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スイス企業、中東での仮想通貨発行を承認される

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update 2021.08.31 15:27
スイス企業、中東での仮想通貨発行を承認される

update 2021.08.31 15:27

イスラム法に準拠したステーブルコイン

スイスを本拠に仮想通貨関連事業を展開するX8 AG【以下、X8と称す】は、イスラム法であるシャリーア法の基、中東でのステーブルコイン発行が正式に承認されたことを発表した。承認を行った、バーレーン中央銀行から認可されているAheriyay Review Bureauは、イスラム法に基づいて、企業などに金融的なアドバイスを行うファイナンシャル・コンサルティング企業だ。

X8のステーブルコインは、X8Cと呼ばれるイーサリアムベースの仮想通貨で、日本円、米ドル、スイスフラン、ユーロ、ポンド、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドルの8つの法定通貨と、金によって価値が裏付けられている。X8の公式サイトによると、これらの資産はスイスの国際的金融機関であるUBS AGの銀行口座で保管され、ソフトウェアによる管理と第三者による監査が毎日実施されているとのことだ。X8Cは発行上限数となる1億通貨がすでに発行されており、時価総額は230万ドルに達している。また、X8Cと法定通貨の換金に利用するトークン、X8Xユーティリティトークンも発行されている。[1]

X8の共同創立者であるFrancesca Greco氏によると、アブダビ、ドバイ、バーレーンなどの沿岸地域は、フィンテック企業にとっての環境が整っており、同社も同様にこれらの地域の取引所での仮想通貨展開を狙っているという。同じく共同創立者であり、GEOのGregor Kozelj氏は、この度の承認を受けたことで、投資家に対してシャリーア法に準拠していることを証明することができるため、投資を集める上で非常に重要な意味を持つとコメントしている。

そもそも仮想通貨は、イスラムの金融において、利子やその投機的な側面を持つことから、自然と認められる存在ではない。しかし、イスラム経済圏では、シャリーア法に準拠した金融のあり方を模索しており、ブロックチェーンは適切な金融システムになる可能性があることを期待されているという。2018年4月にイスラムの法律専門家は、投資的な目的で利用される場合は例外だが、決済として利用される仮想通貨は、シャリーア法で許された「ハラール」であると定めており、また、ブロックチェーンは、資産の所有権が明確になっている点で、既存の金融システムより好ましいとの見解を示している。

X8Cは、8月にローンチされて以来、意に反して価格が大きく変動しているが、一般的にステーブルコインとは、仮想通貨の投機的な側面とは関係性が薄く、イスラム教徒にも受け入れられる可能性があるといわれている。実際にイスラム圏内でも仮想通貨を利用する動きは活発で、9月には、マレーシア政府がブロックチェーン技術を利用した開発に着手しているほか、サウジアラビア最大の銀行も、リップル(Ripple)の法人向け金融サービスであるリップルネットの利用を発表している。

release date 2018.11.14

出典元:

ニュースコメント

イスラム世界で先を行くシンガポール

イスラム世界と言っても、その作法や考え方は国や地域によって様々で、仮想通貨などの新しい金融テクノロジーを受け入れる姿勢も異なっている。正式にイスラム教国家として存在している国の中でも、マレーシアやシンガポールは、仮想通貨やブロックチェーンなどに対しては比較的寛容な対応をしており、アジアの中でも先進的な市場となっている。特にシンガポールでは、金融管理局が中心となって仮想通貨市場のルール作りを進めており、その成果もあってか、国内で多くの仮想通貨取引所やブロックチェーン企業が活動するようになった。仮想通貨取引所のBinanceがシンガポールで法定通貨取引のテストを実施するほか、SNSアプリを運営するLINEがシンガポールで仮想通貨取引所BIT BOXの設立を発表するなど次々と報道されている。また、今年9月にCoinDeskが主催したイベント、コンセンサスシンガポール2018では、金融管理局の幹部が、仮想通貨は既存の証券法で規制すべきではないとの見解を発表し、テクノロジーの発展を助長するような法規制を実施する方向性を示している。今後、発展が見込まれるシンガポールは、イスラム世界の模範となる市場として注目を集めるかもしれない。


Date

作成日

2018.11.14

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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