作成日
:2018.09.10
2021.08.31 15:22
中国政府は、国民の仮想通貨取引を禁止するために様々な対策を講じる中、事業者やユーザーは規制の網を掻い潜り、引き続きビットコインへの投資を行っていることが最近の報告で明らかとなった。
これまでに中国政府は、仮想通貨決済の禁止、ICOプロジェクトの閉鎖、関連サービスの廃止などを実施し、一貫した反仮想通貨への姿勢を強く示してきており、中国人民元のビットコイン取引量は取引量全体の1%以下にまで低下した。その後も規制強化は止まらず、先日も、120箇所以上の海外の仮想通貨取引所を対象に、中国国内からの海外仮想通貨取引所へのアクセスをブロックする大規模な対策を講じている。
中国政府は、表向きには仮想通貨に対する規制は万全であることを発表しているが、中国からの投資が完全に封鎖されたわけではない。中国国内で違法運営を行っていた仮想通貨取引所はサーバーを国外へ移し、海外取引所は複数のドメインネームの使用や切り替え、運営拠点の変更などで政府の監視システムの目を逃れながら、アクセスブロックを回避することで、変わらず中国市場へのサービス提供手段を確保している。また、ユーザー側もVPN(バーチャルプライベートネットワーク)を経由し、中央サーバーを介さずに個人間で直接取引するP2P(ピアツーピア)を行うことで、中国政府の規制をくぐり抜けているようだ。このように、VPNシステムを利用して法定通貨と価値連動しているテザー(USDT)を介し、ビットコインなどの仮想通貨を購入するなど、仮想通貨を自由に取引できる環境にアクセスできるのが現状のようだ。
政府の規制と取引所、ユーザーの関係は、完全にイタチごっことなりつつあるが、香港と台湾を拠点とする仮想通貨取引所のTideBitのTerence Tsang氏は、政府の一貫した厳しい姿勢について以下のようにコメントしている。
最近の中国政府の監視の目が向けられているのは、中国市場をターゲットとして運営している小規模な海外取引所として主張する取引所ですが、その実体は国内企業に運営を委託する国内取引所です。これまでにも、ウェブページが中国語の取引所などは政府から特に目をつけられていました。
Terence Tsang, COO at TideBit - South China Morning Postより引用
中国では、ユーザーが利用するVPNサービスを規制する方が効果があるとの声も上がっているようだが、政府はあくまでも仮想通貨事業者への締め付けを強める方針のようだ。
release date 2018.9.10
2017年9月に仮想通貨市場の大暴落を記録したチャイナショックから、中国政府は数回にわたり仮想通貨取引への規制を強化し続けてきた。先月には、国外124の仮想通貨取引所とのアクセスをブロックすることが報じられ、報道前に37.3億ドル(約4,149億円)あった中国投資家内上位7銘柄の仮想通貨総取引量は、報道後には25億ドル(約2,775.4億円)となり、約33%減少した。しかしこういった規制に対して、取引所がドメイン名の変更やサーバーの移転などの回避策を行うため、規制の効力は一時的なものに過ぎないとの見方があがっている。また、中国のトレーダーは独特な仮想通貨取引を行い規制の目を回避しており、最も一般的な方法では、まず人民元などの法定通貨をテザー(USDT)に交換し、テザーを介した取引を行うことで規制の網を掻い潜っている。このように、仮想通貨取引所やトレーダーの編み出す規制回避策が次々と行われていることから、中国政府が目論む仮想通貨の実質的な規制までの道のりは遠いかもしれない。
作成日
:2018.09.10
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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