Select Language

スイスに大挙として押し寄せるトレーダー

スイスに大挙として押し寄せるトレーダー

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 17:32
スイスに大挙として押し寄せるトレーダー

update 2022.01.27 17:32

顧客は依然ハイレバレッジ取引を追い求め続けている模様

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】による新規制が導入されてから3か月が経過したが、EU圏内のトレーダーは、オフショアブローカーでもなく、欧州当局の規制の手が及ばないスイスに、大挙として押し寄せているようだ。

信頼性の高いプライベートバンキングとして知られるスイスでは、現在、スイス大手銀行のDukascopy Bank SA(本社:Route de Pre-Bois 20 ICC, Entrance H 1215 Geneva 15 Switzerland[1])とSwissquote Bank SA(本社:Ch. De la Cretaux 33 P.O. Box 319 1196 Gland, Switzerland[2])が、欧州の新規制の枠組みから外れる形で、EU圏内のリテール顧客向けにサービスを展開している。また、英国・ロンドンを拠点とするFX・CFDブローカーであるIG Group(本社:Worting House, Church Lane, Basingstoke, Hamshire, RG23 8 PX, UK[3])や、デンマークを拠点とする投資銀行Saxo Bank(本社:Phillip Heymans Alle 15 2900 Hellerup Denmark[4])もスイス国内にオフィスを構えているが、EU圏内の顧客がEU拠点ブローカーのスイス子会社を通じて、スイスの口座を開設できるか否かは不確かではある。

EUの規制当局は、スイスのブローカーがEU圏内の顧客に対しサービスを提供することを禁止していない一方で、EU圏内で広告を出すことは規制している。これは未認可ブローカーが、信頼性の低いアフィリエイトサイトで広告活動を勝手に行っていることが影響している模様である。例えば、サッカー界のスーパースターであるクリスチャーノ・ロナウド氏は、多額のバイナリーオプション取引を行い税金を支払う方法の記事を作成するなど、リテール顧客を惹きつけるアフィリエイト活動が多く確認できる。ただし、クリスチャーノ・ロナウド氏も含め、多くのサッカー選手が税当局から脱税容疑がかけられているのが現実だ。

他方で、過去数か月の間に、裕福な著名サッカー選手が高級スポーツカーに子どもを乗せドライブしたり、貧しい労働者階級の父親が家族を裕福にするといったストーリー展開の広告を目にしてきたと思う。このような広告アプローチは、偽りがなく、そして一見合法的なようであるため、ESMAも規制することができないのであろう。そのため、EU規制当局はEU圏内で広告を出すことを制限しているものの、ブローカーがあの手この手と広告戦略を繰り出しており、適切に規制するのに苦慮する現実が映し出されているといえよう。

また、ESMAが規制するレバレッジに関して考察すると、電気自動車の製造・販売を手掛けるテスラの共同創業者兼CEOのElon Musk氏と、世界に大不況を巻き起こし破綻していったリーマンブラザーズを見れば、レバレッジが諸刃の剣であるといえるだろう。すなわち、レバレッジを利用することにより、時には利益が倍増し、時には損失の拡大を味わうことになる。しかしながら、欧州の規制当局がレバレッジ制限を導入したとしても、大金を簡単に稼げるといった人間心理はくすぐられ、ハイレバレッジのトレードを試みようとする人を止めることは難しく、トレーダーは更なるハイレバレッジ取引を求め、今度はスイスにその居場所を求めているようだ。

このように規制策を講じる欧州当局とそれを回避しようとするトレーダーという状況下では、ハイレバレッジ取引をこよなく愛するトレーダーを保護する環境を築くか、もしくはプロフェッショナルトレーダーがハイレバレッジ取引を行う体制とする必要がありそうだ。なお、EU圏内の顧客向けサービスの提供は、スイスだけでなくオーストラリアでも行っており、香港やシンガポールのブローカーもEU圏内の顧客向けにサービスを行っている可能性があることは留意したい。

release date 2018.10.19

出典元:

ニュースコメント

ESMAの影響を受けないスイス

スイスは、永世中立国として知られており、欧州大陸の中心に位置しながらも欧州連合(EU)には加盟していない。スイスは欧州経済領域(EEA)にも加盟せず、欧州自由貿易連合(EFTA)の加盟国としての立場を維持しているが、EUとは多数の個別協定を結んで加盟国並みの恩恵を受け、世界でも最高レベルの生活水準を誇っている。また、先日、スイス大手銀行のデューカスコピーはICOの実施の計画を発表しており、8月にはスイスクォートはインターナックスを買収して、EU市場へのアクセスを手にしている。最近はハイレバレッジを求めトレーダーのオフショアへのシフトがみられているが、オフショアではないが、EUの新規制の影響を受けず、かつ、勢力の拡大もみられるスイスがシフト先に選ばれているようだ。しかしながら、英国がEU離脱を決定して以降、EUは非加盟国に対して厳しい立場を示すようになり、特に移民問題を巡っては、スイスとEUの関係は悪化している。スイスのブローカーが、永久的にESMAの規制を受けずにサービスを提供できるかどうかは不明である。


Date

作成日

2018.10.19

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

【要注意】Axi口座から不正出金被害、セキュリティ対策に不安の声

海外FX業者のAxiで、不正出金の被害が海外フォーラムなどで報告されています。国内で同様の被害は確認されていませんが、日本人ユーザーも無関係ではありません。この記事では、報告されている不正出金の事例やセキュリティの問題点のほか、現状でユーザーがとれる対策を説明します。
update2025.09.29 19:00

Exnessがスプレッドを最大30%OFF!仮想通貨・株価指数で大幅縮小

海外FX業者のExnessが主要銘柄のスプレッドを縮小しています。BTCUSDは16%、ETHUSDでは23%の縮小が確認されています。本記事では縮小後のExnessスプレッドを主要なブローカーと比較しました。
update2025.10.02 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

【当サイト限定】FXONの口座開設でボーナス15,000円をプレゼント!既存ユーザーも対象

2025年8月1日より、FXONでの口座開設で15,000円のボーナスを獲得できる、当サイトMyforex限定のキャンペーンがスタートしました。この記事では、ボーナスの受け取り方法や注意点などを説明します。
update2025.08.01 19:30

【独自】海外FX利用で銀行口座が凍結・解約された一部始終!「自分には関係ない」は危険かも

みんなの銀行の口座を実際に凍結・解約されたトレーダーから当サイトに寄せられた情報をもとに、解約までの流れを一部始終紹介します。海外FXユーザーにとって、銀行口座凍結は決して他人事ではありません。海外FX利用時に注意すべき送金パターンも説明します。
update2025.08.12 19:00

Wiseでの海外FX入出金をおすすめできない理由とは?アカウント閉鎖の可能性も

海外FXユーザーの間で、Wiseを利用した送金が話題になっています。しかし、Wiseでの入出金はリスクが高いためおすすめできません。この記事ではその理由を説明します。
update2025.09.08 19:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル