作成日
:2018.09.24
2021.08.31 15:22
国際連合児童基金、ユニセフ(UNICEF)フランス支部(本部:3 rue Duguay-Trouin 75282 Paris Cedex 06
)は、ウェブサイトから9つの主要仮想通貨による寄付を受け付けることを明らかにした。対象の仮想通貨は、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアム(Ethereum)、ライトコイン(Litocoin)、リップル(Ripple)、イオス(EOS)、モネロ(Monero)、ダッシュ(Dash)、ステラ(Stellar)となっている。ユニセフは、前々から仮想通貨関連の活動に取り組んでおり、今年2月にはシリアの内戦に苦しむ子供達のために募金キャンペーンを立ち上げている。ゲームチェンジャーと題されたこのキャンペーンは、ゲーマーを対象としており、参加者は、自身のコンピューターに独自のソフトウェアをインストールしてマイニングを行い、採掘したイーサリアムを寄付する仕組みとなっている。
また、今年5月にもユニセフはオーストラリアで、The Hopepageと呼ばれる似たようなキャンペーンを立ち上げている。
The Hopepageは、特設ウェブサイトにて、マイニングを行うためのコンピュータリソース(処理能力)の提供による寄付を募っており、来訪者はマイニングに同意するだけで、ネットサーフィンを楽しむ間に採掘した仮想通貨を募金することが可能となる。この画期的なキャンペーンは、従来の募金などよりも手間がかからないことから、仮想通貨マイニングによる募金の参加者は、現時点ですでに22,000人を超えるという。ユニセフフランスの理事であるSebastien Lyon氏は、仮想通貨による募金受付について以下のようにコメントしている。
慈善活動を目的に、仮想通貨やブロックチェーンを取り入れることは世間への良いアピールとなり、支援国での活動を拡大していくための手助けとなるでしょう。
Bill Ready, chief operating officer, PayPal - Mediumより引用
ユニセフは、仮想通貨やその基礎となるブロックチェーン技術の利用を革新的な募金方法と認識しており、仮想通貨の流行に対してポジティブな印象を持っていることが伺える。一方で、他の機関を見渡してみても、多くがこのような流れに対応できていないのが現実のようだ。柔軟に仮想通貨を取り入れるユニセフを通じて、今後も多くの子どもたちが救われることを期待したい。
release date 2018.9.24
ユニセフフランスの仮想通貨による募金は、事務局のウェブサイトから寄付することが可能となっており、仮想通貨を指定してQRコードに送付するという、とても簡単な方法となっている。また、リップル、イオス、ステラを除く6つの仮想通貨においては、 直接的な寄付に加え、パソコンのリソースを貸し出すことで、間接的な寄付を行うことも可能となっている。なお、フランスの仮想通貨税率は19%であるが、仮想通貨による寄付は課税の対象外となっており、領収書は発行されない。
一方ユニセフオーストラリアが5月に行ったThe Hopepageについては、専用ウェブページを開き、自身のコンピューターリソースのシェアを許諾するという、至って手軽な仕組みになっている。一方で、クレイモアなど脅威的なマルウェアの仕組みを活用しているため、セキュリティの面で議論を呼んでいた。しかし、オーストラリア事務局がウェブページ訪問者へ意思確認を行った後にマイニングを実施することや、 寄付参加者自身がパソコンのコンピューティング能力をどの程度貸し出すか設定できること、また、 寄付した金額の確認が可能であることなどから、現在、多くの人が安心してマイニングに参加しているという。まだまだ仮想通貨とブロックチェーン技術をチャリティーに活用する組織は数少ないが、仮想通貨が子供たちの支援事業の発展に貢献することを願ってやまない。
作成日
:2018.09.24
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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