作成日
:2018.09.14
2021.08.31 15:22
米国の大手投資銀行として知られる、Morgan Stanley(本社:1585 Broadway, New York, NY 10036, United States
)【以下、モルガン・スタンレーと称す】は、ビットコインのスワップ取引サービス提供の準備を進めていることが明らかとなった。サービスの提供は、機関投資家の明確な需要の高まりと社内での承認を以って開始される予定となっている。モルガン・スタンレーが提供しようとしているサービスは、プライスリターンスワップと呼ばれる取引であり、投資家は取引ごとに手数料を同社に支払いビットコイン先物を原資産としたポジションを取ることができる。
米国では、スワップ取引は米商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission, CFTC)にて管理されており、ビットコインなどの仮想通貨も例外ではない。CFTCは、今年5月に仮想通貨を対象としたデリバティブ商品構築のガイドラインを配布するなど、仮想通貨に好意的な動きを見せている。米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission, SEC)が、ICOによるトークンセールを未だにルール化できておらず、ビットコインETFの商品開発さえ認めていない事と比較すると、その姿勢は対照的である。
世界最大のデリバティブ取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所を運営するCMEグループや、米国最大のオプション取引所であるCBOEはビットコイン先物取引サービスを既に開始しており、昨年以降、多くの金融会社がビットコインを原資産としたデリバティブに関心を示している。2018年5月には、ゴールドマン・サックスがビットコイン関連サービスのローンチを公表し、ニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)も独自のビットコインスワップを開発している。日本では、今年の8月にSBIホールディングス傘下のSBI Crypto Investmentsが、米国の日系法人であるClear Marketsを買収しており、デリバティブ取引プラットフォームの開発に着手したことが発表された。
デリバディブ市場は、実際に現存する富よりも1000兆ドル以上多くの価値を動かしていると推測されており、金融経済に巨大な影響力を持っていると信じられている。多くのものはデリバティブへの投資拡大が、ビットコイン価格を2017年以来の高水準へ押し上げる梃子となることを期待している。
release date 2018.9.14
現在、モルガン・スタンレーにて計画中の商品である「プライスリターンスワップ」は、「価格リターン」スワップと呼ばれるデリバティブ商品で、ビットコイン現物ではなく、ビットコイン先物の価格に連動している。顧客はショートまたはロングポジションを取ることが可能であるが、取引ごとにスプレッドの手数料を同社へ支払うことになる。実質的に投資を行っているのと同等の投資効果を享受できる取引であり、投資家にとって価格変動リスクを受け払いできるメリットがある。
モルガン・スタンレー以外にも米金融大手のゴールドマンサックスや米銀大手シティグループも仮想通貨関連の新商品を準備中との情報がある。次々と発表される大手金融機関による仮想通貨市場への参入に投資家達の期待も広がっている。
作成日
:2018.09.14
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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