Select Language

ビッサムがハッキング絡みの裁判に勝訴

ビッサムがハッキング絡みの裁判に勝訴

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:27
ビッサムがハッキング絡みの裁判に勝訴

update 2021.08.31 15:27

顧客が4億ウォンの補填を求めて提訴

韓国の地元紙によると、BTC KoreaCom Corporation(本社:17, Teheran-ro 16-gil, Gangnam-gu, Seoul, Korea[1])が運営する、韓国の大手仮想通貨取引所Bithumb【以下、ビッサムと称す】は、ハッキング被害を受けたと主張する顧客との間に抱えていた裁判において、勝訴したことが今月24日に明らかになった。[2]

原告のAhn Park氏は、ビッサムのセキュリティの脆弱性が原因で、2017年11月30日におよそ4億ウォン(35.5万ドル)近い仮想通貨資産がハッカーによる盗難の被害にあったとして、同社に損害の補填を求める訴訟を起こしていた。調べによると、犯人は、Park氏のアカウントを数時間乗っ取っており、口座のイーサリアム(Ethereum)をほぼ全て盗み出したという。しかしながら、犯人が口座にアクセスするためのPark氏の個人情報をどのように得たかは不明で、裁判の記録では、何者かがビッサムの従業員が所有する自宅コンピュータから取引所の記録を盗み見た可能性が示唆されていた。

過去にもビッサムは、ハッキング被害に見舞われており、システムのセキュリティ強化を実施していたが、Park氏は、その対応が不十分であったと主張し、それと併せて、ビッサムがセキュリティ侵害に対して、信任を受けた者が履行すべき義務を果たしていない可能性についても指摘していた。これに対してビッサムは、自社が正式な金融機関ではない点を挙げて補填責任は生じないと反論していたが、最終的に裁判所は、ビッサムに補填責任がないことを認め、金融機関ではないという主張に対しても合意するに至った。加えて、裁判官は、ビッサムがPark氏に10回に渡りSMSでイーサリアムのトランザクションを警告していたことを認めたうえで、履行すべき義務を果たしたと判断したようだ。また、判決の中では、仮想通貨は主に投機的な目的で利用されているため、電子的な決済手段とはなり得ないことも付け加えられている。

韓国の金融監督委員会(Financial Services Commission, FSC)は、ビッサムが過去に経験したサーバーダウンに起因した集団訴訟で、仮想通貨の定義に関して同様の見解を示しており、仮想通貨には、投機的な要素やハッキングなどの犯罪の危険がつきまとっていることから、従来の通貨としては成立せず、金融資産としても認められていないのが現状である。韓国政府は、仮想通貨取引に関して否定はしないものの、そのリスクの高さに関しては自己責任だと強調している。

今回のハッキング被害に関して、およそ3,000人もの被害者が損出の補填と集団訴訟案件としての認定を求めているという。事件当初、ビッサムは、被害者に対して謝罪をしており、法的、社会的責任を果たすために、どのような対応をするか協議すると述べている。ビッサムは今年6月にもハッキング被害を受けているが、8月には一時的に停止していた仮想通貨の入出金サービスをビッサムは再開している。また、ビッサムは分散型取引所のサービス展開に向けても動き出しており、今後の被害者への対応も含め、巻き返しが期待される。

release date 2018.12.27

出典元:

ニュースコメント

裁判による判例が市場を成熟に導く

取引所の顧客資産の流出被害は、仮想通貨取引に付随する危険な側面を強調し、投資を遠ざけるだけではなく、企業にとっては対策や補填に巨額なコストが絡むため、仮想通貨業界にとっては憂うべき問題となっている。しかしながら、一方で、こういった訴訟による判例の増加は、市場を成熟に導く必要不可欠な事象だとの楽観的な見方もある。特に仮想通貨においては、訴訟件数自体がまだまだ少なく、米国ではブロックチェーンプロジェクトに関する訴訟が、証券市場の約2%にとどまっているとの調査結果が出ている。裁判による判例は、企業にとって、コンプライアンスの基準となったり、セキュリティ対策の指針となるため重要度は意外にも高い。これらの影響を考慮すると、現在の仮想通貨市場は、企業にとって何がどれ程のリスクを伴うのかが不明であり、まさに一寸先は闇と言える状況である。2018年も立て続けにハッキング被害に見舞われた韓国だが、これを糧に前進することを願いたい。


Date

作成日

2018.12.27

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨KAITOの将来性は?AI活用のWeb3情報プラットフォームKaito AIの特徴や評判を解説

仮想通貨KAITOは、Web3の情報アクセスを変革する次世代プラットフォーム「Kaito AI」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨KAITOの概要や将来性、Kaito AIが提供するYapsの仕組み、SNSでの評判などを解説します。
update2025.02.19 19:00

FXGTでの出金拒否報告が増加中、これまでとは違う危険な兆候とは?

FXGTの出金拒否の報告・原因のほか、ユーザーの流出状況などをまとめました。SNS上ではここ数ヶ月の間に出金拒否に関する投稿が増加しており、ユーザーの間では「自分も出金拒否されるのでは」「FXGTがつぶれるのでは」といった不安が広がっています。
update2025.02.14 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

仮想通貨SOSOの将来性は?AI活用の投資分析プラットフォームSoSoValueがトークン発行

仮想通貨SOSOは、中央集権型金融の効率性と分散型金融の透明性を組み合わせた投資分析プラットフォーム「SoSoValue」のガバナンストークンです。当記事では、仮想通貨SOSOの将来性やSNSでの評判、SoSoValueの特徴などを解説します。
update2025.01.24 19:30

Bybitからビットフライヤーに送金してみた!送金手数料や反映時間は?

Myforex編集部では、実際にBybitからビットフライヤー(bitFlyer)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、送金手順のほか、送金手数料やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2025.02.19 19:30

【全て無料】MT4/MT5を日本時間にできるインディケータのおすすめが決定!

MT4/MT5に表示されている時間は、インディケータを使えば簡単に日本時間へ変えられます。MT4/MT5を日本時間表示にしておくと、各市場のトレンドを把握しやすくなったり、経済指標の発表時間に合わせた取引がしやすくなったりと、何かと便利です。
update2024.12.04 20:00

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

MacのMT4/MT5はダウンロードしても使えない?文字化けや起動しない時の対策方法や最終手段を紹介!

Mac版のMT4やMT5は不具合が良く発生するため、自分の使い方が悪いのか不安を感じている人もいるのではないでしょうか。本記事では、Mac版のMT4・MT5のトラブルや解決方法を解説します。
update2024.12.04 20:30

コインチェックからBybitに送金してみた!送金手数料や反映時間についても解説

コインチェック(Coincheck)からBybitに仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験やSNSでの口コミなども交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.11.29 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル