMFと称す】とオランダ中央銀行(De Nederlandsche Bank)【以下、DNBと称す】が、国内で営業する仮想通貨関連サービス業者を対象とした登録制のライセンス制度導入を提案していることが、オランダ放送協会(Nederlandse Omroep Stichting)の報道により明らかになった。[1]

今回のライセンス制度に関する提案は、オランダ政府の財務大臣であるPete Hoekstra氏がAMFとDNBに仮想通貨市場の規制化を求めたことに端を発しており、同氏は準備ができればすぐにでもこの制度の施行に動く構えだ。このライセンス制度は、仮想通貨取引所やウォレットサービスに対して、ユーザーの取引情報を記録および保管、加えて犯罪利用の可能性がある疑わしい動きを当局に報告するよう義務付けることを目的としている。また、報告によって、取引が調査の対象となった場合、当局は、関連する情報をこれらの事業者から参照することが可能となる見通しだ。ライセンスを取得するためには、まず、DNBが課すテスト期間に当局の監査を受ける必要があり、データ収集やその管理の観点でシステムが基準に達していることを示さなければならない。現在のところ、30程度の企業や団体がライセンスの取得に動いているという。

AMFとDNBによると、他国と同様にオランダ国内でも仮想通貨取引の人気が低下しているため、仮想通貨に関する危険度の高い投機や詐欺への対策が後回しになっているという。しかしながら、対照的に犯罪利用の可能性がある仮想通貨の疑わしい取引件数は増加傾向にあり、オランダのFinancial Intelligence Unitの調べによると、これまで年間300件程度だったのが、今ではおよそ年間5,000件まで急増していることがわかっている。このことから、オランダでのライセンス制度導入は、仮想通貨を利用したマネーロンダリングやテロリスト資金供与などの犯罪を排除する働きが求められるといえる。

ライセンス制度の導入で市場の安全性が向上することが予測されるが、決していいことばかりではない。ブロックチェーンテクノロジーの浸透を進める非営利団体、Bitcoin Nederland Foundationの書記であるRichard Kohl氏は、ライセンス制度の導入が、金融業界に参入する仮想通貨関連のスタートアップ企業に対して不利益をもたらす可能性があることを指摘している。事務的な書類や跳ね上がるコストなどが要因となり、自由な風土をもつオランダ国内市場のイノベーションを阻害すると、Kohl氏は警笛を鳴らしている。

このオランダ政府の動きは、世界の流れを汲んだもので、他国でも似たような事象が発生している。例えば、アフリカでは、南アフリカ準備銀行(South African Reserve Bank, SARB)が、既存の規制フレームワーク改正を助けることを目的に、オランダ同様の仮想通貨関連サービスのライセンス制度導入を提案している。加えて、デンマーク政府の税務機関は、国内3つの取引所からトレーダーの名前や住所、税務に関わる情報などを収集して、脱税への対策を強化しているようだ。

release date 2019.01.22

出典元:

ニュースコメント

規制と成長の両立も課題

世界で検討され始めているライセンス制度は、日本ではいち早く取り入れられており、金融庁は仮想通貨関連業者を登録して、安全性の高い市場環境作りに大きく貢献している。その他、アジアでは、最近、タイがこのライセンス制度を導入しており、先日、仮想通貨取引所を中心とする4つの企業が国内での営業を許可されたことが伝えられた。少なくとも日本の仮想通貨市場は世界一先進的な市場だと評価されるほどに当局の管理が進んだが、この規制フレームワークが最適解なのかはまた別の議論だ。特にオランダは、これまで、自由貿易や新興企業の発展を支援することで経済成長を遂げてきたため、規制による締め付けがどのように作用するかに関しては慎重にならざるを得ない。対策として、特定の企業を規制の対象外として該当技術の実証を可能とするサンドボックス制度を設けるなど、積極的な成長を促す方法も検討されるべきだろう。なお先日、日本では、仮想通貨の新たな決済システムを開発した株式会社Grypto Garageがフィンテック関連事業としては初となるサンドボックス制度の認可を受けている。これからの仮想通貨関連事業は規制と同時に成長を促す策の検討が求められるだろう。


Date

作成日

2019.01.22

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨REZの将来性は?イーサリアムのリステーキングプロトコルRenzoについて解説

仮想通貨(暗号資産)REZは、リステーキングプロトコルRenzoのネイティブトークンです。Renzoは、イーサリアム(ETH)のリステーキングを簡単に実行できるプラットフォームとして機能します。
New
update2024.05.01 20:00

リピート注文その1|最良の取引戦略の1つリピート注文とは

リピート注文(グリッドトレード)は、インディケータに関する知識を必要としないシンプルな手法です。注文を設定した後は、単純なルールに従って行動するだけです。
update2024.04.30 20:30

メタマスク(MetaMask)のエアドロップ確認機能とは?特徴や使い方を解説

分散型ウォレットのメタマスク(MetaMask)に、エアドロップ確認機能が追加されました。これにより、エアドロップの受け取り資格の有無を、メタマスク上で簡単にチェックすることが可能になっています。当記事では、エアドロップ確認機能の特徴や、対応しているブロックチェーン、使い方を解説します。
update2024.04.26 21:00

仮想通貨BBの将来性は?ビットコイン向けリステーキングチェーンBounceBitについて解説

仮想通貨(暗号資産)BBは、レイヤー1ブロックチェーンBounceBitのネイティブトークンです。BounceBitは、ビットコイン(BTC)をリステーキングできるインフラとして機能します。
update2024.04.25 20:00

セービングとステーキングの違いとは?仕組みや利率・やり方を解説

仮想通貨(暗号資産)を運用する代表的なサービスとして「セービング」と「ステーキング」があります。よく似た両者には、どのような違いがあるのでしょうか。当記事では、セービングとステーキングの違いや仕組み、利率、やり方などを解説します。
update2024.04.25 19:30

Zoomexがプレイ金額杯を開催!To The Moonをプレイして総額17万円相当の賞金・特典を獲得

Zoomex(ズーメックス)が、プレイ金額杯の開催を発表しました。To The Moonをプレイしてランキングに入賞すると、総額17万円相当の賞金・特典を獲得できます。キャンペーンは、2024年4月30日午前9時(日本時間)までです。
update2024.04.23 20:00

BigBossが新規ユーザー向けの入金ボーナスを提供!最大1万3,700ドルを付与

海外FX業者のBigBossが入金ボーナスの提供を開始します。今回のボーナスプログラムでは累積入金額によって付与率が変化し、最大1万3,700ドルが付与されます。入金ボーナスの付与条件や対象、注意点などをまとめました。
update2024.04.22 20:30

ThreeTraderが3周年を記念したキャンペーンを開催!

海外FX業者のThreeTraderが、3周年を記念したキャンペーンの第一弾を開催しています。キャンペーン期間中に本人確認審査を完了、または初回入金を行うと合計20ドルのキャッシュバックを受け取れます。
update2024.04.19 21:00

Bybitの新ローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場!参加方法やPlaybuxの独自トークンについて解説

Bybitのローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場します。PBUXは、エンターテインメントWeb3.0プラットフォーム「Playbux」の独自トークンです。計測開始日時は2024年4月18日午前9時からです。
update2024.04.18 21:00

XS.comが賞金総額100万円のデモトレード大会「Lucky Contest」を開催!

海外FX業者のXS.comが、2024年4月29日よりデモトレード大会「Lucky Contest」を開催します。上位5名などには総額100万円の賞金が贈られます。
update2024.04.17 20:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル