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スイスクォート、ICO投資サービスを開始

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update 2021.08.31 15:22
スイスクォート、ICO投資サービスを開始

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注文執行から管理まで手がける世界初の銀行サービス

スイスのオンライン銀行であるSwissquote Bank SA(本社:Ch. De la Cretaux 33 P.O. Box 319 1196 Gland, Switzerland[1])【以下、スイスクォートと称す】は、自社の顧客向けにICO(イニシャルコインオファリング)に直接投資できるプラットフォームを新しくローンチすることを今月22日に発表した。工業用ダイヤモンドを生産するLakeDiamond SA(本社:Rue Galilee 7, 1400 Yverdon-les-Bains, Swizerland[2])【以下、レイクダイヤモンドと称す】が顧客に提供される最初のICOとして選出されている。

この度開始されるスイスクォートのサービスは、投資額の1.25%の仲介手数料と引換に、面倒な仮想通貨による投資資金調達や注文の執行、デジタル資産管理などを引受けることで、ICOへの投資を促すものだ。このICOによる投資スキームは、初期段階のスタートアップ企業への資金提供を行う重要な役割を担っており、CHF(スイスフラン)で比較的容易に投資できることから投資家にとってのメリットも大きい。

最初のICOとして選ばれたレイクダイヤモンドは、2015年に連邦工業大学(EPFL)からのスピンオフ企業としてスタートし、ダイヤモンドリアクターと呼ばれる機械で工業用ダイヤモンドを製造している。レイクダイヤモンドの製品は、ロボット、時計、レーザー、高出力トランジスタ、磁力計などに利用されており、工業用ダイヤモンドの市場規模は2022年までに184億スイスフラン規模までに成長すると予測されている。今回のICOでは、6000万スイスフランの資金調達を目標としており、50の新規ダイヤモンドリアクターの導入への投資に使用される予定だという。

スイスクォートは、顧客に直接的なICO投資ソリューションを提供する世界初の銀行だと謳っているが、CEOであるMark Burki氏は、企業理念を以下のように語っている。

我々のフィロソフィーは、シンプルで利便性の高いサービスを提供することで、金融サービスを大衆化することです。今回のサービスでは、顧客の投資によりスタートアップ企業が成長する機会を創出します。

Mark Burki, CEO at Swissquote - Swissquoteより引用

レイクダイヤモンドが新規発行するLKDトークンは、スイス金融市場監査局(FINMA)の規制ガイドラインに法って管理されており、0.55スイスフランで来年の初めに売り出される予定となっている。スイスクォートの顧客には、プレセールスへのアクセスが今月末より与えられる予定だ。このトークンは、レイクダイヤモンドが保有するダイヤモンドリアクターの権利を分単位で購入することが可能で、投資家はそれに比例した売上のシェアを獲得することができる。また、値上がりを期待してトークンを保持し、後に企業の業績が上がったところで売却するという選択も可能とのことだ。

調査によると、業界全体では、今年に入って5ヶ月で137億ドルもの資金がICOによって調達されているという。スイスでは、今年1月から5月末にかけて4億5,600万ドル、2017年通年では、14億6,000万ドルの資金がICOに向けられており、大きなムーブメントとなっている。また、物流コンテナを製造するSmart Containers、クリーンなプラントシステムを設計するSilent Technology、セキュリティシステムを開発するSecurosysなどがスイス国内でのICOを実施しており、レイクダイヤモンド同様に非ブロックチェーン企業の参入がトレンド化しているようだ。

release date 2018.10.23

出典元:

ニュースコメント

今後も発展が望まれるクリプトバレーを抱えるスイス

スイスの都市であるツークは、ブロックチェーン企業の聖地やクリプトバレーとも呼ばれており、多くのブロックチェーン企業が本社を構えている。その理由は、高度人材の確保が比較的容易なことや欧州市場へのアクセスの良さ、そしてなんといっても恵まれた金融市場環境などが挙げられる。先日も、欧州証券市場監督局ESMAの新規制の導入後、規制の影響が及ばないスイスへトレーダーが移行しているとの報道があったが、まさにスイスの金融市場の自由度の高さが垣間見える出来事と言えるだろう。今現在ツークは、世界的に最も仮想通貨に関して先進的な都市となっており、税金を仮想通貨で支払うことが認められ、仮想通貨による実験的な取り組み、世界的なブロックチェーン関連のイベントなども開催されている。しかし一方でスイス当局が、ICOに関する詐欺や犯罪などへの懸念を強めており、規制強化へ動くとの心配の声もある。スイス国内でこの仮想通貨に友好的な環境が今後も維持される保証はないものの、数多くのICOを成功させてきた実績と、この度新たに大手のスイスクォートがICO投資サービスを開始したことがいい追い風となり、今後も継続的な発展が期待される。


Date

作成日

2018.10.23

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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