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モネロ、アップデートにより取引手数料の97%低減

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update 2021.08.31 15:22
モネロ、アップデートにより取引手数料の97%低減

update 2021.08.31 15:22

効率的なアルゴリズム、バレットプルーフを採用

仮想通貨のモネロ(Monero)は、10月18日にバレットプルーフ(Bulletproof)と呼ばれるアルゴリズムを採用しアップデートが実施された結果、取引手数料が0.5セントから0.019セントへ、約97%の大幅な低減に成功したことが明らかになった。

一般的なビットコインなどのPoW(プルーフ・オブ・ワーク)の仮想通貨は、公開されている分散型台帳に英数字のユーザーネームに紐づいて全てのトランザクションが記録されているため、履歴を辿ることが可能となっている。一方、モネロのような匿名通貨では、分散型台帳でトランザクション履歴を公開しないことで秘匿性を高めている。しかしこれまでのモネロのトランザクションにはRange Proofと呼ばれるゼロ知識証明技術が利用されており、処理に多くの時間を要することに加え、トランザクションデータの大部分を占めていることが問題視されていた。

この度モネロが採用したバレットプルーフは、2017年12月にスタンフォード大学の応用暗号技術研究会によって発明されたゼロ知識証明で、短時間で効率的に処理が実行できる技術である。[1]モネロによると、このアルゴリズムの採用によって、トランザクション処理にかかる負荷を80%削減し、取引手数料や取引完了までの時間を短縮することを実現したという。また、バレットプルーフは、新しいデータ構造へ対数的に情報を集約するため、使用量が増えるほどトランザクションサイズが低減し、処理速度が上がるという。

モネロは、匿名通貨という特徴以外に、容易にマイニングできるように設計されているということがあげられており、一部の企業や団体ではこの特性を有効的に活用している。例えば、ユニセフが仮想通貨で募金を行うため、ウェブサイトで閲覧者にコンピューターリソースの利用許可を促し、仮想通貨による資金調達を行うキャンペーンなどを開催している。しかしその反面、モネロの特性は悪意のあるクリプトジャッキングなどの手口にも利用されていることなどが欠点として挙げられ、少なからず批判の声もある。今回のアップデートで、実用性が向上したモネロだが、抱えている問題に対してどのようなアプローチを取るのか、今後の動きに注目したい。

release date 2018.10.23

出典元:

ニュースコメント

日米で対照的な匿名通貨への対応

匿名通貨として有名なモネロは、ワンタイムアドレスやリング署名といった匿名取引を実現するための機能を有しており、マネーロンダリングなどでの犯罪利用が危惧されてきた。また、モネロはCPUやGPUで手軽にマイニングが実行できるため、個人PCなどのマルウェア感染などによるクリプトジャッキングの被害が拡大していた。これに対してユーザーの自衛を促すため、先月モネロはマルウェア対策の学習サイトを立ち上げており、ユーザーのITリテラシーの向上に力を入れている。このようなモネロなどの匿名通貨に対して、各国の規制当局はそれぞれ異なるアプローチをとっている。日本の金融庁は今年4月に、モネロ、ダッシュ(Dash)、ジーキャッシュ(Zcash)などを含む匿名通貨の国内での取引を制限しており、事実上国内市場からの締め出しを実施している。対照的に米国のニューヨーク州規制当局は、仮想通貨取引所Geminiでの匿名通貨取引を許可しており、優れた匿名技術の長所を伸ばす方針を示している。日米の対応、どちらが正しいかの結論が出るのはまだ先のことになるが、市場は安全性とイノベーションの両方を実現することを望んでいるだろう。


Date

作成日

2018.10.23

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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