作成日
:2018.10.17
2021.08.31 15:22
入金を一時停止していたことで注目を集めていた仮想通貨取引所、Bitfinex【以下、ビットフィネックスと称す】は、新しい法定通貨の入金システムを導入することを明らかにした。
今回の発表により、ビットフィネックスが抱えていた法定通貨での入金問題が解決に向かうことが予測されるが、新しい入金システムでは、入金を依頼する度に入金額を事前に知らせる必要があるという。その後、ユーザーへ振込先の銀行口座が知らされ、ユーザーは特定の銀行情報を受け取った後に資金を入金する形となるが、これら全ての処理には6〜10日を要することが考えられ、他の仮想通貨取引所と比べるとかなりの時間がかかることになる。
また、ビットフィネックスは、アカウントの承認にKYC(顧客確認)の情報提供を義務付けているため、それも事前に済ます必要がある。この長い入金プロセスは、迅速な意思決定が求められる仮想通貨市場で、大きな障壁となることは間違いなく、さらに疑い深い見方をすると、取引銀行との問題を曖昧にするための緊急措置ということも考えられる。
ビットフィネックスに関して様々な疑惑が報道される中、ユーザーが本当に心配している点は、入金よりもむしろ出金処理の一時的な滞りだろう。幸いにも今現在は、米ドル資金も出金できる可能性もあるようで、関連会社が発行するテザー(Tether)の問題がくすぶっているだけに、これを機にユーザーは、取引所から資金を引き上げているという。
今回の発表は、取引銀行であったNoble Bank International LLC(本社:270 Munoz Rivera Ave., Suite 1120, San Juan, Puerto Rico, 00918
)との関係解消や、HSBC Holdings pls(本社:8 Canada Square, London, E14 5HQ, United Kingdom )の銀行サービス提供破棄に続いての報道となり、ユーザーの不安を煽るものとなった。新システムに関しても、どの銀行がビットフィネックスにサービスを提供するのかなど、詳細は公開されていない。ビットフィネックスは、新しい入金システムの技術的な説明に加え、最近の多方からのネガティブキャンペーンとも取れる批判に対しても全く影響ないことを言及しているが、真実は依然闇の中だ。release date 2018.10.17
先日より、ビットフィネックスの入出金に関する問題が取り上げられているが、仮想通貨取引所と銀行との取引に対する規制は、世界的に見ても年々厳しくなる傾向にある。韓国では取引所への実名登録制を金融監督委員会が推し進めており、アップビット、ビッサム、コインワン、コルビットなどの4大取引所はすでにその影響を受けている他、インドでは中央銀行RBIが仮想通貨取引を全面禁止したことで、国内で違法に経営を続ける取引所と正面からぶつかっている。このような厳しい状況の中、一部ではP2Pを利用した金融機関を通さないソリューションでの入出金や分散型取引所(DEX)でのユーザーの直接的な取引を促すことで問題を回避しているようだ。ビットフィネックスは、これまで大きな利益を生んできただけに、銀行取引の問題で撤退するわけにはいかないだろう。この状況下で、ビットフィネックスがどのような一手を打ってくるのか、今後の展開を見守りたい。
作成日
:2018.10.17
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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