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米国証券取引委員会、ICOに関するガイドライン発行を検討

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update 2021.08.31 15:22
米国証券取引委員会、ICOに関するガイドライン発行を検討

update 2021.08.31 15:22

証券法の適応範囲を明確にする狙い

米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】は、ICOに関するガイドラインを発行する計画があることを今月5日に明らかにした。

SECの企業ファイナンス部門の責任者であるWilliam Hinman氏は、ワシントンDCで開催されたフィンテックに関連したイベントやカンファレンスが行われるFintech Week 2018で登壇し、計画について発表した。[1]Hinman氏によると、このガイドラインはICOによって配布される仮想通貨が、証券に該当するかどうかの判断基準になるという。

ガイドラインは、誰にでも理解できるシンプルな英語で、わかりやすい内容のものを目指し、証券に該当する場合の申請手順なども含まれる構想とのことだ。もしガイドラインを参照しても、判断に困る場合は、SECが新しく設立したFinHubへ質問することで、迅速な回答を得ることも可能だという。また、このガイドラインは、初回発行分のトークンの扱いについてSECの見解を明確化するため、発行市場だけでなく流通市場についても記載される予定とのことだ。なお、このガイドラインが発行される日時の詳細については未だ明らかにされていない。

SECによると、ICOで配布される仮想通貨が証券として判断されるポイントは、購入者が何かしらかのリターンを期待できるかという点が重要になるという。なお、Hinman氏の見解では、第三者に対して、現金や同等品と引き換えにオファリングを行い、その第三者が金銭的リターンやトークン価値の上昇などを期待しているのであれば、一般的には証券として認識することが適当であることを述べている。

2017年7月に、SECは、イーサリアム(Ethereum)ベースのトークンを利用した、今はなきDAO(自律分散型組織)に関する報告書を提出し、その特性が証券のそれに該当することを指摘していた。その後、仮想通貨の中には証券法の対象となる通貨もあるとして方針を固めている。しかし、今年6月時点でHinman氏は、イーサリアムをベースとしたトークンは証券には該当しないとの個人的な見解を示しており、組織内部でも一貫した論理を構築できていないようだ。

release date 2018.11.06

出典元:

ニュースコメント

CFTCとは対象に対応が遅れるSEC

米国市場では、SECが証券、CFTC(商品先物取引委員会)が先物やデリバティブ商品などを取り締まる立場にある。今年9月に、SECがビットコインETFの承認審査を開始したことが報じられているが、その審査結果は先送りにされており、曖昧な対応を見せている。それに加えてSECは、ウィンクルボス兄弟のジェミニが提出したビットコインETFの許可申請を2度に渡って退けた過去がある。SECとは対象的に、CFTCは、積極的に仮想通貨関連商品による市場の拡大を図っており、モルガン・スタンレーやゴールドマンサックスなどの企業が推し進める、企業向けのビットコイン先物やスワップなどの取り扱いを許可している。先日も、モルガン・スタンレーがプライスリターンスワップと呼ばれる仮想通貨を対象とした投資商品のローンチを計画していることが報道されるなど市場規模の拡がりを見せている。 今回のICOを証券と判断する基準を明確にするガイドラインの構想は、SECにとって一歩前進となることは間違いないが、市場や金融業界はSECにもっと迅速な決断を求めていると言えるだろう。


Date

作成日

2018.11.06

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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