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金融庁が仮想通貨取引所Zaifに対し3度目の業務改善命令

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update 2021.08.31 15:22
金融庁が仮想通貨取引所Zaifに対し3度目の業務改善命令

update 2021.08.31 15:22

運営体制やセキュリティ面での改善を求める金融庁

金融庁は9月25日、仮想通貨取引所Zaif(ザイフ)の運営会社であるテックビューロ株式会社(本社:大阪市西区靱本町1-5-18ミフネ本町ビル10F[1])【以下、テックビューロと称す】に対し、3度目の業務改善命令を出したことが明らかになった。

被害額が約67億円相当とされる大規模なハッキングは9月14日に発生していたものの、Zaifは、ハッキング被害の事実を事件発生から3日後の17日に確認するなど、運営体制の甘さを露呈した。これを受けて、金融庁はテックビューロに対し、1)事実と資産流出の原因、再発防止策の制定と実施、2)顧客被害の拡大防止、3)顧客への損害補填の3点について、状況を説明する報告書を今月27日までに提出するよう要請している。また、金融庁は、3月8日と6月22日にもテックビューロに対し業務改善命令を出しているが、今回3度目となる業務改善命令では、過去2回の報告でZaifが提出しているセキュリティ対策に関する内容の見直しと計画の実行も求められているようだ。

Zaifのセキュリティーに関する問題は3月の業務改善命令ですでに指摘されており、立会監査の際にはシステム障害や多数の不正な資金引出しの例が発覚していた。金融庁は、テックビューロが適切な再発防止策を講じておらず、顧客に対しても的確な情報開示を行なっていなかったことを非難している。さらに、Zaifは今回の事件発覚当初、ハッキングによる被害額を5,966ビットコイン(BTC)と発表しているが、その後、42,327ビットコインキャッシュ(BCH)、6,236,810モナコイン(MONA)などの他の仮想通貨資産にも被害があったことを伝えている。この内、顧客資産にあたるのは、2,732.4ビットコイン、40,360ビットコインキャッシュ、5,911,859モナコインで、被害総額となる約70億の内、約40億円が顧客資産であったと報じている。

テックビューロは、今回の大規模なハッキング被害を受けてJASDAQ上場企業である株式会社フィスコ(本社:東京都港区南青山五丁目4番30号[2])【以下、フィスコと称す】傘下の株式会社フィスコデジタルアセットグループとの資金援助契約を締結しており、自社株を譲渡する代わりに顧客への補填を肩代わりしてもらう予定だ。先週、フィスコは、50億円の資金援助を実施することを表明し、被害が拡大した場合には再度協議する旨を伝えている。これに加え、テックビューロは、別のJASDAQ上場企業である株式会社カイカ(本社:東京都目黒区大橋一丁目5番1号[3])とセキュリティ改善の助けを得るために契約を結んでおり、業務改善の対応を進めている。

release date 2018.9.26

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨取引所のセキュリティー体制見直しの必要性

仮想通貨取引所Zaifの運営会社であるテックビューロは、金融庁から3度目の業務改善命令を受けた同日、プレスリリースを発表し、あらためて改善命令を受けたことを真摯に受け止め、更なる改善と組織強化を図り、適切な管理態勢を構築できるよう改善策を実施し、信頼回復やサービス向上を推進していくことを表明している。しかしながら、金融庁はテックビューロに対し、マネーロンダリング対策、内部管理体制などに不備があるとして、今年3月に1回目、6月に2回目の業務改善命令を出してきた。その後、同社は金融庁に改善計画を提出してはいたものの、9月14日に仮想通貨の流出事件が発生している。金融庁は、今年1月に発生したコインチェックのハッキング事件以来、仮想通貨交換業者への処分や業務改善命令を出すなど仮想通貨業界の健全化に取り組んできたが、今回のZaifの事件であらためて業者のセキュリティー体制や運営体制の甘さが露見してしまった。 日本でも多く利用されている仮想通貨取引であるが、それらを提供する側である仮想通貨取引所のセキュリティリスク回避への取り組みは非常に重要である。今回のZaifの事件を教訓に、現在運営している多くの仮想通貨取引所においてもセキュリティー体制や運営体制を見直し、安全なサービスを提供できるよう取り組むことが必要である。


Date

作成日

2018.09.26

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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