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ユーロネクスト、オスロ証券取引所グループの買収模索

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update 2021.08.31 15:27
ユーロネクスト、オスロ証券取引所グループの買収模索

update 2021.08.31 15:27

今後もM&A戦略を通じ、サービス多角化を画策

欧州最大の取引所の一つである、Euronext【以下、ユーロネクストと称す】は、ノルウェーのオスロ証券取引所と証券保管振替機関(株券等の保管、株主権利の処理・管理などを行う機関)を運営するOslo Børs VPS Holding ASA(本社:Tollbugata 2 Postboks 460 Sentrum, 0105 Oslo[1])【以下、オスロ証券取引所グループと称す】の自己株式を含む発行済みの全株式を全額現金により買収する株式公開買い付け公示文書を公表した。

ユーロネクストは、金額にして62億4千万ノルウェー・クローネ(7億3,074万ドル)で Oslo Børs VPS全株式を買収する見通しである。[2]1株当たりの買収価格は、145ノルウェー・クローネ(16.98ドル)となり、これは2018年12月17日のオスロ証券取引所グループ株式の終値、及び3か月の期間に亘る出来高加重平均価格(Volume Weighted Average Price, VWAP、価格ごとの出来高で加重平均した価格)それぞれに対し、32%、34%のプレミアムが乗せられているとのことだ。加えて、この度のユーロネクストの買収提案に賛成した株主に対しては、買収提案の受け入れから買収手続きの完了までの間、買収価格に対し年利率6%の金利を支払う予定でもある。仮に買収提案が受け入れられた際には、ユーロネクストは オスロ証券取引所グループが手掛ける証券取引所及び証券保管振替ビジネスの更なる発展に完全にコミットするとしている。高いプレミアムや金利付与、オスロ証券取引所グループの事業継続性の確保といった買収条件から勘案するに、ユーロネクストがオスロ証券取引所グループを買収しようとする強い意志を伺い知ることができよう。

一方で、オスロ証券取引所グループの株主は、ユーロネクストの買収提案を受け入れるか否か、1月14日から2月11日までに決断を迫られている模様である。ロイター通信によれば、オスロ証券取引所グループは、株主に対し、2月末に開催予定の取締役会まで判断を待つよう求めているとのことだ。

ユーロネクストによるオスロ証券取引所グループへの買収提案を受け、オスロ証券取引所グループのスポークスパーソンであるPer Eikrem氏と、ユーロネクストのCEO兼取締役会長を務めるStéphane Boujnah氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。

我々は現在複数の買収提案を受領しており、いずれの提案が我が社にとってベストなものか精査中であります。

Per Eikrem, spokesman for Oslo Børs VPS - Reutersより引用

仮に買収提案を受け入れて頂けたら、オスロ証券取引所グループは欧州最大の流動性供給を誇る我が社の最先端テクノロジーや革新的サービスを活用できる他、新たな資産クラス、取引ツール、市場へのアクセスも可能となり、多くのメリットを享受するものと思われます。 オスロ証券取引所は、我が社の分散統合モデルにおいて、自社のコーポレートアイデンティティを維持できるでしょう。また証券保管振替機関に関しても、我が社が構築する単一のコーポレートガバナンス(企業統治)の枠組みの下、独立した形で事業を継続させることも可能です。そして、オスロ証券取引所グループと協働することで、欧州全域に最高水準のサービスを提供する証券取引市場を構築するという我が社が掲げる目標に大きく前進することになると考えております。

Stéphane Boujnah, CEO and Chairman of the Managing Board of Euronext - Euronextより引用

なお2017年5月、FXマッチングシステムを提供するファストマッチ社株をユーロネクストは買収し、7月にはオランダのポータルサービスプロバイダーのiBabs社株をユーロネクストは買収している。そして、2018年12月下旬にはユーロネクストはCommcise社の株式を取得し、更なるサービス多角化を模索している。今後も、ユーロネクストが掲げるM&A(合併・買収)戦略を着実に実践し、広範且つ高付加価値なサービス展開を図る見通しだ。

release date 2019.01.15

出典元:

ニュースコメント

北欧市場をM&Aのターゲットに

オスロ証券取引所は、1819年に設立されたノルウェー唯一の証券取引所であり、設立当初は、投資家が船舶の競売や、船舶の株式、商品の交換の他、外国通貨の交換をする場所であったが、1881年に証券取引として開始され、現在、上場企業の多くがノルウェーの企業となっている。オスロ証券取引所の親会社であるオスロ証券取引所グループは、ノルウェーの証券の証券登録や決済サービス、金融市場データおよびインターネットソリューションなどを提供している。また、証券保管振替機関のVPS ASA、清算機関のVPS Clearing ASA、マーケット情報を提供するOslo Market Data and Solutions ASの運営も行っている。なお、ユーロネクストは欧州5カ国の証券取引所とポルトガルのCSD(証券決済機関)を管理しているが、オスロ証券取引所グループの買収が決定となれば、同取引所を北欧市場のハブとして位置づけていくことや、オスロ証券取引所グループとユーロネクストが持つデータを組み合わせて真の欧州市場データを構築していくこと、また、オスロ証券取引所グループをユーロネクストグループの活動の中核とすることなどを約束している。M&A戦略を推し進めるユーロネクストであるが、北欧市場に進出することになるのか、買収の行方が注目される。


Date

作成日

2019.01.15

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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