作成日
:2018.09.21
2022.01.27 17:41
中国の中央銀行として人民元の発行や人民元レートと外貨の管理を行う中国人民銀行(People's Bank of China, PBoC)は、同行のサイトに、FX取引を行う中国の個人投資家に対し違法なFX取引業務を営むブローカーの取締り政策を計画中、との警告文を再び掲載した。
また中国人民銀行は、認可を受けていないブローカーが、FX取引のサービスを行うことは違法であり、無認可の機関に外国為替証拠金取引を委託する団体、もしくは個人も同じく違法とみなし、取り締まりの対象となるとコメントしている。
これまでにも中華人民共和国公安部と外貨管理責任を履行する監督当局である中国国家外為管理局(State Administration of Foreign Exchange, SAFE)は、このような通告を公式に出しているが、その際中国当局は、高いレバレッジを提供してFX取引を提供するいかなる業者・団体も認可しないとの警告を発していた。
なお中国人民銀行や中国国家外為管理局は、今年の始めに中国人を顧客とする海外FXブローカーを対象に同じような内容の警告を発しており、今回はそれ以来の警告となる。そのため、この度の通告が依然紙による警告に留まるのか、それとも中国規制当局が中国人を相手に違法なFX取引業務を営む海外FXブローカーに対し、実際に何らかの措置を講ずるのか、次の一手が注目される。
release date 2018.9.21
中国では、個人の外国為替証拠金取引は厳しく制限されており、現在でも、中国自国のFXブローカーは存在せず、海外FXブローカーを通じてFX取引が行われているのが実情である。今回の警告は、未認可ブローカーに対するものと、400倍以上のハイレバレッジを提供しているブローカーに対する注意喚起のようだ。また、中国国家外貨管理局は個人の人民元為替金額を制限しており、1年間で可能な為替金額は5万ドル以下と規定されている。この度の警告は、この辺りの規約を指摘する可能性もある。中国は仮想通貨取引全面禁止に向けて規制を強化しており、7月には中国人民銀行が人民元によるビットコイン取引量が低下して、取引量全体の1%以下となっていることを発表している。また、中国政府は先月、124箇所の海外の仮想通貨取引所へのアクセスをブロックしており、仮想通貨に対する強硬な姿勢がみられている。外資系ブローカーは、FX取引に関しても、今以上に厳しい規制措置がなされないか、懸念していることだろう。中国でのFX取引全面解禁実現は、まだ遠い未来の事のように思える。
作成日
:2018.09.21
最終更新
:2022.01.27
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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