Select Language

モネロがマルウェア対策の学習サイトを設立

モネロがマルウェア対策の学習サイトを設立

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:22
モネロがマルウェア対策の学習サイトを設立

update 2021.08.31 15:22

蔓延する不正なクリプトジャッキングからの自衛を促す

仮想通貨のモネロ(Monero)コミュニティは、ユーザーにマルウェアやランサムウェアの脅威に対して自衛を促すための学習用サイトを立ち上げたことを発表した。

今回、モネロがこのような学習サイトを立ち上げたのは、モネロ関連の不正なマイニングやランサムウェア攻撃などによる被害が拡大する中、一般ユーザーはそれらの脅威に対する正しい知識を身につけていないという危機感が背景にある。この学習サイトでは、マルウェアの感染を防止する方法や除去する方法をユーザーに提供することを目的としている。モネロ関連のマルウェアには3タイプあり、ブラウザベースのマイニングスクリプト、システムベースのマルウェア、ランサムウェアに向けたそれぞれのソリューションをサイト上で提供している。

ユーザーのコンピューターリソースを使用しマイニングを行うブラウザーベースのマイニングスクリプトは、ユニセフが仮想通貨による募金を行うなど、仮想通貨による資金調達などにも利用されており、コンピューターリソースを使用するのはそのサイトを閲覧している時に限定される。しかし、これら合法的な利用とは異なり、ハッカーはセキュリティレベルの低いウェブサイトなどに、サイトの管理者やユーザーに知られることなくマイニングスクリプトを埋め込み、コンピューターを感染させてしまうクリプトジャッキングという攻撃を行っている。

セキュリティの研究に取り組んでいるMcAfee Labs(マカフィー ラボ)の報告によると、違法なクリプトジャッキングは年々脅威を増し、2018年の第2四半期には前期比86%増加しているとのことだ。なお、2018年現在までには昨年比459%の上昇率となっており、この上昇の大きな要因は、アメリカ国家安全保安局(NSA)から流出したソフトウェアツールを、ハッカーが悪用していることだと言われている。[1]これらの脅威は、ビットコイン(Bitcoin)などの他の仮想通貨も同様に悩ませていることも事実だが、特にモネロは、その特性からターゲットとなりやすいと指摘されている。

モネロのマルウェア対策ワーキンググループのディレクターを務めるJustin Ehrenhofer氏は、以下のように理由を分析している。

ハッカーは、次の2つの理由からモネロを格好の攻撃対象としています。1)モネロのシステムの秘匿性が非常に高いことにより、外部の企業や警察などにマイニングによって発掘された通貨がどこに流れているのか追跡される心配がありません。2)またモネロはマイニングに、CPUとGPUフレンドリーなPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用しているため、マルウェアが感染したデバイスは競争力を持ちます。これら2つの要素が、モネロが特に危険にさらされる主な原因だと考えられます。

Justin Ehrenhofer, Director of the Malware Response Workgroup of Monero - CCNより引用

クリプトジャッキングによる被害は、モネロ自体の直接的な責任ではないものの、モネロコミュニティはこの違法行為を黙認せず、あくまでも戦う姿勢を示している。そのためには、ユーザーやウェブサイト管理者などへの高度な教育が鍵となり、この学習サイトがその第一歩だと考えているようだ。

release date 2018.10.1

出典元:

ニュースコメント

クリプトジャッキングとは

仮想通貨を取得する方法として、取引所や販売所などで購入する以外にも、PCなどの端末を使用して、仮想通貨の取引記録を取引台帳に追記し、その報酬として新規発行された仮想通貨を受け取るマイニングと呼ばれる方法がある。クリプトジャッキングとは、自分の意志でマイニングを行う場合と異なり、第三者によって自動的にPCなどの自分の端末でマイニングが開始されてしまうことを示す。ユーザーや管理者の許可なしにWebページにマイニングスクリプトのコードが埋め込まれ、ユーザーの意図しないうちにマイニングが始まり、PCの処理速度の大幅な低下や、過負荷による熱暴走・シャットダウンなどを引き起こす原因となる。対応策は一般的に知られていないことが多く、現在までに被害は拡大しているが、今回のモネロコミュニティの学習サイト立ち上げによって、ユーザーのリテラシー向上が期待できるだろう。


Date

作成日

2018.10.01

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

海外FXがオンラインカジノ規制の影響を受ける理由とは?出金できなくなるリスクも

2025年以降、オンラインカジノ規制の影響と見られる海外FX業者の国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00

Vantage Tradingで出金拒否やトラブルが多発中?SNSで報告相次ぐ原因とは

Vantageで原因不明の出金拒否が、多数発生している声を取り上げていきます。Vantageで出金拒否が発生する理由や実際にVantageへ問い合わせた際の回答などもあわせて紹介していきます。
update2025.05.16 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル